消えない虹と、消えない想い。
もうすぐ夏ですね。いつもの作風と少し違うかもしれません。人によっては少し閲覧注意な内容です。ネタバレになるのでここには書きませんが、気になる方はあらすじを先にお読みください。
「虹は、写真で見るのが好き」
彼女が言った。
「どうして?」
僕はそう聞いた。
「だって、写真の虹は儚く消えたりしないもの」
彼女がそう言うから
「そうだね。ずっとキレイなままの写真の虹もキレイだね。けれど、すぐ消えてしまうからこそ、本物の虹は感動するんだと思うよ」
僕はそう答えた。
「そうね……。まるであなたみたいね。感動させるくせに、触れることも出来ずにふわっと消えてしまうなんて」
彼女がそう言うから、僕は切なく笑って
「そう言うなよ……。君がいつまでもそんな顔をしてるから、僕はいつまでもこうして君に会いにきてしまうんだから」
そう言った。すると彼女は
「ねぇ、私もそっちに……あなたの元へ行ったら……ダメかな」
そんな事を言い出したから、僕は少し怒った。
「僕は、君と一緒に逝きたくてここに残ってるわけじゃないよ」
すると、彼女はにこりと笑って泣いた。
「怒んないでよ。本当は、わかってる。君が死んでしまった現実を受け入れなきゃいけない事も、精一杯生きなきゃいけない事も。 いつまでも、ふさぎこんでてはいけないことも……。だから、そろそろあなたを……開放してあげる――――」
涙をこぼしながらも、彼女の目が強さを取り戻したのを感じた。
あぁ、もう、大丈夫だね。
「うん。僕の分まで君の笑顔で、周りの人を幸せにしてあげてね。僕は、逝くよ。雲の上から君の幸せを……願ってるよ」
そう言い残して僕は、儚く消えた。
「ありがとう……」
重なる2人の言葉と思い出が、確かにそこに残った。
読んでくださりありがとうございました。
半年〜1年前くらいに書いた作品ですが、もうすぐ夏ということで、再編集して載せてみました(^^)
感想や評価、お気に入り登録などしていただけると嬉しいです(*^^*)
ステキな夏を、お過ごしくださいね!
ー心花ー