序章
透き通るような青が頭上に広がっていた。
秋らしくぬるい日差しと、秋らしく張り詰めた冷たい風が同時に俺を襲っていたが、どちらかと言えば相手の鋭い視線の分だけ寒く感じる。
俺たち五人の前に立ちはだかるのは、いかにも強そうなオーラを纏った五人衆。五人対五人の真剣勝負が今、始まろうとしていた。
相手側の中央部には偉そうに立つ女がいて、右側には鎖をジャラジャラさせている女がおり、左側には『仁』と『義』の文字が躍る服を羽織った女が立っている。さらにおまけみたいに二人の男がさらに外側で両脇に侍っていて、危うい雰囲気を醸し出していた。威圧感がやばいぜ。素人の俺にもわかるくらいにビンビン強さが伝わって来やがる。
だが俺たちの方も負けてはいない。俺の背後に隠れつつ、スコップ持って「絶対に埋めてやる」とでも言いたげな瞳を前髪の裏でギラギラさせている可愛い子。それから、体に入墨を彫った殺気に満ち溢れた美女。何を考えてるんだか読めないやる気の無さそうないかにも能天気そうな派手な女。そして最後に、牛にちょこんと座ってのほほんとしている女がいて、特に後半二人に関しては戦闘力が未知数なので逆に不気味な印象を与えているに違いない。
きっちりと並んでいる相手とは対照的に、俺たちはだらしなく、列をなしていると言っていいのかどうかも疑わしい。
「悲しいことね。戦わねばならないなんて」
相手のリーダーである偉そうな女が偉そうに言った。
何故、俺たちと彼女らが戦わねばならないのか。そもそもここは何処で、これは一体誰のための戦いなのか。そのことを明らかにするには、少し時間を遡って、まだ戦国の秋になる前の、春あたりから話を始めなければならないだろう。