盗賊幼女
「グスン、グスン・・・婚約を破棄されましたわ・・・」
王太子殿下・・・との婚約を破棄されました。好きな男爵令嬢ができたそうですわ。
ええ、それはいいわ。王太子殿下は苦手でしたから。
でも、王命は第二王子と婚約せよとのことだわ。
それは嫌。やっと好きな殿方に告白できると思ったのに・・・
あの男の弟と結婚しなければなりませんわ。
第二王子にも婚約者がいたの・・・
その婚約者の方にも悪くて・・・
「ですから、悲しくて泣いているのです・・・」
私は侯爵令嬢アンドレア・・・王太子妃になるはずであったがあまり興味はなかった。
泣いて暮らしていると義妹のメアリーが心配してくれた。
慰めてくれるのだろう。
しかし。
「くだらないの~」
「え、メアリー・・・何故?」
「メアリーが陛下を説得しに行くの~~」
「ちょっと、待ちなさい!貴女5歳でしょう。陛下は会ってくれないわ」
「大丈夫なの~、この世界が私の家なの~」
・・・私はメアリー、ジョブ持ちだ。珍しい『盗賊』だ。隠しているが転生者でもある。
ジョブ盗賊は貴族社会では疎まれる。
ジョブ盗賊だが、スチールとか、素早く動くなんてできない。
できるのは・・・あ、門番だ。
「こんにちわなの~、ご苦労様なの~」
「あ、宰相閣下のご令嬢か?」
「ランチボックス持って来たの~」
と入って。陛下・・・と王妃殿下を探す。
通常の幼児ではどちらに権力があるか分からない。
ジョブ盗賊なのか?何となく偉い人のいる部屋にたどり着いた。執務室か?
陛下の隣に王妃殿下がいた。
「こ、こんにちはなの~」
「ほお、迷ったか・・・誰かに案内させよう」
ほお、確か王妃は聖女様だったな。
話しかけて見るか・・・
「陛下と王妃殿下に意見具申があってきたの。アイゼン侯爵家の庶子メアリーなの~」
「まあ、可愛らしい子ね・・・キャンディー渡すように言うからお土産をもらって帰りなさい」
王妃殿下は厳しそうだな。だから、直球勝負で言った。
「王妃殿下にお願いなの~、第二王子殿下とお義姉様の結婚やめて欲しいの~欲しいの~」
お願いした。
だが、優しく王妃殿下はメアリーを諭す。
「メアリーとやら、庶子では分からぬかもしれぬが、貴族は政略結婚をして国を守らねばならぬ。第二王子ルービックが即位する。家格からアンドレアが相応しいのよ。分かったらキャンディーをもらって帰るがよい」
だから、私は言ってやった。
「それは大変くだらない考えなの~」
「何ですって!」
その時、私のスキルが発動した。ジョブ盗賊、スキル・・・盗跖
盗跖とは古代中国にいたとされる盗賊の頭目だ。
実在かは分からないが、古代の知識人に好まれた。
孔子と架空の論争までしたそうだ・・・
その時の論法が幼児の体に乗り移った。
忍者を研究をする者は・・・必ず思うそうだ・・・
『これは・・・盗賊か詐欺師だ・・・』
また、盗賊こそ人事マネジメントをしっかりしなければならない。フォーマルな組織論が通用しないからカリスマも必要だ。
盗跖とは数千人から九千人の配下を率いたとされる盗賊、メアリーの体に乗り移った。
王妃殿下は政治の観点から話されている。
「貴族は身を捨てて大義のために行動しなければならないわ」
「・・・人は理屈だけでは行動できないの~、だから、今回の王太子殿下が男爵令嬢に懸想して婚約破棄をしたの~」
「しかし、私達は臣民を守る義務がありますわ!」
「理屈は関係ないの~、その大義とかは思考停止になるの~、現実論から考えるの~、理屈は賢者にでも考えさせるの~」
「何ですって!」
☆☆☆
「孔丘よ・・・・お前は仁義や徳と言うが、それによって民たちは偽善を覚え、返って世の中は乱れたではないか?」
・・・・・・・・・
「王妃殿下は政略と言うけどそれによって、貴族社会は乱れ、返って不倫がはこびっていないかなの~」
「メアリーは庶子なの~」
王女殿下は沈黙したかな。
陛下が口を開いた。
「妃よ・・・今回は王家に瑕疵がある。アンドレア嬢に賠償金を払い。好きな殿方と娶せるがよい」
「陛下・・・」
「ありがとうなの~」
私はそのまま屋敷に戻った。
数日後、報せが届いたようだ。お義姉様は喜んでいる。
さあ、お義姉様、護衛騎士に告白するか?
やっぱり護衛騎士に告白するが・・・
「お慕い申し上げていますわ」
「・・お嬢様、私には約束をしている幼なじみがおります」
「そんな・・・」
昼ドラだ。
後はお義姉様の人生だ。何とかしてくれたまえ。
私は猫ちゃんとお昼寝だ。テラスで寝ていたら呼ぶ声があった。
「メアリー様・・」
男の子だ。私より5,6歳年上くらいの子だ。少年スパダリか?
「私はケベックと申します。大公家の者です。噂を聞きましたが、是非、ご教示を・・」
「猫ちゃんが寝ているから動けないの~」
猫ちゃんは私の腕を枕に昼寝をしている。
「では、待たせて頂きます」
何だ。ケベック、良い奴じゃないか?王家にもできる奴がいるじゃーないか?
私でなければ見逃す所だった。
最後までお読み頂き有難うございました。




