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盗賊幼女

作者: 山田 勝
掲載日:2026/05/10

「グスン、グスン・・・婚約を破棄されましたわ・・・」



 王太子殿下・・・との婚約を破棄されました。好きな男爵令嬢ができたそうですわ。

 ええ、それはいいわ。王太子殿下は苦手でしたから。


 でも、王命は第二王子と婚約せよとのことだわ。


 それは嫌。やっと好きな殿方に告白できると思ったのに・・・

 あの男の弟と結婚しなければなりませんわ。


 第二王子にも婚約者がいたの・・・

 その婚約者の方にも悪くて・・・




「ですから、悲しくて泣いているのです・・・」



 私は侯爵令嬢アンドレア・・・王太子妃になるはずであったがあまり興味はなかった。


 泣いて暮らしていると義妹のメアリーが心配してくれた。

 慰めてくれるのだろう。


 しかし。


「くだらないの~」


「え、メアリー・・・何故?」


「メアリーが陛下を説得しに行くの~~」


「ちょっと、待ちなさい!貴女5歳でしょう。陛下は会ってくれないわ」


「大丈夫なの~、この世界が私の家なの~」


 ・・・私はメアリー、ジョブ持ちだ。珍しい『盗賊』だ。隠しているが転生者でもある。

 ジョブ盗賊は貴族社会では疎まれる。


 ジョブ盗賊だが、スチールとか、素早く動くなんてできない。

 できるのは・・・あ、門番だ。


「こんにちわなの~、ご苦労様なの~」

「あ、宰相閣下のご令嬢か?」

「ランチボックス持って来たの~」


 と入って。陛下・・・と王妃殿下を探す。

 通常の幼児ではどちらに権力があるか分からない。


 ジョブ盗賊なのか?何となく偉い人のいる部屋にたどり着いた。執務室か?

 陛下の隣に王妃殿下がいた。



「こ、こんにちはなの~」

「ほお、迷ったか・・・誰かに案内させよう」


 ほお、確か王妃は聖女様だったな。

 話しかけて見るか・・・



「陛下と王妃殿下に意見具申があってきたの。アイゼン侯爵家の庶子メアリーなの~」

「まあ、可愛らしい子ね・・・キャンディー渡すように言うからお土産をもらって帰りなさい」


 王妃殿下は厳しそうだな。だから、直球勝負で言った。



「王妃殿下にお願いなの~、第二王子殿下とお義姉様の結婚やめて欲しいの~欲しいの~」


 お願いした。


 だが、優しく王妃殿下はメアリーを諭す。


「メアリーとやら、庶子では分からぬかもしれぬが、貴族は政略結婚をして国を守らねばならぬ。第二王子ルービックが即位する。家格からアンドレアが相応しいのよ。分かったらキャンディーをもらって帰るがよい」


 だから、私は言ってやった。


「それは大変くだらない考えなの~」


「何ですって!」


 その時、私のスキルが発動した。ジョブ盗賊、スキル・・・盗跖とうせき

 盗跖とは古代中国にいたとされる盗賊の頭目だ。

 実在かは分からないが、古代の知識人に好まれた。


 孔子と架空の論争までしたそうだ・・・

 その時の論法が幼児の体に乗り移った。


 忍者を研究をする者は・・・必ず思うそうだ・・・


『これは・・・盗賊か詐欺師だ・・・』


 また、盗賊こそ人事マネジメントをしっかりしなければならない。フォーマルな組織論が通用しないからカリスマも必要だ。


 盗跖とは数千人から九千人の配下を率いたとされる盗賊、メアリーの体に乗り移った。



 王妃殿下は政治の観点から話されている。


「貴族は身を捨てて大義のために行動しなければならないわ」


「・・・人は理屈だけでは行動できないの~、だから、今回の王太子殿下が男爵令嬢に懸想して婚約破棄をしたの~」


「しかし、私達は臣民を守る義務がありますわ!」


「理屈は関係ないの~、その大義とかは思考停止になるの~、現実論から考えるの~、理屈は賢者にでも考えさせるの~」



「何ですって!」



 ☆☆☆


「孔丘よ・・・・お前は仁義や徳と言うが、それによって民たちは偽善を覚え、返って世の中は乱れたではないか?」



 ・・・・・・・・・




「王妃殿下は政略と言うけどそれによって、貴族社会は乱れ、返って不倫がはこびっていないかなの~」


「メアリーは庶子なの~」



 王女殿下は沈黙したかな。

 陛下が口を開いた。


「妃よ・・・今回は王家に瑕疵がある。アンドレア嬢に賠償金を払い。好きな殿方と娶せるがよい」


「陛下・・・」

「ありがとうなの~」



 私はそのまま屋敷に戻った。


 数日後、報せが届いたようだ。お義姉様は喜んでいる。

 さあ、お義姉様、護衛騎士に告白するか?


 やっぱり護衛騎士に告白するが・・・


「お慕い申し上げていますわ」

「・・お嬢様、私には約束をしている幼なじみがおります」

「そんな・・・」


 昼ドラだ。

 後はお義姉様の人生だ。何とかしてくれたまえ。

 私は猫ちゃんとお昼寝だ。テラスで寝ていたら呼ぶ声があった。


「メアリー様・・」


 男の子だ。私より5,6歳年上くらいの子だ。少年スパダリか?


「私はケベックと申します。大公家の者です。噂を聞きましたが、是非、ご教示を・・」


「猫ちゃんが寝ているから動けないの~」


 猫ちゃんは私の腕を枕に昼寝をしている。


「では、待たせて頂きます」


 何だ。ケベック、良い奴じゃないか?王家にもできる奴がいるじゃーないか?

 私でなければ見逃す所だった。


最後までお読み頂き有難うございました。

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>王妃殿下は政治の観点から話されている。 「貴族は身を捨てて大義のために行動しなければならないわ」 「・・・人は理屈だけでは行動できないの~、だから、今回の王太子殿下が男爵令嬢に懸想して婚約破棄を…
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