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スピンオフ 奇術師ひかり 異世界でパーティクラッシャーになる  作者: うみのうさぎ


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2/3

私たち、ひかりにとって何なの?

ギルド酒場は、修羅場だった。


 エレナ「なんで勝手に薬草配合変えたのよ!」

 リリア「効率が悪かったから」

 セナ「そういう問題じゃない!!」


 剣士エレナ、魔術師リリア、回復役セナ。

 三人の冒険者パーティが、今まさに空中分解しようとしている。


 原因。


 テーブルの端で干し肉を齧っている、白い魔法使い——ひかり。


 ひかり「……ぼく、何かした?」


 全員、同時に振り向いた。


 3人「した!!」


 事の発端は簡単だった。


 依頼帰り、全員が疲弊していた夜。

 ひかりが何気なく言ったのだ。


 ひかり「今日は、きみたち何もしなくていいよ」


 その結果。


 エレナは剣の手入れをやめ、翌朝まで爆睡。

 リリアは研究を放棄し、初めて八時間寝た。

 セナは回復魔法を使わず、座ってお茶を飲んだ。


 その結果全員、めちゃくちゃ元気。


 リリア「おかしいのよ!」


 リリアが机を叩く。


 リリア「ひかりがいないと、やる気が出ない!」


 ひかり「それは依存」


 ひかり、即答。


 ひかり「依存はだめ」


 セナが震える声で言う。


 セナ「……じゃあ、離れるんですか?」


 ひかり「うん」


 その場の空気が、お通夜状態に。


 エレナが立ち上がる。


 エレナ「待って。じゃあ聞くけど、

 私たち、ひかりにとって何なの?」


 ひかりは少し考えた。


 ひかり「……大人」


 エレナ「軽っ!?」


 ひかり「自分で立てる人たち」


 エレナ「じゃあ、ひかりは必要ないの?」


 ひかり「今は、ね」


 この言葉で、三人の情緒が完全崩壊した。


 翌日。


 ギルドに張り紙が出た。


 > 【注意】

 > 白い魔法使い(魔法は使えない)に

 > 懐きすぎないこと

 > 感情のセルフコントロールを失う恐れあり


 当の本人。


 掲示を見て首をかしげる。


 ひかり「……評価、高くない?」


 通りすがりの受付嬢(女性・27)がぽつり。


 受付嬢「ひかりさん、しばらくギルド出禁です」


 ひかり「え」


 受付嬢「女の子が次々“休んでいい”を覚えるので」


 ひかりは帽子を深く被り、静かに呟いた。


 ひかり「……また、やりすぎたか」


 その夜。


 酒場の裏路地。


 エレナ、リリア、セナが、偶然を装って集まっていた。


 エレナ「……会いたい」


 リリア「依存じゃないわよね?」


 セナ「……きっと」


 遠くの屋根の上。


 ひかりは焚き火代わりのランタンを灯し、空を見上げる。


 ひかり「……ゆいなら、ここで止めるな」


 異世界でも、ひかりは変わらない。


 冒険者を救って、ちょっとだけダメにする。


 今日も平和だった。

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