呼び出されたヒーロー
緊急事態はいつ起こるかわからない。ヒーローである以上、いきなり「仕事」で呼び出しがかかることなど日常茶飯事と覚悟すべきだ。
――だが今日、私が呼び出された理由は違った。
「次の戦闘で結果が出せなかったら、『運命戦隊サバイバー』の正式なメンバーとして登用することはできない」
ヒーロー派遣会社において、私たち戦隊ヒーローの活動を管理・慣習している彼は言う。
最初、どういうことか意味がわからなかった。だが自分の置かれている状況を思い出し、彼の言葉を飲み込んでいくと――血の気が引いていくのがわかる。
研修中に「試用期間がある」とは聞いていた。早まることもあるが、期間は半年だとも……そして私は、ヒーロースーツを渡されて半年が経った。
私は懸命に戦っている。毎日トレーニングだってしているし、戦闘中もできるだけ仲間との連携を取り考えながら必死に敵を倒している。市民の救護も、戦闘しても問題ない状況を作るのもしっかしりしている。――けれど、それでは足りないのだ。
深紅郎にはついていけないし桜子には叱られる。蒼汰の私を見る目だって冷たい。そして、ヒーロー戦隊派遣会社の職員も……呆然とする私に向かって彼は続ける。
「三か月前にも言った通りだ。蜂屋くん、いやイエロー。君は努力しても結果が伴っていない、戦績だって残せていない……次の戦闘で結果が出ないなら、申し訳ないが君は『ヒーロー』として採用できない」
「それって……クビってことですか」
絶望しながら、それでもようやくそう尋ねれば彼は「解雇だ」と事務的に言い直す。淡々としたその口調に、躊躇は一切見られない。配慮も何もない、ただ事実だけを突き付けてくるその態度に――私は目の前が真っ暗になった。
採用試験を受け、「ヒーロー」として活動していく中で少しずつ戦えるようになったと思っていた。まだまだ立派なヒーローではないが、私なりに弱き人々を守り平和な社会を作るのに貢献してきたつもりだった。
――次の戦いで何もできなかったら、それが全て無駄になる。私の努力が、思いが呆気なく否定される。
「……頑張り、ます……」
そう口にはしたが――私は既に死刑宣告を受けたような気分だった。




