ヒーローの味方
イエローである私が、結果を出せていないという事実を数字として見せつけられる。その上で責められるのだから、私はただ精神を削られるしかない。
辛うじてグリーンこと樹だけが「でも黄美花は今月、幹部クラスと戦ったから」とフォローを入れてくれたが、深紅郎と桜子、蒼汰は容赦がなかった。樹はこの戦隊の中で唯一、私を気遣い時に戦闘の手伝いなどもしてくれる優しい人間だ。だが、それでも完全に私の味方というわけでもなく……特にこういう場ではさすがに押し黙ることしかできないのか、今もじっと俯いて私への罵声を聞き流している。
……仕方のないことだとはわかっている。無理やり私を助けようとしたところで今度は彼が攻撃されてしまうかもしれないし、逆に私への当たりがより激しくなるかもしれない。だが樹すら味方してくれない状況になると、つい「あぁこの戦隊の中に私の味方はいないんだな」と思ってしまう。
普段の樹は、老若男女に優しく人命救助も敵との戦闘も卒なくこなすまさに「ヒーロー」と言える存在だ。市民の味方、弱き人々に寄り添える好青年。きっと、私と同じ戦隊ヒーローに所属していなかったら素直に尊敬していたと思う。
――だが、それでも私の味方にはなってくれないのだ。
私を助けてくれる人はどこにもいない。私がどれだけ「運命戦隊サバイバー」の一員、ヒーローとして市民の味方になっているつもりでいてもその私の味方となってくれる人は誰もいない。
どれだけ怪人と戦っても、どれだけ一般の人々を助けるために戦ったとしても私はこの戦隊の中で「お荷物」「役立たず」ぐらいにしか思われていないのだ……
そう考えると、「私は何のためにヒーローになったのだろう」とどうしても考えずにはいられなかった。
――それでも戦隊ヒーローの一員といて戦う以上、私は戦うしかない。
樹が言ったように私は今日、悪の組織の幹部クラスと戦った。後に名前を知ることになるのだが、相手の名前は「ヘルメス」。なかなかの強敵だったが、それでも私は善戦した方だと思う。
いいんだ、味方がいなくても。私は私として、自分なりに頑張り戦績も少しずつ上がっている。だからきっと大丈夫、今を乗り越えられれば少しは周りの評価も変わるはずだ……
――その時の私は能天気に、そう思っていた。




