表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒーローは誰でもなれる! ~私は悪堕ちヒロインだけどね~  作者: ミント


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/8

ヒーローが戦う意味

 ヒーローは、弱き人々を守るために戦うものだ。




 少なくとも私は、戦隊加入前の研修でそう習った。この世界には様々な「悪の組織」が存在する。彼らの目的は多種多様だ、一枚岩ではないし組織同士で敵対することだってありうる。だが、「その活動によって被害を受けるのは常に弱者」であるという事実は変わらない。


 市井の人々の穏やかな日常を崩す、それは「悪」。平和な状況を打ち壊し秩序ある社会を乱す、それもまた「悪」。そんな悪しき存在に立ち向かうのが、ヒーローの仕事であるはずだ。だから強化した戦闘力が必要になるし、強力な武器を持って戦うことになる……戦いはあくまで、人々を守るための「手段」でしかない。誰かを守ることが最優先、無用な争いは避けるべき。それこそが「ヒーロー」というものだろう。




 だから私は戦って敵を倒すこと「だけ」を重要視すること、倒した敵の数を「工数」として評価しその成績に一喜一憂することに疑問を感じている。




 ヒーローの根底にあるのは弱者救済の精神であるはず。極端な話になるが、話し合いや説得で解決できるのなら、それに越したことはない。ヒーローが戦わなくて済むなら、それが一番平和で良いことのはずなのだ。


 なのに、私が一般人の避難や看護を優先するのは、「悪いこと」として扱われるのだろうか。敵の戦闘員を倒すことばかり考え、それ以外は事務的に淡々と処理してしまうのが「良いこと」なのだろうか。


 ――桜子や蒼汰に、そう言い返したことがある。だが二人の反応は、だいたい似たようなものだった。


「言い訳するな」


 お前の話を聞くつもりはない、という明確な意思を突きつけられ私は言葉を失った。




 結局、その日の戦闘報告は事実上イエローである私の吊し上げ大会で終わってしまった。


「もっと頑張れ」

「ちゃんと考えて戦ってよ」

「いい加減、まともに戦えるようになれよ」


 集中砲火を受ける私に、もはや言い返す気力はなく……ただじっと耐え忍ぶことしかできなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ