戦隊ヒーローに所属した
「今日からこの運命戦隊サバイバーのイエローになる、蜂屋黄美花くんだ。みんな、よろしく頼むよ」
司令官に挨拶を促され、私は「よろしくお願いいたします」と頭を下げる。
運命戦隊サバイバー。
「運命」と「サバイバル」が一体どうやって結びつくの? と思ったがどうやら深い意味はないらしい。「ヒーロー」や「戦隊」など掃いて捨てるほどいるこのご時世。人目を惹くキャッチコピーが欲しくて付けただけの、適当なものなのだろう。担当者が洋楽好きだったからとも聞いているが……とにかく私はそのサバイバーの一員、イエローとして配属されたのだった。
名前に付けられた「黄」の文字に、名字の「蜂屋」。私にイエローが割り当てられたのは、自然なことだっただろう。ちょうど、目の前にいたメンバーも四人――それぞれ髪の一部を赤、青、緑、ピンクに染めている。
最初に話しかけてきたのは、その中でも特に目立つ赤い男……レッドこと深紅郎だった。
「よろしくな! 俺たちヒーローは人々を支える、社会になくてはならない存在だ。一人一人、責任感を持って互いに助け合いながら戦っていこう!」
精悍な顔立ちに、眩しい笑みが輝くまさに「赤」という色を擬人化したような青年。にこやかに笑う彼の隣から、髪をピンクグラデーションに染めた女性が出てくる。
「女の子の仲間は初めてだから、嬉しいな。私の名前は桜子。変身してからは『ピンク』って呼んで」
私だけじゃなく、ヒーローは変身中ずっとコードネームで呼び合わないといけないから気をつけて。
にっこり笑う彼女は、ピンクの髪がふわふわとしていて花のように可愛らしかったことをよく覚えている。それからブルー、グリーンとも互いに挨拶を交わし私は正式に「運命戦隊サバイバー」の一員、「イエロー」としてデビューすることになった。
……最初はどうなるかと思っていたが皆、優しそうでどこか安心した。
とりあえずヒーローになった私だったが、これなら上手くやっていけそうだ。人々を助ける立派なヒーローに、私もなれるかもしれない――愚かだった私は当時、そう思ってしまったのだ。




