ヒーロー襲撃
私は戦った。頑張った。桜子の叱責も、蒼汰や深紅郎の言葉も真面目に聞いて反省した。……それでもどうにもならなかったのだ。
思い起こせば思い起こすほど、辛いはずなのにどうしても考えずにはいられない。他のメンバーに言われたこと、上手く戦えず結果が出せなかったこと、自分が「ヒーロー失格」と判断されたという現実。色々と厳しく言われたが、私にも言い分はあった。けれどそれを言い返せないぐらいパニックになってしまったし、成果を出せないのは事実だった。
私はヒーローを辞めざるをえなかった。どれだけ頑張って、戦ったとしてもヒーローにはなれなかった。誰でもなれるはずのヒーローに、私はなれなかった……結局、いつも同じ結論に至る自問自答は私の精神を擦り減らすだけだった。
だが、習慣とは恐ろしいもので――気づけば私はトレーニングのために、外に出ていた。
ヒーローじゃない私が、鍛える理由なんてない。体力づくりだってもともと、私をヒーローにしたかった父が始めたことで別に好きというわけでもない。それでも体を動かさなければ、気が紛れないと感じる辺りに染み付いた習性を感じてしまう。ランニング、縄跳び、懸垂、等々……ヒーローの時と同じルーティーンで繰り返していたら、周りが騒がしくなってきたことに気づいた。
「みんな逃げろ! 人が襲われてるぞ!」
必死に逃げる誰かが、そう叫んでいる。
何らかの悪の組織が現れたのだ――逃げ惑う人々の鬼気迫る表情と叫びでそう察した瞬間、咄嗟に戦闘態勢に入る。一人、逃げない私が目に留まったのか相手側の戦闘員たちが一気にこちらを向いた。龍の紋章が入った黒い戦闘服の彼らとは、戦った記憶がある……だが、そこで私は思い出す。
ヒーロースーツを返還してしまった私は変身することができない。
いきなり動きを止めた私に、戦闘員の指揮を執っているらしい男――まだヒーローだった頃、戦った覚えのある相手が私に問いかけてくる。
「お前、ヒーロー……まさか、運命戦隊サバイバーか?」
「あっ、えっ……」
ヒーロースーツを着ていないのに、なぜわかった。
そんな疑問が浮かぶが、咄嗟に返事をできず私は固まる。いつもこうだ、私は肝心な時に言葉に詰まる。
そして――最悪なことに相手はそれを肯定として受け取ったようだった。




