ヒーローは誰でもなれる
「一週間後から来れるらしい。大学を出てしばらく、一般企業に勤めていたけれど今回ヒーローとして採用されたそうだ。特に戦闘経験はないらしいけれど、やる気はあるみたいだから……みんな歓迎してやってほしい」
――なんでそんなことを、わざわざ私の前で言うの。
心の中で叫ぶが、それが声となって出ることはない。
樹はちらりとこちらを見たが、すぐに目を逸らした。蒼汰は既に私のことなど忘れたかのように、黙って頷いている。桜子に至っては「あら、今度の人は上手くやっていけるといいわね」などと私を嘲り意地の悪い笑みを浮かべていた。
その全てが、「イエロー」だったはずの蜂屋黄美花を否定する。
私の後任はとっくに決まっていた。私は既に、「いらない」と判断されていた。私がどう頑張って「ヒーロー」をやったとしても、とっくにヒーロー失格の烙印は押された後だったのだ。
私の後釜に座るのは、今までヒーローをやっていたこともない一般人。それは、「運命戦隊サバイバー」に入る前の私と同じだったはずだ。けれどその新人の方が、曲がりも何も半年ヒーローをしていた私より必要と判断されたのだ。それぐらい、私という人間がこの集団に必要がなかったのだ。
「ヒーローは誰でもなれる」。誰かが言っていたその言葉が、私の頭の中で響く。
ヒーローはどんな人間でもなれる。正義感があれば、弱者救済の心があれば、慈悲の気持ちがあれば、誰かを守りたいという気持ちがあれば――だけど私は、それになれなかった。いや、私は我武者羅に努力してヒーローになったつもりでいたのに――お前はダメだ、と否定されてしまったのだ。
運命戦隊サバイバー。悪を挫き、弱き人々を助けるための正義の戦隊。
私は確かにその一員だったはずだ、認められるように努力し「人々を助けたい」と願っていたはずだ。
けど、そんな高潔な信念は結果が出せなければ何の役にも立たない。裏で他人を傷つけていようが、人の努力を否定していようが――ヒーローとしての「工数」さえこなせば、ヒーローは誰でもなれるものなのだ。




