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9月29日(水)

放課後、麻子とお茶した。


由美子のことを聞いてみた。


「ねえ、由美子のことだけどさ。休み時間とか見てても、大丈夫そうだよね」


「うん。やっぱり家でも学校でも加奈が一緒なのは心強いと思うよ」


「そうだよね」


「このままクラスに溶け込んで行ければいいよね」


「うん。で、ちょっと気になったんだけど」


「何?」


「あのさ。もしクラスの男子とかが近づいてきたら、あたしらが何かした方がいいのかと思って」


「いや、それは必要ないんじゃないかなー。休み時間とか結構男子とも普通に接してたし」


「うん」


「だけど、急接近する奴が出てきたり、告られそうにとかなったら要注意だよね」


「そうだね」


麻子に話してみた。


「ねえ、麻子は彼女と普通に接してるよね?」


「うん。何でそんなこと聞くの?」


「あたし、普通にしようとするんだけど、どうしても色々考えちゃうんだ。だから、ぎこちなくなちゃって」


「花の場合は、転校してから由美子のこと知ったからねえ」


「自分が慈善者ぶってるみたいで、凄く嫌なんだけど。優しくしてあげなくちゃって思っちゃって。どうしたらいいんだろ?」


「うーん」


「ごめん、麻子。いいよ、自分で考えるから」


「……あのさ、黒澤先輩とみたいにしたらいいんじゃない?」


「えっ? 龍太とみたいに?」


「うん。先輩って悪い噂が沢山あったじゃん。だけど、花はそんなの関係なく先輩のこと知りたかったんでしょ?」


「確かに、言われてみればシチュ似てるかも」


「本人だけを見ればいいんだよ」


「そっか。うん、どうすればいいか分かった様な気がする。ありがと、麻子」


「どういたしまして。花は本当に真面目でいい子だね」


「何それ?龍太みたいなこと言わないでよ」


「先輩にも言われたんだ。だって本当のことだもん。大好きだよ、花」


「あたしも麻子が好きだよ。って何よ、この会話」


「ハハハッ。知らない人が聞いたら、レズのカップルと思われるかもね」


「やだもう。麻子ったら龍太に似てきたよ」


「じゃなくて、先輩があたしに似てるんじゃないの。だから、花は好きになったとか」


「えーっ、まさか?! いやいや、龍太はもっとやらしいこと言うよ。あたしが恥ずかしがるの見て喜んでる、って、何でこんな話になるんだー!!」


気の置けない友人とのおしゃべりは、どんなくだらないことでも楽しい。


麻子とは中学の時からの仲なので、気心が通じてるっていうか。


お互い相手のことをよく知っていて、馴れっていうのがあるのか会話もスムーズだし、二人でいてすっごく自然なんだよね。


女の子にはそういう風の興味はないけど、麻子とだったら仲良く一緒に暮らせるだろうなと思う。


龍太とはちょっと違うよね。


龍太とはどうなんだろう?


…………。


側にいるだけでドキドキする。


ずっと側にいたいと思う。


龍太と一緒だったら、どんなことでも退屈じゃないし辛くない。


龍太は見た目は怖いけど、ぶっきらぼうだけど、本当は優しいとこがいっぱいある。


龍太の笑顔が好き。


龍太の声が好き。


龍太の手は大きくて暖かくて、触れられるとすっごく安心する。


手を繋いでいるだけで、とても幸せな気持ちになる。


頭を撫でられると、喉をゴロゴロ鳴らしたくなる。


龍太に抱き締められるのが好き。


龍太の匂いが好き。


龍太のキスが好き。


龍太の……


わわっ、あたしってば何考えてんだろ?!!


だけど、側にいればいる程、あたしは欲張りになってしまう。


ヤキモチ焼いたり、我侭言ったりしてしまう。


あたしだけを見て欲しい。


あたしだけに優しくして欲しい。


あたしも龍太だけだから。


雄二君のライブに行った時に借りたペンダントとイヤリングを返そうとしたら、もう着けないからやると言われた。


嬉しいな。


宝物が増えちゃった。


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