9月25日(土)(二)
少しばかりR15シーンあります。苦手な方はご注意ください。
龍太は眉を顰めてあたしを睨みつけた。
「何、馬鹿なこと……」
もうどうでも良かった。
龍太のこと怖かったことも、ずっと会ってなかったことも。
私は龍太を失いたくない。
ただそれだけ。
威勢良く立ち上がってワンピースを頭から脱いだ。
「おまえ、何やってんだよ!!!」
龍太が怒った声を出す。
「本気だよ。龍太に抱いて欲しい」
恥ずかしいなんて思い浮かばない程、あたしは必死だった。
龍太はベッドに座ったまま、怖い顔をしてそっぽ向いている。
「龍太」
「……」
「龍太!!!」
「……」
あたしの方見てもくれない。
「……もう、あたしのこと嫌いになっちゃった?」
声が震えて下唇を噛んだ。
他に彼女ができちゃった?
涙が溢れる。
床に座り込んで、自分の肩を抱いて丸まった。
すっごく惨めだ。
このまま消えてしまいたい。
そう思った時、龍太が唸る様な声を出した。
「嫌いになる訳ねえだろ!!!」
ベッドを蹴る様に立ち上がって、あたしの前にしゃがみこんだ龍太の胸に引き寄せられた。
ゴツンと頭突きを食らわせられる。
「痛っ!!!」
きつく、きつくあたしを抱き締めた龍太が、歯を食いしばってる様な声で、
「散々振り回しやがって」
と、あたしの耳元で言うのが聞こえた。
「ごめんなさい」
涙が止まらない。
龍太に縋りついた。
「龍太、ごめんね。龍太、龍太……好き!!!」
顔を手で挟んで離され、じっと見つめられる。
何で怖いなんて思ったんだろう?
愛しくて、愛しくて、堪らない。
龍太の顔が近づいて来るのを見て、目を閉じた。
何週間ぶりのキスだろう?
優しいキス。
龍太のキスが大好き。
いったんあたしを離した龍太は、着ていたTシャツを脱ぎ捨てると、もう一度キスをしてくる。
そのまま抱き上げられてカバーを剥いだベッドに横たえられた。
顔がカアーッと熱くなり、心臓が物凄い音を立てている。
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン……
恥ずかしくて両手で顔を隠そうとすると、その手を龍太に取られた。
あたしの上に屈みこんで、唇に優しくキスして頬を撫でてくる。
そのあまりにも優しい仕草に涙が浮かんだ。
龍太の首に腕を回して引き寄せた。
もっと龍太のキスが欲しい。
「もっと、キス……して」
縋りつくあたしを見て龍太は目を細める。
「あんまり煽んな」
それでも、あたしが望んでいるキスをくれる。
熱いキス。
段々深く激しくなるキス。
次第に頭がぼうっとしてきた。
龍太の手があたしの体にかかる。
「花」
「……ん」
「止めるんなら今のうちだぞ」
「止めないで」
龍太の手を取ってあたしの胸に置き、龍太の目を真っ直ぐに見て言った。
「大胆だな」
フッと笑ってそう言った龍太は、とっても優しい目であたしを見つめた。
幸せ過ぎて胸が痛い。
龍太は壊れ物を扱うように、優しく、優しくあたしを愛撫していく。
あたしは本当に馬鹿だ。
もうちょっとで失うところだった。
こんなに大切な人を。
龍太の手、龍太の指、龍太の唇、龍太の舌があたしの感じるところを探っていく。
どうにかなってしまいそう。
……もう、何も考えられない。
…………龍太が好き…………
あたしの頭の中にあるのは、ただその一言だけ。
「後悔すんなよ」
「しないよ」
あたしに口付けた龍太は、起き上がってあたしに背を向けた。
やっぱりちょっと不安になってきた。
怖くない。
怖くなんかない。
あたしは龍太が好きだから。
龍太が屈んで、もう一度確かめる様にあたしの目を覗いてくる。
もし今、あたしが怖いって言ったら、あんなこと言ってたけど、絶対止めてくれるんだろうな。
でも、止めなくていいよ。
あたしがにっこり笑って頷くと、龍太はあたしの頭をクシャと撫でて、チュッと唇にキスをした。
怖くないと言ったら嘘になるけど。
それでも、龍太がすごく優しかったから、あたしは安心して龍太に全てを委ねた。