表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/71

9月3日(金)

9月3日(金)



もう1週間、龍太の顔を見ていない。


勿論連絡もない。


元気なのかな?


会わないでいると、龍太のことが懐かしくて好きだと思う。


だけど、会ったらまた怖くなっちゃうと思う。


だから、会いたくない。


どうしても目が行ってしまうので、机の前のボードから龍太の写真を外して引き出しにしまった。


お昼は麻子達に心配かけたくないので、龍太と一緒に食べてる振りを続けている。


一人でお弁当持って、体育館の裏に食べに行っている。


何やってんだろう、あたしは?


いい加減にちゃんと説明しないと、本当に別れることになってしまうだろう。


龍太はいつまで待ってくれるのだろうか?


加奈から由美子に転校の話をしたと聞いた。


由美子はそうしたいみたいなんだけど、加奈の親、特に父親が反対しているそうだ。


もし、この高校に来るとなると、加奈の家から通うことになるので、家で問題起こされたら困ると。


自殺とかそういうことだろう。


転校して何ヶ月か通ってみて問題なかったら、由美子の親もこの町に引っ越せばと加奈のお母さんは言ってるみたいだけど。




今日からまたアルトサックスを習う。


新しい先生はイメージしていたのとちょっと違った人だった。


田辺さんは小柄で若くて森の妖精って感じの人だ。


妖精って言っても、ティンカーベルみたいんじゃなくて、シェクスピアの確か『夏の夜の夢』だったと思うけど、に出てくる妖精みたいな感じ。


ボーイッシュなショートカットで、悪戯っ子みたいな顔してる。


あたしが今までやった曲を演奏したら、ジャズもいいけどクラシックも少しはやった方がいいと言われた。


18世紀のイギリスの作曲家のアルトサックスのデュエットを練習することになった。


『アレグロ・フロム・ソロIII』という曲で、テンポが速くて結構難しそう。


初めはあたしがパート1で先生がパート2をやる。


何だかすっごくやる気が出てきた。


来週までに一生懸命練習しなくっちゃ。


何か打ち込めることができて嬉しい。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ