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8月27日(金)
8月27日(金)
よく眠れなかった。
流石に二日もちゃんと寝てないと、目の下に青黒い隈ができてしまってる。
途中で龍太に会いたくないので、いつもより早く家を出た。
だけど、家を出て角を曲がった所で龍太が待っていた。
体が一瞬竦んでしまったが、見なかった振りをして通り過ぎると後を追ってきた。
「逃げてないでちゃんと話せよ」
「……」
「俺、何かしたか? 花を怯えさせる様なこと」
「……」
「黙ってたら分かんねえだろ!!!」
腕を掴まれて体がビクッとする。
「ごめんなさい。別れたいんじゃないけど、少し距離をおきたいの。お願い」
立ち止まって頭を下げた。
龍太はフーッと溜息をつくと、あたしの腕を放し、
「訳分かんね。説明する気になったら言ってくれ」
と吐き捨てて、どんどん歩いて行ってしまった。
そりゃ、怒るよね。
ごめんね。
泣きたくなった。
学校行きたくない。
こんなのあたしらしくないじゃん。
自分の頬っぺたをバシバシ叩いて活を入れて、駅に向かってトボトボと歩き出した。