8月12日(木)
8月12日(木)
毎朝、龍太と会って、あたしがバイトに行くまでの時間を一緒に過ごす。
龍太が隣にいてくれるのが嬉しいから、暑いけどいつも龍太にくっついている。
前からしょっちゅう手は繋いでいたけど、最近は龍太の指を握ったり、手を撫でたり、腕の筋肉を触ったりしたくなる。
龍太の手を取って指を絡ませて、龍太の肩に顔をスリスリしたい。
龍太におんぶするみたいに背中から抱きついて、額を龍太の後頭部にゴリゴリしたい。
龍太の腰に腕を回して抱きついて、龍太の胸に耳を押し当てて心臓の音を聞きたい。
あたしがそういうことをすると、龍太は暑いとか、鬱陶しいとか文句言いながらも、自分からは離れようとしない。
時々あたしの頭を撫でたり、キスしたりしてくれるので、嫌じゃないんだと思うけど。
あたしがバイトに行った後、龍太は何してるのって聞いたら、
「昼飯、剣道の稽古、勉強、エトセトラ」
という答えが返ってきた。
「エトセトラって何?」
「その他、色々」
「それは分かってるよ。だから、色々って何?」
聞かなかった方がよかった。
「便所行ったり、風呂入ったり、ついでに花の裸思い浮かべてオナニーしたり」
「龍太の馬鹿ぁ!!!!!」
龍太はよくやらしいこと言ってあたしをからかう。
ふざけてるのかと思ってたけど、最近になって結構本音なんじゃないかっていう気がしてきた。
龍太は欲求不満なのかも知れない。
あたしがずっと我慢させてるから。
明日はバイトはお休みだ。
龍太は何か予定あるのかな?
もし、龍太が何も予定なかったら誘ってみようかな?
龍太の家での続きをしたい、気がする。
もう、怖くないような、気がする。
怖くなったら龍太は止めてくれるだろうし。
龍太はあたしが嫌がることは絶対にしない。
とっても大事にされてるって思うけど。
それは嬉しいんだけど。
……あたしが知らない龍太をその女が知っているなんて嫌だ。
できるだけ余計なことを考えないようにしているんだけど。
嫉妬っていうのは本当に厄介なものだ。
理屈では分かっていても、胸の中がチクチクするのを止められない。
龍太に抱かれたら、この不安はなくなるのかな?
一昨日、あたしが嫉妬して泣いた時に龍太に言われたことを思い出して赤面する。
「ねえ、龍太」
「ん?」
「明日って、龍太、何か予定あるの?」
「いや」
「あたし、明日バイト休みなんだ。だから、もしよかったら家に来ない?昼間は誰もいないし」
「それって、誘ってんの?」
「……うん」
「マジ?」
「うん」
「じゃあ午後行く。あー、だったら、昼飯どっかで一緒に食うか?」
「あたしが作るよ。だから、12時半頃に来て」
「了解」
約束しちゃった。
ドキドキする。