8月6日(金)
8月6日(金)
本当はインターハイの応援に行きたかったんだけど、旅費もないし、泊まりで行くのは親が絶対許してくれないので諦めた。
バイトもそんなに休めないし。
毎晩、龍太にメールした。
迷惑かなって思ったんだけど、迷惑だったら読まなければいいんだし。
つまんないかも知れないけど、その日バイトであったこととか、今読んでる本のこととか、夜何食べたかとか書いて、最後に、
「好きだよ。頑張ってね」
と書いた。
毎日ではなかったけど、龍太からは、
「俺も」
とか、
「暑い」
とか、
「カレー食った」
とか返ってきて嬉しかった。
試合のことは何も書いてこないけど、うまくいっているといいな。
明日、会えるんだよね?
嬉しいけど、ちょっと怖い、かな。
だって、あんなこと言われちゃったし。
もう、逃げられないよね。
バイトは忙しけど、楽しかった。
時間的には朝は11時から夕方5時までなので、そんなに長くはない。
そのアイスクリーム屋は、前からお客として時々行っていたお店だ。
季節によって変わる10種類のフレーバーのジェラートはとても美味しくて、その場で食べる他、持ち帰りも可能で、小さいけど地元では評判のお店だ。
何でも、店長は学生時代イタリアに旅行した時に食べたジェラートの味に惚れて、5年間イタリアに住んで修行し、帰国してから親から譲り受けた喫茶店をアイスクリーム屋に改造してしまったという人だ。
6月に行った時に夏休みのアルバイト募集の張り紙を見てすぐに応募した。
アイスクリーム屋ってすごく夢のある仕事だと思うって言ったら採用された。
ケーキ屋もそうだけど。
見ているだけで楽しいよね。
食べに来る人は子供も大人も笑顔だし。
フレーバー選ぶ時も楽しそうだし。
皆ジェラートを受け取る時に目を輝かせてるし。
今日も6時間みっちり働いた。
夏の間のバイトはあたしの他に大学生の女の人と男の人がいる。
二人は違う大学なんだけど、とても仲が良く、あたしのことも可愛がって花ちゃんと呼んでくれる。
そうしてくれと言われたので、あたしも二人を名前で呼んでいる。
初めは二人は恋人同士かと思ったんだけど、静香さんには同じ大学に彼氏がいるそうだ。
一度お店に迎えに来たのを見かけたことがある。
後スタッフは正社員の大田さんと店長夫婦だ。
大田さんは25歳で、ファッションデザイナーの助手をしている彼氏がいる大人っぽくて綺麗な女性だ。
店長は小柄で口髭を蓄えたおしゃべりなおじさんで、自分は前世では絶対イタリア人だったと明言している。
大袈裟な身振り手振りを交えて話す様子は、本当にそうなのかも知れないと思えて可笑しい。
奥さんは優しいけど、ちょっと神経質な感じの人。
冬に赤ちゃんが生まれたので、あまりお店には顔を出さない。
明日のバイトは午後3時までにしてもらった。
龍太は何時に帰ってくるのか知らないけど、できるだけ早く会いたいから。
夜、寝る前に龍太にメールした。
「To :黒澤龍太
Sub :明日
お疲れさま。明日、2時半過ぎにジェラート食べに来ない?」
少し待ってみたけど龍太から返信はなかった。
皆様、こんばんは。
小説を読んでくださってありがとうございます。
活動報告でもお知らせしましたが、明日から8/22まで不在となります。
大変申し訳ありませんが、この期間中の更新はありません。
コメント等へのご返事も22日以降となりますのでご了承ください。
戻ってからは現在のように毎日とはいきませんが、完結まで書き続けるつもりですので、よろしくお願いします。
厳しい暑さが続いていますので、皆様もどうかお体に気をつけてくださいませ。