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7月25日(日)

7月25日(日)



今日は朝から海に行った。


同じクラスの麻子、涼子、真理子、加奈とあたしの5人で行ったんだけど、麻子達がクラスの男子にも声をかけたみたいで、途中で柴崎、小林と高橋が合流した。


涼子、真理子と加奈は、仲良し3人組で学校でもいつも一緒にいる。


あたし達とも結構仲が良く、あたしが龍太とお昼を一緒にするまでは、毎日5人で食べていた。


あたしは、同中だった高橋とは結構打ち解けているが、柴崎と小林とはあまり口をきいたことがない。


男子3人はこんなに大勢の女の子と海に行くのが嬉しいのか、子供みたいにはしゃいでいる。


麻子はまだ柴崎と付き合ってなくて、今日こそ告白させてやると意気込んでいる。


最近の男は臆病だから、女から告白しちゃった方が早いと思うんだけどね。


龍太だって、結局あたしが好きって言わなきゃ、向こうも言ってこなかったんだしさ。


だけど、麻子は絶対に男から告白されなきゃ嫌だそうだ。


二人きりになる機会を作ってあげよう、と涼子達と男子達が来る前に話していた。


昼までビーチバレーをして遊び、30分程でバテたあたし達は砂の上に広げたタオルに寝そべっている。


元気な男子達はまだやっていた。




昼食は海辺の食堂で食べた。


注文している時に真理子の従兄とその友人という人が現れた。


真理子は、その大学生の従兄を、涼子と加奈に随分前から紹介してくれと頼まれていたらしい。


真理子の従兄は大学1年生で牧野さんといい、友人は同じ大学の窪田さんと紹介された。


クラスの男子達と比べると全然大人っぽくて、結構格好良くて、涼子と加奈はうっとりしてる。


午前中、ハーレム状態だった男子達はちょっと不満な様子だ。


食事中、牧野さんと窪田さんが大学の話をしてくれたんだけど、風変わりな教授の話とか入ってるサークルの話とかすっごく可笑しくて、ゲラゲラ笑ってしまった。


それからも、窪田さんは前に座っているあたしに気を遣って色々話しかけてくれた。


お互いにジャズが好きだっていうことが分かって、結構会話が弾み楽しかった。


食後、麻子と真理子と連れ立ってトイレに行ったら、真理子が窪田さんは絶対あたしに気があるなんて言ってきた。


あたしは、偶々食事の時、前にいたから話しかけてきたんでしょ、って答えたんだけど。


麻子まで、あれは絶対あたしに一目惚れしたんだ、なんて言うから、


「あたしには龍太がいるから」


って言ったんだけど、あたし達、もうすぐ別れちゃうんだよね。




少し休んでから、午後は海に入った。


水は冷たかったけど、暫く泳いでいると慣れ、すごく気持ち良かった。


あたしは海が好きだ。


ここの海はそんなに綺麗ではない。


だけど、やっぱり海はいい。


波の音、磯の香り、汗ばんだ肌に時々感じる気持ちのいい風、眩しい太陽、足の裏が焦げるほどに熱い砂、転がっている貝殻や石ころ。


子供達の賑やかな声やサンオイルの甘ったるい匂いまで、夏っていいなと思わせる。


窪田さんが側に来て、色々世話を焼いてくれた。


あたしに気があるって本当なのかな?


親切だけど、押し付けがましくはなく、いい人だと思った。




夕方、2組のグループに分かれて帰ることになった。


大学生の二人は車で来ていたので、真理子と何故かあたしを乗せて帰ってもらえることになった。


途中で麻子と柴崎を二人きりにしてやんなよ、と涼子に耳打ちして、窪田さんの運転する車に乗った。


牧野さんが遊び過ぎて疲れたから眠るとか言い出して、後ろの席に真理子と座ってしまったので、しょうがなく助手席に乗った。


窪田さんは、運転中も高校のこととか気さくに話しかけてくれて、そのお蔭であまり緊張せずに済み、やっぱり3歳違うと大人だなあと思った。


道は結構渋滞していて思ったよりも時間がかかってしまい、真理子の家に回った後、あたしの家に着いたのは、夜の9時を過ぎていた。


途中で親には電話してあったので、心配はしていないと思うけど。


車を家の前に止めてもらい、お礼を言って降りたが、窪田さんも運転席から降りてきた。


「携帯の番号聞いていい?」


困ったなと思ったけど、正直に言った。


「すみません。送ってもらっちゃったし、失礼だと思うんですけど。あたし、会ったばかりの人に携番教えないことにしてるんです」


「じゃあ、俺の連絡先、受け取ってもらえる」


断り辛く、連絡先を書いたメモを受け取ってしまった。


「来週の土曜日なんだけどさ。もし時間があったら会えないかな。昼に話してたジャズ好きの仲間の集まりがあってさ。午後4時からなんだけど。藤本さん、もしよかったら、一緒に行かない?」


興味あるけど、31日は龍太に時間を空けておけと言われている。


別れを告げられるためだ。


だったら、龍太に断って他の日にしてもらおう。


インターハイの後とか。


だって、そしたら、それまでの間、龍太の彼女でいられるじゃん。


黙っているあたしに窪田さんは、


「やっぱり、無理かな?」


と言った。


あたしは、夕方は早めに帰らないといけないけど、それまでだったら、と答えてしまった。


ベッドに入ってから、龍太に31日は無理だから8月7日に会おうとメールした。


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