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6月25日(金)

6月25日(金)



朝、いつもの様に龍太と駅で落ち合って学校に行く。


何だか、照れくさい。


だけど、龍太は普段とまったく変わらなくて、あたしだけが緊張しているみたい。


何か話した方がいいんだろうか?


よく今まで、あんなに龍太を質問攻めにできたもんだ。


手繋ぎたいな。


今までなら手繋ごうとか平気で言っていたのに、両思いになった途端、恥ずかしくて言い出せなくなった。


平然としている龍太にちょっとばかりムカつく。


いっつも、あたしばっかり努力してるんじゃん。


あたしが何かしかけなければ、龍太は何もしてくれないよね。


急に立ち止まったあたしに龍太が怪訝そうな顔をして振り返る。


「どうした?」


「別に」


「…ほら」


手を差し出してくれた。


急いで龍太の大きな手につかまった。


……嬉しい。


知ってる、龍太?


あんたの軽い仕草や一言に、あたしがどんだけ振り回されているのか。


知らないでしょ?


自分が、いとも簡単にあたしを天国に連れて行くこともできれば、地獄に突き落とすこともできるのを。


昨日から気になっていることを尋ねた。


「ねえ。龍太っていつからあたしのこと好きだったの?」


「…さあ?」


「何よ、さあって?!あんた、自分の気持ちも分からないわけ?」


あたしが膨れると、龍太はニヤッと笑って、あたしの手をきつく握った。


「…やっぱ、あの時かな」


「あの時っていつ?」


「弁当食った後、花からキスしてきた日あったろ」


「……」


思い出した。


あの時、あたしからキスした後、龍太は離してくれなくて。


自分の顔がカアッと熱くなるのを感じる。


「あの後、泣いただろ」


そうだっけ?


「その泣き顔がすんげえエロくて」


「もう、龍太の馬鹿ぁ!!!!!」


こいつ、絶対にムッツリスケベだ。


「誰にも見せたくないと思った」




放課後、麻子とコーヒーショップに行って、龍太と両思いになれたことを伝えた。


「今まで心配かけてごめんね」


と言ったあたしに麻子は、


「ほらぁ、やっぱり、言ったじゃない!!!」


と笑って、よかったねと言ってくれた。


「でも、花って超ラッキーだよね」


「何で?」


「だって、黒澤先輩の噂って全部ガセだったんでしょ?」


「…うん」


「多分あの噂がなかったら、黒澤先輩、滅茶苦茶モテてたと思うよ」


「うん、そうだね」


「あんないい男が、実は誠実で彼女をすっごく大事にする人でした、なんてさぁ」


「ヘヘッ」


「薄気味悪い笑い方するな。あーもう、羨ましい!!!」


「麻子は?えっと、椎名先輩だっけ?」


「諦めた。回りに女が多すぎるだもん。だから、もう、クラスの柴崎あたりで手を打っとこうかなって思ってる」


「えー、クラスの柴崎?!!」


「うん。この前、花が行けなかった日。あたし、涼子達とカラオケ行ったじゃん。その時、柴崎も来ててさぁ。ちゃんと話すの初めてだったんだけど、結構いいかなって思った」


「ふーん、柴崎かぁ。麻子が椎名先輩の時に求めてた知的な印象とは程遠い感じがするけど」


「あたし、そんなこと言ってたっけ?」


「もう、いい加減だな。いんじゃない、柴崎」


「そう思うー?」


柴崎ってのは、うちのクラスで結構人気のある、よく言えばムードメーカー、悪く言えばお調子者だ。


あたしは奴の軽い感じがちょっと苦手なんだけど。


麻子の話では、さしで話すと以外と真面目だったそうだ。


友達が多いってことは、多分性格もいいんだろうし。


麻子とうまくいけばいいな。


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