6月11日(金)
6月11日(金)
来週インターハイ予選の大会がある。
いまだに日にちも場所も教えてくれないので、観に行くのは諦めた。
仮の彼女には応援に来て欲しくないのかも知れない。
あたしは龍太の側にいるため、毎日努力している。
あたしが何もしなかったら、終わりだと分かって、とても悲しかった。
今日は3日振りに雨が降らなかったので、お弁当を作っていった。
エビフライの入ったお弁当。
龍太を喜ばせたい。
でも、他に何をすれば龍太が喜ぶのかなんて知らない。
聞いたら教えてくれるだろうか?
久しぶりに屋上で食べた。
今にも雨が降りそうな曇り空。
夏服でも蒸し暑い。
お弁当を食べ終わった龍太に聞いてみる。
「ねえ」
「ん?」
「あたしに何かして欲しいことある?」
「フェラ」
…え?何?
今、何て言ったこいつ?!!!
カッーと頭に血が上る。
経験ないけど、あたしだってそれが何ていう意味か知っている。
「そんなことするかー!!!!!エロ馬鹿龍太!!!!!!!」
奴は真っ赤になって怒鳴っているあたしを面白そうに見ている。
もう、こいつの喜ぶことなんて、絶対にしてやるもんか。
明日のお弁当は蓮根尽くめにしてやる!!!
「おまえからキスして欲しい」
「……」
既に真っ赤なあたしの顔が更に熱くなる。
でも、
「…目、瞑って」
目を瞑った龍太にそっと顔を近づける。
きれいな顔。
思ったより睫長いんだ。
無防備なこいつの表情に胸がキュンとする。
…好き。
好き。
龍太が大好き。
震える唇で龍太の唇にそっと触れた。
離れようとした途端、がっしりと後頭部を掴まれ、唇を奪われた。
優しく舌先でノックされ、僅かに開いたあたしの口に龍太の舌が侵入してくる。
巧みな龍太の舌使いに今日もあたしは愚弄される。
熱い吐息の合間に好きって言ってしまいそうになった。
胸が苦しくて涙が溢れた。
あたしの涙を見て、龍太は何も言わなかったけれど、力強い腕でギュッと抱き締めてくれた。