ep.05 シャール様のご訪問
マリアナ神皇国王都 ケスラー伯爵領 辺境伯都市ラウル
*)シャール様はトンだお転婆だった?
村のバァさんの五人に声を掛けて俺の家に来て貰う。飯代はタダと言えばホイホイと付いてくるような強かさが身に付いている。シマウマの縞と同じく強かさが身に付いている、縞は洗っても落ちない身体?
「俺の大事なお客人が来る。だから料理を手伝ってくれないか。」
「あたしらも?」x5
「おう、喰って帰ってもいいぞ。」
「ありがとうございます。」x5
食材と言えば森の恵みだな、前日に仕留めておいた鹿を空間魔法で取り出して解体を始める。なに簡単さ、もも肉と背肉のみを切り出して焼くだけだ。これの何処に難しい要素があるのかね? 残った肉は皮ごと払い下げてやる。
鹿の円らな瞳に包丁を入れるのが躊躇われる……顔に布きれを被しておけばいいんだぜ? 俺の顔に布きれは違うぞ、鹿の顔に布きれを被しておけばいいんだ。
「これな、ジビエ料理と言ってな、とても美味いんだぞ。」
「へ~凄いです。」x5
ニタニタと笑う老婦らだ、これは完全に俺は馬鹿にされていると認識出来たぞ。笑うな馬鹿どもか! 鹿はジビエとしても人気の高い肉だし柔らかくて美味い……らしい。まだ喰った事はありませんからね。ヨーロッパでは高級肉だそだ。日本はキョンと鹿を狩りまくって輸出したらいい、または観光客へ振る舞うとかすればいいのに。
塩や胡椒は徴発しておいた荷物にわんさかと残っているから取り出してきた。香辛料だけは農民らに分け与えてはいないのだな、今後も分けてやるつもりはないから欲しがるなよ。
七味唐辛子は好物だが? なして麻の実やけしの実が入っているの? 共にやばい草花なんだよね。七味唐辛子は加熱処理が甘いから虫が湧くし、土に撒けば芽が出ることも……ある。
農婦らは香草焼きにしてくれてさ、お陰で俺の株が上がった?
料理番組で文字を稼ぐのも大概にしておきたい。女の子の三人に綺麗な服を出してやった。衛星都市モンマルトで買い揃えた女向けの服にドン引きはされても、最後は着てくれた。
一人の老婆がシャール様となんだか親しげにお話しをされてある。でも? そこまでだった。
「ご主人様、シャール様にも着せるとか……いい度胸されてありますね。」
「いいだろう? 本人は満更でもなさそうに見えているのだがな?」
「そう……ですね、ご主人様の性癖が怖くて驚いて申し訳ありません。」
「お、おぉ……そうだったのか。俺の館が造れたら着せる予定の服だったさ。」
「あ~なるほど、」
「ご主人様……どうかしら?」x3
「おう、とても似合っている、綺麗だぞ。」
「はい♡!!」x3
福岡市の小学校の卒業式にかち合った事があって、その時の校門にメイドさんが立っていた。超~可愛い!!♡ そう思えば東京はいいよね~秋葉原……行きたい♡
「こらこら娘っ子、早う料理を手伝って運んでおくれ。」
「え~……、」x2
「はい、喜んでお手伝いいたしますわ。」
「ぎゃ~シャール様! 座っておいて下さい。」
「なんだかね~凄く楽しそう。いいんですよ面白いです、お手伝いいたしますわ。」
「……すみません。……お前ら…が…働け!」
「はい~、」x2
このままシャール様を歓待はしませんぞ、鹿肉なんて喰わせずに先に進みました。お酒は特別製を作っておいた。お酒に薬草を漬けて蜂蜜を加えて飲みやすくする。
秋に咲くキンモクセイの花をウイスキーに入れたらいい香りが分かる。味はウイスキーのままで変わらないですがね。
「私、鹿のジビエ料理は食べていませんが、もうお腹いっぱいになりましたわ。」
「それは良かった。今、コーヒーを淹れますね。」
「コーヒーですか?」
「薬草を煎じて飲むような、お茶ですね。」
「まぁ楽しみ♡」
シャール様の母上が優秀なのだろうか、所作はとても綺麗に見えている。これで女の子の扱いではないとか、あの伯爵様の性癖だったら早く始末してやりたいと考えた。
「ルイさま、父上を睨まないで下さい。あぁ見えても優しいんですよ?」
「そのようには見えない、俺は嫌いだぞ。」
「不器用なだけですわ。父以外に領主のなり手が無くて、それで渋々に伯爵の位を引き継ぎました。」
「この領地は? いつから?」
「昨年からですね、荒れた土地を掴まされて怒っていたのです。それに……うふふ……?」
「あはは~なにかな~。」
「ルイさまが領主になられたら……私は殺されずにお嫁に行けます。どう……でしょうか?」
「はい~喜んで~♡……♡」
「チョイとご主人様!」
「シルフィは知らん。リリーは側室に決定した。」
「うふふ……私はルイさまに嫁いりはしませんわ。好きな人が居ますのよ?」
……ガーン……思い込みの激しい俺に青天の霹靂が落ちて来た。雷に打たれたように動けない。はたたがみ……夏の季語だぞ、えっへん!
「チョイとご主人様?」
「あ、これは死んでいますよシルフィお姉ちゃん。」
「嘘よ、可愛い円らな瞳が……白目に?」
「まぁ大変、少し冗談がキツかったかしら。」
「ですよ~ご主人様が快復しないときは、その格好で追い出しますよ。」
「え?……困ります……わ~わ~ルイさま~戻ってきて下さ~い。わ~わ~ルイさま~戻ってきて下さ~い。」
「マジック・ショック療法……ブチュ~ッ♡!!」
「あ!」x2
「………………うわ、……あ?」
「良かった~ご主人様が生き返りました~。」x3
後の方で老婦がクスクス・ゲラゲラと笑っている。俺はオチョクラれてオモチャにされていたらしい。
「俺にキスしてくれたのは誰だ?」
「さ~誰でしょう。」x3
……ニコニコ……x3
「金貨十枚で、もう一度!」
「はい、儂です。」x5
「……。」
……ニコニコ……x3
声が出なくなったぞ。お婆ちゃんさ、心臓に悪いではないか。
○──── ○────○──── ○────○
リリーは面白い場面に出くわしたとでも考えているみたいだし、シルフィは私ですよ~みたいな顔をそて俺を見ていて、シャール様は知りませんわよ、でも楽しいという顔をしている。もう三者三様で俺で遊ぶ気みたい。
「お前か!」
「いいえ~、」
「お前か!」
「いいえ、でも……はい♡……」
「お前か!」
「いいえ、私には好きな人いますわ。」
「なんだ、期待して損した。……おいバァさんたち、犯人は誰だ?」
「私ですよ。」x5
「けっ、マジでブチ切れそうだわ。」
「お酒を飲まれたらどうですか?」
「お前らの酌はいらん。癪に触る。」
「ホェ~儂らのお酌は要らんと!」
「なぁシャール様、どうして来たんだ?」
「(ドキッ)はい、幾らお待ちしても来て下さいません。それでシビレを切らしたまでですわ。」
「リリー……。」
「はい?」
「シルフィ~酒を持ってこい。」
「呼び捨てご指名、……ウフッ♡」
「これで判明した、明日は村中でお祝いをするか。」
「おぉ……よろしくお願いしたい。」x5
「えぇ……ご主人様、リリーは何も言っていませんよ?」
「不思議だな、俺は名前を呼んだだけだが、何か言って貰いたかったのか?」
「既定路線ですから……大丈夫です♡……」
「だろう?」
……ポーーーーと音が鳴るのは陸蒸気と同じ。リリーの頭から蒸気が立ち昇る。
「え~~? ご主人様。シルフィ~は~?」
「お前は給仕係だ、明日は頑張れよ。」
「べ~~だ!」
「まぁ……可笑しい。クスッ!」
「シャール様、また明日もお風呂に来て下さい。」
「はい喜んで。」
シャール様とシルフィが転移魔法で帰っていった。同時にリリーは散歩に出て酔いを醒ましたいと言い出す。
「いいぞ、オオカミには気をつけてな。」
「はい。」
俺はゆっくりと風呂に入りたくて……すっぽ~~~んになって浴室に行けば?
「お湯が……な~~~い???」
リリーが帰って来て問い詰めたら、
「はい、シャール様が残り湯の全部を館に転移させて仕舞いました。」
「くそ~……。トンだお転婆だぜ。」
「シャール様は今頃……もう入浴を済まされたでしょうか。」
……今ここで……ぐふふ……召喚したら……ぐふふ……召喚したら……ぐふふ……ぐふふ。
「ダメ~~お願いです、リリーだけにして下さい、……ませんか?」
「やだね。……シャール様も、ぐふ、ぐふふ……俺の嫁だ!」
「シャール様も? ですか?」
「リリーもだよ♡……。」
「はい。」
……は、はークショ~~ン……あぁ~風邪を引いたぜ……。
「もう寝る。」
「はい?……リリーは~?」
「寝ろ!」
……クシュン……。
○──── ○────○──── ○────○
「フルールお母様、お湯張りが終わりました。」
「シャルロット、今まで何処に行っていたのですか。」
「はい、いい香りのするお風呂に……いってました。」
「それで、いってました……とは? 怒りませんから漢字で話しなさい。」
「はい……入っていました、……へ?」
「シャルロット……ここに座りなさい。」
「ヒ、ヒェ~……お母様~アレー~♡……、」
「あらホント、素敵な香り……明日も入りたいわね。」
「はい、明日も行って来て貰って来ますわ!」
「シャール、連れて行きなさい。男の匂いもしますわね。」
「嘘よ……違います。」
「お前は優しいね、直ぐに信じて顔にでるからね。今後は注意しなさい。」
「は……!」
「ん?」
「い。フルールお母様。」
「久しぶりにいいお風呂でしたわ。」
「どうして月に一度と決まったのですか?」
「財政難ね、お湯係を雇えないのよ。あの甲斐性なし!」
「そんな~嘘でしょう? 本当にお金が無いのでしょうか? 奴隷、そう奴隷たちは何処に、」
「売ってしまいましたわ。それも五人の老婆もね。」
「五人?……老婆?……あ!」
「どうしました?」
「その人たちと会っていました。多分そうでしょうか。」
「この街に居るのですね?」
「村ですが居ます。」
「……良かったわ。」
「?フルール……お母様?」
「いい男の匂いがするわ。」
「え?……ダメ、あれは私のモノですからお母様は手を出してはダメです~。」
「イヤン!」
「またそうやって甘えてくるのですね。お母様は。」
「いい男は全部死んだし、もう男旱だわよ。」
「もうお父様はストレスでた**いのですね?」
「早く発って欲しいわね。」
「私がお父様をお守りしますからね、死にませんわ。」
「北の国への侵攻は早まるみたいだよ。シャルロットも心しておきなさいね。」
「はい。」
「もう寝ます、明日が楽しみですわ。」
「……来なくてもいいのに、もう嫌い!」