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ep.03 ケスラー伯爵領……見聞と見分


マリアナ神皇国王都 ケスラー伯爵領 辺境伯都市ラウル


*)領地の見学と見聞と見分


「シルフィ……夜とぎは禁止だぞ。」

「くどいです。」


 このお姫さまは幼女ではない、もう食べても美味しいお年頃か!


「えぇ…っ…と俺、ルイと言いますんで、よろしくお願いします。」

「ふふ……シャールです。」

「でぇは……シャルロットさま。」

「えぇ……またいずれかの日に。うふふ……。」


 シャールかシャルロットか、どちらでもいいのだろう。名を残せぬならば今の呼び名なんてどうでもいいか。やはり地は女の子だ、別に隠し立てはしないようで安心した。やっぱり決めた、この女の子は俺が頂くのだからな。


「え~……は、はい。手を出しません。」


 俺が指先に魔法陣を出したらシルフィは渋々ながらに了承してくれた。俺が出した魔方陣を見ても気にしないシャール様はなんだ?



 俺も腹が減ってきた、リリーを連れて群れから出る。こんな男臭い場所に居られるかっつう~の


「リリー明日は領地の見聞に行く。」

「はい。」

「さて、武勇が十点だけのデカ物に挨拶して行くか。」

「はい。」


「デカ物どの!」

「なんだ?」

「明日は領地の見学へと行きたいので、後日に改めましてお城には出て参ります。」

「好きにしろ。」

「ありがとうございます。俺の行動が奇怪しい時は人質に置いていきますので俺は何も出来ません。」

「あぁ、エルフか? 王子に取り入る口実に置いていくのか、いいだろう。」

「はい、エルフはとても綺麗ですよ?」

「もういい……消えろ。」

「はい。」


 と言うわけで俺はリリーを連れて領地の見学へと行く。まだ夜なのにとリリーは蹲る。


「ルイさま、夜中に出られるのでしょうか、リリーは怖いです。」

「泥棒は夜に活動し稼ぐのが仕事だ。荷物を少々頂いていく。」

「それで?」

「適当な村を拠点と決めたいのさ、そこで食料をばら撒いて買収していく。」

「あ~酒樽方式ですね!」

「戦乱の世だ、多くの食料は徴発されて食い物は無いさ。」

「はい、慧眼でいらっしゃいました。」


 過去形で言われたら今後は失敗続きと言う意味か? けしからん奴だぜ。



「フード・テイクアップ!」x20

「多過ぎではないのですか?」

「中身だけ抜いておいた。彼奴らは自分たちが食えない食料を運ばされているんだ、明日は空荷で楽出来るさ。」

「はい!」


 俺は酒飲んで寝ている兵士らの横を通り抜けて見て回る。小声で「フード・テイクアップ!」と唱えるだけだから疑われる事も……ない。成功である、酒樽作戦が功を奏しているのだから当然さ。眠り薬をいれておいたぞ、これって睡眠薬強盗って言うのかね~アハッ!


 兵士らの近くで俺らもテントを張って寝た。


「リリー……寒くはないか。」

「はい、早くパンツを返して下さい。」

「あ~あれな? 汗拭きに使った、もう無理。」

「嬉しい……。」

「ホェ~地雷を踏んだ?」




 ❖   ❖ 


 季節不詳、年月日も不詳、短編だから直ぐに終わるさ、書けなくなって終わるから短編集という。過ぎし日々の物語 白いハンカチの木がいい例だろう。展望も考えきれずに書き出して先は何も浮かばなかったからな。着地地点を考えなかったのが悪い、ズルダラしているだけの亜衣音も同じく着地地点は遠いよね~。


 出だしはプロローグだから書き進めるのはいい、その先にピンとくる物がなければ……それまでだ。


 村の条件、それは俺が色々と仕事を始めても見つからず気づかれず済む場所となる。街道と領主城から街から離れておればいい、それだけだ。


「ふむ……街から離れていて後方には深い森が在るな。魔物の心配もあってか入植者は少なくて統制がとれそうだわ。」


 と、この村に決める。


「なぁあんた、この森に魔物は出るのか?」

「はい、狼やイノシシ程度ですが、取り立てて怖いモノは人間です。」

「あ~はいはい言えてる正解だわ。特に領主は食い物は盗っていくし、女の子も盗っていくし、男も盗っていくのだろう?」

「もう……ジジババだけですよ。可愛い娘っ子は少なくなりました。村も維持が出来なくて逃げたいばかり……お~いおい……お~いおい……、」

「泣くな、俺がどうにかしてやる。男手は何人くらいは必要か?」

「嫁っ子が欲しいです、干からびています! 後の娘を寄付して下さい。」

「キャッ。」

「これは俺の嫁だ。近々に連れて来ようか。」

「おぉぉ……ありがとうございます。」


「空き家は在るか、俺の住まいにしたい。」

「はい、幾らでも好きなだけお使い下さい。荒ら屋ばかりですが程度は変わりません。」

「出来たらでいいが、三軒の家が近いのがいい。倉庫にも使いたいからな。」

「えぇっと……遠くには十も二十も在ります、遠くには……。」

「それでいい、方角はどっちだ。」

「あっち……。」

「ルイさま、案内させた方がいいのでは?」

「そうだね、またしても明後日の方へ行くとも限らないな。」

「……一本道……でも?」

「分かった、もういい。一人で行く。それと……これらは手土産だ。村の総員で喰ってくれ。」


 ドドドド……デ~ンx2。食い物と酒樽を二個も出してやった。


「分かっているよな? 口外したら領主が奪いに来るよな?」

「はい、もう遣りたくはありません。……あ~そっちではありません、こっちですぞ。」

「あ、ちょっと先を見たいな~って……また来る。」

「ありがとうございます。」x3


 その夜、俺は街に行って奴隷の在りかを探して回った。ここにも奴隷商が蔓延っているはずだし、街では奴隷商の為人ひととなりを聞いてはいたが……面と向かって驚いた。名前を聞いていなくてね、それでビックラコイタだ!


 「ものぐさな人となり……」……この例題はいただけないぞ。だから漢字は重要なんだと考えている。実は俺、とてもものぐさなんだぞ。例題とは「ものぐさな為人」なんだな。



 ❖   ❖ 


*)奴隷商人のソフィア・ルージュ……再び?


 奴隷商に行ってみればあの女がいたよね、ソフィア・ルージュが。好かん女が居る以上に俺は追われている身だ、会える訳がない。


「ご主人様、表に不思議な男がいました。」

「馬の骨かい?」

「いえ、可愛い女の子付きです。」

「連れてきな、見てやるよ。」

「客ですよ?」

「商品になるのか客になるのか、あたいが決める。」

「アハハ……すみません。」

「ケッ、バカばっかし。」


「ゲッ……ソフィア・ルージュ!」

「あぁ? 違うね、レオノール・ルージュだ。……客か?」

「そ、そうなんだ、とても似ていらっしゃる……アハハ……、」


「双子だが仲は犬猿だね。だから双子と言ったのは取り消す。で、?」

「あ、若い農婦を売ってくれないか、村を興して開墾したいんだ。男は次でいい。先に俺を鎮めたくてね。」

「ケッ、ほっそりとして……やるね~♡?」

「アハハ……、旺盛なんだ、力は全部が下半身に落ちている。」

「そりゃいい、何人だい?」

「全部、」

「はぁ~?」

「だから全部くれ、幾らだ。」

「……二十人……二百、二百五十枚だ。」

「分かった、リリー財布が軽くなっていいぞ。」

「はい、二百五十枚……です。数えて下さ……い?……私は売り物ではありませんから、見ないで下さい。」

「いい女の子だね、高かっただろう?」

「いや~領主から奪ってきました、あは~は~……。」


「お前さんも大概だね、少しは男も付けてやるさ。貰っていけ。」

「ありがとうございます、レオノール・ルージュさま。また来ます。」


 幾らかの夫婦がいるのだろう、それで五十枚が増えていると考える。優しい女主人だね、どっかの女とは雲泥の差だな。作戦にはなっていないが俺は何度も何度頭を下げてきた。……タダだしね?


 若い農婦ばかりでも金貨が二百五十枚は高価すぎだろうが、今回は顔を売りたいし奴隷商の性格もみておきたかった。逆に俺の方が値踏みされいたらしい。


「いい~男だね~惚れ惚れするよ。」

「あれが? 馬の骨ですよ?」

「骨髄移植すれば金になるんだよ、次に来たら丁寧に粗茶を出しておやり。」

「はい。……粗茶?」


「彼とはよく、粗茶を飲みながら将棋を指した。」粗茶とは本来、人にへりくだって勧めるお茶なんだろう? 国語博士はこんな例題を出してもいいのか?


「そうだよ粗茶だよ。」

「あ~上等の赤ワイン!」

「分かっているね、合格よ。」


 俺に金貨十枚の値を付けて売った奴隷商人のソフィア・ルージュは、やはり節穴だな。農婦の半額なんだぞ? 怒ってもいいよね!



「ルイさま、ここでしたら人目に付きません。」

「分かった、……全員は固まってくれないか。」

「はい、」x25

「ゲート……俺の農場へ!」


 ……あ~ぁ~……あ~ぁ~……魔法の言葉が頭に響く。農婦らの全てを魔法陣が覆えば全員が消えてしまう。若い女の子を二十六人もの大人数を街中で引き連れて歩けないだろうが。


 連れて来た農婦に、奴隷商の商品内容について訊いた。


「奴隷の中に老婆は居るのか?」

「はい、五人程度は居たかと思います。買っていただけますか?」

「残らず……な、だからお前らは子を……産め!」

「はい、」x26


 二十五人の奴隷に一人多い二十六人の返事が返ってきた。誰だい?


「おう、また来たぞ。」

「これはこれはお客様! ささ……粗茶でございました。」


 気の抜けたワインだったか。


「おや兄さん。今日は?」

「バァさんが居るだろう、全部寄越せ。病人もいたら全部買うよ。」

「まぁ……ありがと。人数は~……?」

「全部を連れて来いよ。それで計算してくれよ。」

「そうですわね、直ぐに連れてきなさい。」

「はい~喜んで~!」


奴隷としては売れない筈の老人がいた。主に老婆なのはいいが、飯代で金食い虫は捨てるのじゃないのか?


「おや、二十五人だね、全部を買ってくれて助かるよ。」

「いいよいいよ、姥捨て山に捨てるさ。」

「どうか~それだけはお許しを~、」x25

「買われておいて、それを言える身分か~?」

「いえ、」

「チョイとお兄さん、苛めないでくれないかい。その分、勉強します。」

「いいだろ、全部で幾らだ。」

「金貨五枚だね……持って行け泥棒……。」

「え?……くれるの?」

「街で美味い物を喰わせてやれ。後は……知らん。」

「分かった、美味いモノだな。ミミズも焼けば美味いからな~アハッ!」


 金貨五枚で買えるだけの食い物を買って帰るのは、昨日の農婦らにも喰わせてやりたいからな。三組の親子がいたらしい。家は好きに入居させておいて、明日は長老に挨拶に行き農作業の分担を話し合って貰う。


 俺は、嫁候補を連れてきたと言って村全体でお見合いをさせる。女の子は逃げて行くが捕まればお終いだったか、後は好きにしろ俺は知らん。


「分かりましただ、苗と種子を買って下さい。」

「あ、あ~そうだな、うん。誰か付いてこい。俺では分からないぞ。」

「はい、俺が行きます!」x3


 村は五十人からも増えたわけだが、喰い物は俺だけが命綱なんだから、最低でも二年は俺も踏ん張ってやらなないといけない。


 耕す農地は全て幻覚魔法を掛けて農民諸共隠してやった。誰が領主にやるものか、フン! だ。


「領主さま、井戸。」

「あ~井戸ね。直ぐに掘り当てる。」

「ありがとうございます。」

「領主さま、布団。」

「領主さま、茶碗。」

「領主さま、服。」

「領主さま、雨漏り。」


「うるさ~い、……全部やってやるからお前らも働け。」

「私らは農業以外は出来ません。」

「最低だな~家の補修も出来ないのか?」

「はい、女の子ですもの!」

「男はどうしている。」

「働いています、馬車馬以上です。」


「俺に性上納は必要ない、帰れ!」

「いえ、子種も、下さい。」

「ダメ~~~ダメです~だ!」

「若奥様、ほんの一絞り!!」

「でもダメ。私の男だからダメです。」

「いや~リリーを傍に置いていて正解だったか、好く働いてくれるぞ。」

「はい♡!!」


 森が近くに在るから銭湯も造ったが……銭湯の用を足さないのだな。村にお金が無い? このような地方は素晴らしいと考える。だって農民は逃げ出す事が出来ないぞ。


「お金を持たせてはくれないのですよ、酷すぎるとは思いませんか?」

「もの凄い領主がいたものだ、驚いたよ。税金も高いのか?」

「いえ、戦争に勝っているらしいので、あまり払っておりません。」


「金も無いのに税金とは何を納めている。」

「作物だけです。他は全部持って行かれました。」

「そうだよな、農民を守ってくれないんだ、税金は納めなくていいだろう。」


「殺して下さい、それでルイさまが!」


「まぁ待て。今すぐに殺したら俺が疑われてしまう、それは困る。」

「ですか。」


 定期的にだが、女や親父らの六人程度を集めて買い物にも送り出している。都度、必要な物資の目録を出させておいて俺は金を援助しておいた。


 まだまだ金貨は山ほどに持っているぞ。


「ルイさま、もうお金が尽きました。」

「リリーそれは無いだろう。」

「それは……お金ですよ。」


「ソレは無い……お金は無い……ガハハ……はぁ」

「ご理解が早いようで助かりましたわ。」


 王都に泥棒への行路……行くか!


「ルイさまは……きっとお忘れです、好かったです。」


 シャールかシャルロットとかいうお姫さまとシルフィを忘れていた。農民が煩くて俺も忙しくてついつい忘れてしまっていたんだな。


 あのお姫さまが俺を訪ねて村まで降りてきた。とても……キャわいい!!


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