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ep.01 俺は転生者……?


マリアナ神皇国王都 衛星都市モンマルト


*)プロローグ


 大陸の騒乱は南の方から始まりだして、今や大陸中央部にある神皇国へと延びて来ている。今はまだ地方の衛星都市で騒乱が始まりだしているくらいか、そんな戦国時代になった。


 俺はこんな意味不明な異世界へと転生してしまっていた。いち早くこの世を分析してとある地方貴族に就職したんだが、うだつの上がらない貴族を選んだから事から俺の未来が変わりだした。


 いくら異世界とはいえ地球と同じく大陸の温暖化によって、農作物の栽培が厳しくなりつつあったからであり、国民が飢える前に隣国へと侵攻を開始しだした。


 要は足りない食料は奪って喰え!


 収奪できた財産は戦争に駆り出された貴族へと分配されて、そんな中でも敗戦国の国民の多くは戦士と奴隷とに分けられていく。戦士とその家族は貴族の戦利品となり雇用され、それ以外は奴隷へと落とされてそれこそ奴隷商人へと売られていく。


 中でも農民はそのまま新しい貴族から雇用されるのかと思いきや、戦士に起用されていくから農地は荒れ廃れていく。だからまた隣国へと侵攻していく。


 一発当てれば地方貴族であっても収奪できた都市とその農地は我が物に出来る、世はまさに群雄割拠の戦乱の世になった。




 マリアナ神皇国王都の衛星都市モンマルト……剣と魔法の世界に俺は立っていた。異世界の勝手なんて分からない、盗賊の類いに捕まらないようにして大きな街を目指して歩く。


 俺は何処とも知れない森の中に落とされて目が覚めた。クシュン! と可愛いくしゃみをしながら起きた。


 えぇい……導入は飛ばしてしまえ!


「なぁあんた、近くに街は在るだろう。」

「見ない顔だね、傭兵へ行きなさるのか。この道を進んだら王都の街は在るよ。」


 街道の途中で道を尋ねるも、右と左では雲泥の差であった。この農夫は王都へ通じる街道だよと言いながら方向を示さず、俺は俺で方向を訊きもせずに歩き出していた。


 何の事は無い、身体が偶々右を向いていたから勝手に右が王都だと決め込んでいたらしい。三日も四日も過ぎればあの時の事は覚えてもいないし、疲労と空腹で頭は回らない。


「仕方がない、魔法で日本の通販サイトを開いて食い物を出すか。」


 今はやりのアニメから魔法を真似る事なんてしないぞ。出来ていたら空腹に耐えてへたり込んだりしないはず、……だろう?


「魔力・サーチ…………小川を索敵……。」


 ……あ~ぁ~……あ~ぁ~……魔法の言葉が頭に響く。……チャポン……。ヒットしました、ここから真っ直ぐ行って二十分の地点です。小川を索敵って指示が間違っていたんだから答えも間違っているのは当然だろう。


「いや~実に便利……でもない魔法だよ、方向は示せないのかよ。」


 昨日までが良かった、偶々良かった、そういう事か。今日は小川が見つからないから苦労していた。初めての索敵魔法を使ってこの様だった。要は使い方が悪いのか、知らないのか。


 街道は多くの肥料が転がっていて、踏まずに進むのに難儀している。馬が通るならば水場も在るはず、だから見つかった水場も多かった。今は川から外れて山間に入るような街道だったのか、二十分ほど歩いてまた魔法に頼る。


「魔力・サーチ……小川を索敵……。」


 ……あ~ぁ~……あ~ぁ~……魔法の言葉が頭に響く。……チャポン……。ヒットしました、ここから真っ直ぐ行って二十分の地点です。


「魔力サーチ……小川を索敵……。」


 ……あ~ぁ~……あ~ぁ~……魔法の言葉が頭に響く。……チャポン……。ヒットしました、ここから真っ直ぐ行って二十分の地点です。


「魔力サーチ……小川を索敵……。」


 ……あ~ぁ~……あ~ぁ~……魔法の言葉が頭に響く。……チャポン……。ヒットしました、ここから真っ直ぐ行って二十分の地点です。


 ポンコツ魔法かよ、行き着く事は出来なくて街道の途中でへたり込んでいた。(早く~俺を助けろよ~クソ女神~)


 索敵とは? 敵軍の位置などを探る事だが、事実、俺の敵が近づいているのにも拘わらずに寝てしまっている。


 夢か幻の夢か、もう意識が途絶えていたらしいが、女の人から声を掛けられて目覚めた。


「あらあら……お困りかい?」

「……っzっz・・・、」

「起こしておやり。」

「はい、ソフィアさま。」

「水は掛けてもいいが……飲み水は許さないよ。……どうした紅い顔をして。この男は伸びているんだ、早く掛けてやれ。」

「……イヤです、恥ずかしいです。」

「仕方ないね~当て馬で済ませるか。」

「?……あ、ご主人さま!!」


 生温い水を掛けられて目を覚まして……?


「ウギャ~ウギャ~ウギャ~ウギャ~……、」

「アハハ……一発だったか。」

「ソフィアさま。悪戯が過ぎます。臭くて敵いませんよ。」

「馬車の後を歩かせる、それならばいいだろう。」

「はい!」


「ここで休憩に入る。ソレにも水とパンを与えておけ。」

「はい。」


「クソが~何しやがる。」


 俺は服を脱いで絞って頭と顔を拭いていても、異様に臭い液体を掛けられたから四苦八苦している。


「ガハハハ……面白いモノを見せて貰った。パンを恵んでやるぞ、喰え。」

「バカヤロ~こんな顔で喰えるか、水をくれ。」


「あの~ご主人さま、私の水も与えたいのですが、よろしいでしょうか。」

「お前の分け前だ、好きにしろ。」

「はい。」


「なんだ?」

「いいからこれで顔を洗って下さい。服は私の物をお貸ししますので、それらは残らず捨てて下さい。」

「全部?」

「はい。」

「パンツも?」

「……は……(い)。」


 この女の子は本当に服を脱いでくれた。白いワンピースの下着姿になって紅い顔をしながら下を向きながら眼を瞑りながら口をしっかりと閉じながら……俺に渡してくれる。


「女神様ありがとう。悪魔め~覚えてエロ!」

「イヤン!」

「下を向きながら目を開けるからだろうが、使い物にならないからな。」

「……う~早く着て下さい。」


 どうにか隠れるくらいか~? みたいな背丈だった。俺に染み付いた臭いは歩いていたら苦にはならなくてもだ、立ち止まると臭ってきて困った。


「な~逃げる力はないんだ、縄を解いてくれないかな。手首が痛くて敵わない。」

「……お静かにされて下さい、ご機嫌が悪くなれば、」

「悪くなれば?」

「その~パンを食べられなくなります。」

「はい、黙ります……。」

「まぁ可笑しい。」


 奴隷商人のソフィア・ルージュが率いる馬車だと教えられて、王都へ行って多くの奴隷を仕入れてきた帰りだと聞かされる。


「と言う事は……?」

「……そういう事です。」

「理解した。俺は異世界落ちしていきなりの奴隷落ちかよ。バッドエンドの物語か?」

「……お静かにされて下さい、ご機嫌が悪くなれば、」

「悪くなれば?」

「その~……、」

「なんだ?」

「鞭が飛んで来ます。」

「はい、黙ります……。」

「まぁ可笑しい。」


「お前、優しいな。名前は?」

「……お静かにされて下さい、ご機嫌が悪くなれば、」

「悪くなれば?」

「その~……、」


「バチーン!」

「アゥチ!」

「そういう事です。」

「はい、黙ります……。」

「まぁ可笑しい。」



 ❖   ❖ 


 俺は衛星都市モンマルトに着けば水に浸けられて洗われて身ぎれいにされて何処かの貴族の屋敷へと招待された。……売られた訳だ。手元資金はゼロだよな、だったら売上金の半分は寄越せと言ってやった。


「バチーン!」

「アゥチ!」

「そういう事です。」

「はい、黙ります……。」

「まぁ可笑しい。」

「お前もか?」

「はい、一緒に売られたようです。私は……?」

「俺か? 俺は……誰だ?」

「私は……リリー、貴方はルイ。」

「ルイか、いいだろう。」

「良かった!」


 俺はルイ、奴隷だ。この子はリリー、奴隷だ。他にも男の奴隷もいたが体躯がいいので戦士にされた。早死にするのか、可哀想と思って見ていたよ。


 俺は魔法が使える……黙っていようっと。逃げ出す時には派手に使ってやってもいいからね、


「見ていろ~ゴミ虫どもが~。」


「バチーン!」

「アゥチ!」

「そういう事です。」

「はい、黙ります……。」

「まぁ可笑しい。」


「お前ヒョロイな。あの奴隷商は……掴ませ物か?」(掴ませ物は誤りだぞ。)

「はい、とても小さいので女の子から笑われました。イカガワシイ……かませ物です!」

「いいだろう、お前の仕事は兵士たちの玩具だ、死ぬまで奉仕していろ。」

「お大臣さま、どうかそれだけはお許し下さい。私の夫でございます、まだですから……どうか引き剥がさないで下さい。」(引き離さないでと言いたいのよね)

「はい~?」

「カカカ……中々に男思いか。お前は俺の下の世話だ。」

「良かったな~リリー……子を孕んで良き妻になれよ。」

「え……助けてくれないのですか?」

「どう考えても無理だろう。」


「観念したか、連れていけ。」

「はい。」


「女、付いてこい。」

「はい。」


「あ~馬のション**臭~風呂に入れてくれ。そこの女の子も馬糞の掃除で臭いぞ!」

「イヤン!」


「本当か!」

「はい。」x2


「ばい菌だ、先に奴隷の風呂へ案内しておけ。」

「はい。」

「ありがとうございます。」x2


「奴隷の風呂は一つだけ?」

「そうだ、いつも女は先に入れさせているが、今は誰も居ない。早く入れ。」

「ありがとうございます。」

「イ……や~ありがとうございます。」

「あん?」

「入るぞリリー、洗ってくれ。」

「はい……ジュー……。」

「頭から湯気だして……可愛いな。」

「う~恥ずかしいです。」


 ま~二人とも臭いというのは嘘だ、誰もいない風呂で身体を洗ってから逃げると決めた。リリーは攫って逃げる、この子には色々と世話になったし可愛いし好きだし処女だろうし脳天気な性格だろうか、今後の手助けを頼まなくてはならない。


「リリー……、」

「見ないで。」

「いいぞ、」

「はい。……キャー!」

「下を向きながら目を開けるからだろうが、今から洗ってやるぞ。」

「……う~……さい。」


 リリーは小柄な女の子だ、男の力で簡単に振り回せる事が出来た。色白で気に入った、俺の嫁っ子だ、末は妃になる女の子。


 初っ端からサービス回とか予定していなくてリリーは裸を見られて喜んだ事だろう。


「ほらほら脚開いてちゃんと洗う。」

「イヤ~……ダジゲデグダザヂ~……。」

「お前の都合は聞けない。逃げるから騒いでいろ。」

「はい?……イヤ~……ダジゲデグダザヂ~……。」

「胸……丁度いい、好きだぞ。」

「イヤ~……ダジゲデグダザヂ~……。」

「頭出せ、」

「イヤ~……ダジゲデグダザヂ~……。」

「足の裏。」

「どうぞ、あはは……ダジゲデグダザヂ~……。」


 気分転換にと入った風呂は中々に善かった、何処が? オモチャに出来る女の子がいたからね。タオルで拭いて着物を着ると……臭い! ま、それでも裸で逃げるよりもマシだろう。


 俺は右手を胸の高さまで上げて人さし指を立てた。この指先に魔法陣を描き出し、それを大きく広げて俺とリリーを包み込んで消えていく。転移した地点は街門よりも離れた林の中にだ。人目を忍ぶからには徹底的に、だな。


 翌日の夜になれば、俺は貴族の館に転移して忍び込んだ。勿論、金庫破りをするのはいいが、丸ごと持って来たからな~当分は街に戻れなくなってしまう訳よ。



 ここマリアナ神皇国王都の衛星都市モンマルトに有名な奴隷商人がいる。新興国も含めて大陸の各地で争乱が絶えないと聞いたし、大陸中央部にある神皇国の王都・モブランでも、今は南の周辺国からの侵攻が始まりだしていた。


 俺とリリーの逃避行が始まった。と、考えていたら貴族の連中が戦場へと駆り出されて帰らぬ人たちとなっていた。


 あの貴族の館に立てられていた旗が騎士により掲げられて街門から出て行ったならば、無事に逃げられると思って衛星都市モンマルトへと戻ってきた。


 奴隷商人のソフィア・ルージュを訪ねていき、リリーの所有権を勝ちとっておいた。


「まぁ……アハハハ……その話しを聞いてとても気分がいいわ。エルフの逸材がいるの、要る?」

「おお……頂こう。」

「まぁ、金貨一千枚ね。」

「金取るんかい!」

「当たり前でしょう、払いなさい?」

「俺を売った代金は幾らだ?」

「……十枚ね。」

「安!……帰るわ。」

「えぇ待っているわ。」

「俺を助けてくれたし……手持ちの五百でどうだい? 以上は持っていない、稼げないから。」

「いいわ、……シルフィを呼んできて。」

「はいご主人さま。」




*)魔法が使える人物は少なすぎる


 連れて来られたエルフは俺好みでとても綺麗だった。俺の後頭部にリリーの熱い刺線(、、)が突き刺さる。捻くれ転生の裏話とは段違いのスピードのある出会いがあった。


「シルフィ、お前は売れたからね。今度はこの男がご主人さまだよ。」

「はい……ブス女! 売られて清々したよ。あ~苦労した。」

「お前……?」

「まぁシルフィ……悪かったわね。もう自由だからね。」

「はい、ありがとうございます。」

「いいのよ、今度は攫われないようにね?」

「はい。……で、これがご主人かい?」

「お、おう、リオと言うがよろしく。」

「名前が違います、ルイさまです。」

「どちらでもいいわ、ルイ、連れて行きなさい。」


「おい、こんなのがエルフの逸材って嘘だろう?」

「口が悪いだけよ、直ぐに従順になるわ。」

「性格は?」

「口が悪いだけよ、直ぐに従順になるわ。」

「根性は?」

「とっても素晴らしいわよ?」

「要らね~帰る。」

「返しませんよ。」

「いいよ、助けてくれた駄賃よ。またな。」


 俺はスタート地点と考えていた衛星都市モンマルトを見限って、王都へと向かうと決める。


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