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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

スライムだって英雄になれるモン!

作者: 猫舌の神

 ボクはスライム。名前は、まだない。


 というか、つい最近まで個体別に名前があるなんて知らなかった。そんなボクだけど、実はいま凄い人と一緒に旅をしている。


 元々、ボクは森の中で、親であるマザースライムから生まれ出て間もないスライムなんだ。そのスライムが、なぜ旅をしているのか?それには、深い深ぁ~い理由があるんだ。


 それはねぇ、ボクが生まれてから間もない頃に、森の中でコボルトに狙われてしまったんだ。必死になって逃げるボクを、コボルトは一切あきらめる事無く追いかけてきたんだ。


 ボクは一晩中、森の中を往ったり来たりしながら逃げていたんだけど、とうとう力尽きて止まってしまったんだよ。


 もうダメだ!生まれたばかりで死ぬのはイヤだ!とそう思って動かない足(足は無いんだけどね!)を引きずりながら、木の陰に隠れようとしたんだ。


 でもね、直ぐにバレてコボルトが持っていたナイフで“刺される”と覚悟した瞬間、奇跡が起こったんだ。それは何かって?それはねぇ、英雄がコボルトを倒してくれたんだよ!


 英雄といっても“ボクの英雄”的なモノじゃなく本物の英雄なんだ。


 こんな生まれて直ぐのボクでも知っている本物。それは、英雄 ドラゴニュート様だ。


 ボクはその英雄 ドラゴニュート様から助けられた日から、その事を切っ掛けにずっと英雄にあこがれていたんだ。ドラゴニュート様にあこがれて、ボクもいつかは、英雄になるんだと心に決めたんだ。


 でも、周りにいる仲間であり兄弟でもある他のスライムたちからはバカにされる。ボクも他のスライムの立場なら同じことを思っていただろう。


 でもあの時、ボクの目の前で起きた事を思い出すと今でも胸が熱くなるんだ。


 胸――無いんだけどね。


 だからボクはゼッタイ諦めたくなかったんだ。それからは、少しでも強くなろうと色々試してみた。別に強い魔獣にたたかいを挑むなんてことを考えたりしない。


 ボクは、ひたすら濃い魔素をもった草花をムシャムシャと食べ続けていた。ただ、それだけだった。でもボク自身は、それでも強くなっているつもりだったんだ。


 ところがある日、眠っているトレントの葉っぱをモシャモシャと食べていたら気付かれてしまった。目覚めたトレントは、その巨体を激しく揺すぶらり、ボクを振り落とそうとした。


 ボクはそれに抵抗すらできず、あっさりとドコか遠くの森の中に飛ばされてしまったんだ。


 それだけなら何とかなると思ってたんだけど、勢い余ってゴロゴロと転がりつづけ、とある洞窟におちてしまったんだ。



 どれぐらいの時がたんだろう?気づけば、ボクは薄暗くジメジメと湿った空間のなかにいた。ここはドコなんだ?確かに洞窟へ落ちたところまでは覚えていた。


 そのあとは、至るところの壁かなんかに当たりながら下へと落ちていった気がする。そんなボクが空間の遠くに見えるモノに恐怖をおぼえた。


 ボクが初めてみた最初の人工物。


 あとから聞いて知ったそれは、魔王城というものらしい。うす暗い空間の中で、禍々しい光を放ってそびえ立っていた。その禍々しさは、かつてマザースライムが激怒した時に放ったモノよりも恐ろしかったんだ。


 しかも、恐ろしい事は、それだけじゃなかった。実は、その魔王城の上空で偶然に英雄 ドラゴニュート様と魔王 マンドゥーラの死闘を目撃してしまったんだ。とにかく凄まじかった。


 いまでもボクが何で生きているのか不思議なくらいに。


 それほどまでに壮絶な戦いを繰り広げていたんだ。それは三日三晩、イヤそれ以上の長い時をすぎていたんだと思う。だって洞窟の深い深い地下にある空間だったから正確には分からない。


 少なからずボク自身が4回だけ眠くなったから、それを基準に数えたら4日か5日は、たっていると思うんだ。


 その最中、ボクは英雄と魔王が放つ衝撃波に何度も吹き飛んだ。その度に意識を失いかけ。たけど、がんばって耐えたんだ。


 本当だよ!


 なぜかスライムのボクが、勇者と魔王が放つ魔力に、たえられたのは不思議でしかない。今更ながら身ぶるいするよホントに!


 でもその戦いも、突如おわりを告げる事になる。


 英雄 ドラゴニュート様が放つ神々しいほどの光の球が、魔王 マンドゥーラのカラダを包み込み、魔王らしき絶叫があたり一面に鳴りひびいた後、魔王は消えていたんだ。魔王城とともに。


 ボクは運良く?消滅する事無く生き残った。だから英雄 ドラゴニュート様にもボクの存在をいち早く認識されてアッサリと救い出されたんだ。


 最初こそ、魔王の眷属の生き残りと、かん違いされてしまい、攻撃されそうになった。あせったよボク。


 だから慌てて前にあった事があるボクだと、叫んだから今も無事に生きていられるんだ。


 そうしてボクは、魔王に討ち勝った英雄に助けられ、ボクが元いた森まで戻る旅に出る事になった。


 英雄 ドラゴニュート様が言うには、魔王がいたこの森とボクがいた森は、くっ付いていてスゴク大きいんだそうだ。


 しかも名前があるらしい。


 その名も『神代の迷宮大森林』と人間から呼ばれいてるらしい。


 そして、森の周りには幾つもの国があり、ボクがいた元の場所に戻る為には、一旦森を出てから国をいくつも通って行かないと戻る事ができないと教えられた。


『神代の迷宮大森林』かぁ!?ボクがそんな所にすんでたなんてビックリだ!


 そんな事にビックリしていたボクは、英雄 ドラゴニュート様の提案に従って一緒に旅に出ることにした。そうだ!今からだ!まだ見ぬ世界へむけてボクの冒険が始まるんだ!!


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