表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

なろうラジオ大賞応募作品

バンドリ~雪山ドリーム~

 なろうラジオ大賞用小説第十二弾!


『ここから、はよ逃げぇ』


 夢の中でそう言われ、目が覚めた。

 と同時に、夢の中で誰がそう言ったかすぐ思い出し「嘘でしょ」思わず(つぶや)く。


 私の名はユキ。

 獣人国王家に(つか)える霊媒師の猫獣人。


 そんな私は、最近国内に流通し始めた謎の呪具――使用者に死をもたらす装備の()(どころ)の調査のため、隣国の人間の国との国境にある雪山までやってきていた。


 運良く売人を見た獣人の目撃者によると、この辺に売人がいるらしい。


 しかし途中から。

 失せモノ探しの術も使ってるのに。


 売人を見つけられなかった。


 捜索を妨害する魔術が周囲にかかってるのか。


 だが私は(あきら)めず。

 捜索を続け、過疎化が進んだ人間の村を発見。


 国境線があやふやな地域だ。

 だから人間がいてもおかしくないが……どうも怪しいので、私は周囲に気を配りながらその村の、とある家に住むお婆さんに「道に迷った」と嘘を吐き一晩世話になり……そして夢の中で先ほどの台詞を聞いた。


 何度思い返しても身震いする。


 あの声や喋り方。

 私の同僚で、半月前に里帰りのため休暇を取った鼯鼠(ムササビ)獣人のリキではないか。


 そして夢の中でその声を出したのは。

 この家の居間に掛けられてるバンドリだった。


 まさか、この家は売人の家で。

 そしてリキは売人によって呪具に……バンドリにされてしまったのか。


「ば、売人はッ?」


 私はすぐに、売人の様子を(うかが)うべく。

 音を立てずにゆっくりと部屋を抜け出し売人を捜し……リキが掛けられてる居間に売人が!


「ヒッヒッヒッ。今度の獲物は三味線の皮にしようねぇ」


 ッ!?

 売人の独り言で思い出す。


 確か人間の国には三味線という楽器があり猫の皮はそれに使うと……許せんが、その前に脱出だ。無論、リキ共々な!


()(めん)!」


 私はドアを蹴破りそのままドアを売人に当て気絶させ。

 リキであったバンドリを掴むとそのまま家を飛び出した。


     ※


「リキ……絶対元に戻すからな!」


 私はリキを掴んだまま、夜の雪山を(くだ)る。

 だがどうした事だろう。途中から、力が……入らない。


 馬鹿な。

 まさか、使用どころか……触れているだけで、呪具は効果を発揮するのか。


 だが、獣人の村まであとちょっと。

 あともう少し、歩き続ければ私達は――。











「さぁお食べ」











 次に目覚めた時。

 私の目の(しょう)(てん)(さだ)まってなかった。


 でも、温かくて。

 居心地が良くて。


 何が周りにあるかなんて気にならなくて。











「お食べ」











 だからこそ、()()()()()()()その声に素直に従い。











 (にが)い丸薬を飲み。











 体が熱くなり始めて――私は皮だけになった。
















 中国妖怪『チー』が作った妖怪を反物に変える丸薬みたいなイメージです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] えっ、まさかの展開でビックリしました! [一言] 現実の皮を作る工程を考えると、このほうが見た目的にスマートな感じがして皮を作りやすそうです。 相手が知的生命体なので特にそう感じますね………
2024/01/29 12:16 退会済み
管理
[良い点] 意思疎通が出来る獣人を道具や工芸品に変えてしまうのは、何とも闇深な感じがして強烈ですね。 これと同様の事を獣人側が人間に対して出来るようになれば、また状況も変わってきそうです。
[良い点] これはとんでもないことに……。 やはり三味線の一部になってしまうんでしょうか。 バンドリ。 これって化け物で、ムササビの別称でもありますね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ