デパートの屋上にある遊園地
すべて開示して始まる小説です。
まだ幼い恋心と呼べる二人の恋。
それが大好きになってしまったので余分な装飾を外して皆さんへ。
「だって、もう先輩は生きていないじゃないですか」
「…え?」
「こうして僕と会話ができているんです」
「どうして君とお喋りしていると私が死んでいる事になるの?」
「僕も生きていないんです」
「…」
「僕も最近、気付いたばかりなんです、自分が死んでいるって事に」
「…そっか」
<屋上霊園へ>
デパートの屋上。
僕の好きな場所だ。
100円で動く動物の乗り物。
10円で一回プレイできるクレーンゲーム。
わたあめを自分で作れる自動販売機。
ちょっとした遊園地のようになっている。
昔のデパートには、どこにも家族で楽しめる、こんなスペースがあったそうだ。
いつだったか、弟と僕を連れて来た父が、懐かしそうに話していたのを覚えている。
だから、弟が交通事故で亡くなった時。
あいつの大好きだった、この場所に埋葬する事を提案した。
幸い、このデパートは風変わりな趣旨なのか経営哲学なのか分からないが、そんな楽しげな場所に墓標は立った。
ここに弟は眠っている。
「先輩、ここに弟のお墓があるんです」
珍しそうに辺りを見回していた先輩に告げた。
「え?」
すっかり楽しいデートになるのだと思っていた先輩は、ふいを突かれて呆然とした。
「先輩を、弟に紹介したかったんです」
「こんな場所にお墓があるの?」
どうやら先輩は混乱しているようだ。
それも仕方ない。
こんな場所にあるとは思わないだろうし、遊園地の中にお墓。
それもデパートの屋上。
僕は、そっと指差した。
小さなお花屋さんの先に、いくつかの墓石が立っている。
指差す方向を見て、初めて先輩も霊園の存在を認識した。
「お、弟さん…の事、ぜんぜん知らなくてごめんなさい」
騙まし討ちのように告げた事なのだから、先輩そんなに落ち込まないでください。
「そんなのいいんです、少しだけ僕の自分勝手でみっともない時間に付き合ってくれませんか?」
正直な気持ち。
本当に先輩の気持ちなんて考えていない行動だ。
それでも先輩には、この場所に付き合って欲しかったし、ゆっくり話しを聞いて貰いたかった。
「もちろん」
大きく頷いた先輩の髪。
ふわりと広がって綺麗だった。
いつもの笑顔で快諾してくれた事に、ちょっぴりの罪悪感。
それから二人で霊園に向かった。
簡易遊園地の喧騒が嘘のように消える。
入り口にあるお花屋さんで白い花と、線香花火を買った。
もちろん先輩は不思議そうにしていた。
「お花屋さんで花火が売っているの?」
「線香花火、弟が好きだったんです」
先輩の顔が見れない僕は、そっけないくらいに、それだけ伝えた。
ふーん、と先輩は何度もお花屋さんを振り返っているようだ。
「本物のお線香より、似たような名前だからこっちを喜ぶだろうって、いつもなんです」
霊園で不謹慎な冗談を言っているような気持ちになってしまった。
「えっと、それは笑えばいいのかな?」
そこは先輩らしくつついてくれた。
「こうして言葉にすると不謹慎なんだと今気付いたんですよぅ」
ちょっとお道化てみせた。
「にしし」
場所柄からか、控えめな笑顔を見せる先輩。
ああ、やっぱり大好きだ。
僕は先輩が大好きだ。
しばらく歩いて弟の眠る場所に辿り着いた。
「今日は先輩にも協力して貰いたいんですが…」
「ん?どゆこと?」
差し出した線香花火。
それを受け取ってくれたものの、先輩には意味が分からないようだ。
「線香立てに、この線香花火って立ちませんでしょ?」
「ふんふん」
「だから、なるべく長く消えないように、このお墓の前で花火を光らせるのが、僕の考えた弟用の供養って言うか…」
「君ってやっぱりロマンチックだよ!」
まるで日曜の朝、カーテンを開けたら天晴れな日本晴れだったような、そんな表情をする先輩。
少し照れくさい。
「そ、そう言う感じじゃなくて、そのですね…あのですね」
何か上手い言い訳を考えてみたが、当然思い付かなかった。
僕にしてみたら、意識せずに習慣になっていた事だったから。
「違う違う!褒めてるんだよ!」
僕の狼狽ぶりに焦ったのか、両手を激しく振る先輩も素敵だった。
「あの、まあいいです」
恐らく僕の顔は真っ赤だったのだろう。
先輩が優しい目で微笑んでいた。
それからの数分間。
高い場所ゆえの強風を、必死に手の平で遮りながら、二人で線香花火に火を点した。
パチパチと音を立てる灼熱の小さな玉が落ちるまで。
用意した数本の線香花火が全部燃え尽きるまで、僕は弟の事をポツリポツリと話した。
よく二人で遊んだ事。
とても仲良くしていた事。
あいつが大好きで、いなくなった時は、真剣に後を追おうと思った事。
どうすれば後を追えるのか、幼すぎて分からなくて、途方に暮れた事。
ずっと、黙って聞いてくれていた先輩が、その時だけ一言。
「それは分からなくて良かった、私がね…もちろん君もだけれど」
そう言ってくれた。
それから人の生きる事。
人が死ぬって事を深く、真剣に考えるようになった事。
聞き漏らさないように、先輩は真剣に聞いてくれた。
燃え尽きた花火の残骸を片付けて、先輩の手を引いて霊園を後にした。
すっかり人のいなくなってしまった遊園ゾーンまで戻り、夕日が見える位置にあるベンチに座った。
先輩を手を握ってしまった。
さっきの告白と良い、今日の僕は勇者のように男らしいじゃないか。
初め、照れていた先輩も、今は心地良い力加減で僕の手を握っている。
すっかり気持ちが通じ合った恋人同士になった気分だ。
心臓が早鐘のようにドキドキするって経験は出来なかったけれど。
そこは冷静に自分を俯瞰していた。
「だからかも知れないんです」
そう切り出した。
実は、事前に頭の中でリハーサルをしていた。
しかし、先輩のロマンチック発言で、考えていた内容が飛んでしまっていた。
大した説得力も無い内容だったので、こうしてぶっつけ本番で切り出すのと、そうは変わらないのかも知れない。
「だからって?」
僕の声のトーンの変化を感じて、先輩の表情が少しだけ緊張していた。
「だから…ちょっぴり残酷な話になっちゃいますが」
「う、うん」
きっと勘違いをさせてしまったのだろう。
先輩の握る力が痛みを感じるくらいに強まった。
「あ、そういう話でなくて、えっと」
しまった。
順番を間違えてしまった。
これだけはアドリブじゃなく、予定通りに。
リハーサルした時と同じ順番で進めなくちゃ。
僕だって男なんだ。
「先に…先に言う事がありました」
「え?え?」
「僕、先輩が大好きです」
緊張から驚いて、すぅっと柔らかくなって、嬉しそうにして。
一瞬で、こんなにも沢山を表情をする先輩。
やっぱり大好きだ。
「あっ、あのね…うん!わたしも君が大好きだよ!」
年上の威厳を保ちたかったのか、何故かお姉さんっぽく答えた先輩だけれども、声のトーンが普段より高くなっていた。
もちろん先輩も自覚したらしく、照れと恥ずかしさの入り混じった複雑な感じでモジモジしていた。
これから永遠の愛を誓い合うのもいいだろう。
どんな恋人同士になるのか、互いに照れながら意見交換をしたり。
まだ中学生だからキスまでだよね、とか自制してみるなど。
沢山の話題が用意された時間だ。
けれども、僕の口からは、僕の告げた次の言葉は。
「先輩」
「うん?」
「先輩は、この世界に存在しない人なんです」
「え?」
「だって、もう先輩は生きていないじゃないですか」
「…え?」
「こうして僕と会話できているんです」
「それがどうして私が死んでいる事になるの?」
「僕も生きていないんです」
「…」
「僕も最近、気付いたばかりなんです、自分が死んでいるって事に」
「…」
初めて女性が絶句するのを見てしまった。
それは、すごく心が痛くなる、今更ながら後悔するような顔だった。
<君といつまでも本当に永遠に>
しばらく先輩が落ち着くのを待とうと思った。
それだけ先輩は混乱している。
戸惑ってもいる。
僕が守らなくちゃいけない。
器用に天国の話から入ったり出来ない、不器用な僕なりの精一杯。
それでも僕が好きになった人は強かった。
「ちょっと何がどうなっているのか分からないの」
ゆっくり、自分でも何かを確認するように先輩が話し出した。
「自分が生きていないって事は、つまり僕の言葉を信じてくれるんですね」
これは素直に驚いた。
僕が初めて自分の真実に気付いた時、まず信じられなかったからだ。
何かの間違いだと頑なに認めなかったし、なにより気が動転して思考なんて出来なかった。
「それは信じるよ、こんな冗談、君は言わないもの」
不安そうな震える先輩の手は握ったままだった。
ほんの少し強く握る。
不安をそのまま伝えるように、先輩も強く握り返す。
「もっと優しく伝える方法や、なんて言うか先輩がショックを受けない伝え方ってあったはずなんですが…」
「うん、それは後で怒るから!」
申し訳なさそうに言った僕を気遣ってか、いつものように口調を戻そうとする先輩が愛しい。
こんな時まで僕を気遣ってくれる人。
本当に大切な人。
「沢山怒ってくださいね、ずっと一緒なんですから」
その言葉の意味を理解したのか、先輩の震えが止まった。
そうなんだ。
たとえ僕が生きていなくても。
先輩が世界に存在しなくとも。
二人が一緒にいられる事には変わりがないはずなのだから。
「もう大丈夫だよ」
大きな深呼吸の後、先輩は笑った。
まるで、自分の生死なんてどうでも良いかのよう。
大切なのは別の事だと笑い飛ばすように。
「理解するつもり、だから説明して」
その言葉に促されて、僕は二人を<とりかこむ>真実を語り始めた。
僕自身が死んでしまったのは、恐らく何十年も前の事だ。
今が平成23年。
子供の安全と、企業の危機管理に風当たりの強い時世だ。
デパートの屋上に、遊戯スペースなど設置出来るわけもない。
どこかに残っているのかも知れないが、この東京の中心に残ってはいない。
衛生的に問題のある、わたあめの自動販売機も、乗っている子供が落ちるかも知れない電動式の乗り物も。
現代では設置する事が、現実的に不可能なのだ。
ましてや、霊園が併設されているなんて。
どこかに世界一変わり者の経営者がいたとしても、ビルの屋上に霊園を併設しようと試みたとしても。
その隣に家族の憩いの場があるなんて成り立つはずもない。
不可能な事なのに、そこにあるって事。
それは僕の見る幻想なのだ。
これからデパートの屋上にある遊園地に行きましょうと先輩に告げた時。
先輩に先入観が植え付けられた。
デパートの屋上に遊園地がある。
僕が言った言葉により、『現代っ子』の先輩にも、そうした場所があると思い込む準備が出来ていたのだ。
僕達のような存在は、不思議な事に、見たい物を目の前に作り出す性質があるらしい。
もちろん僕の弟が亡くなっているのは事実だ。
しかし、眠っている場所は別にある。
確かに線香花火を線香代わりにしていた事もある。
だが、それは僕の生きていた頃の話。
まったく別の土地で、まったく別の時間。
そうしていた事があるだけなのだ。
ある日、先輩と出会った、あの場所に立っていた僕は、弟の墓参りに行きたいと思い付いたのだろう。
けれども、本当のお墓の場所を思い出せなかった。
それは悲しくて寂しくて。
だから、僕に取って都合の良い弟のお墓を作り出したのだ。
あいつと遊んだ想い出の場所。
それが見える場所に眠っていたら、あいつ喜ぶだろうなって。
そう考えた時、この場所は当たり前に存在していた。
その曖昧な空間を、僕は疑う事なく真実だと思っていた。
ここに通うのが、朝起きて学校に行って、帰宅してごはんを食べて、宿題をしなくちゃと思いながらも、そのまま寝てしまって翌朝焦るような当たり前になっていた。
そこまで強く思い込んでいる、僕にしか見えない情景。
この場所に来た先輩には、先入観のあった遊園地だけが見えていた。
僕が見ていた遊園地とは、きっと違う形の現代的な遊園地が。
だから、霊園があると告げた時、先輩は戸惑ったのだ。
僕が霊園を指差すまで。
僕が指を差し示し、そこにあるのだと強調する事で、先輩と僕の心にある何かが同調したのだろう。
先輩にも霊園が見えるようになったのだ。
今まで先輩と過ごした時間の中で。
実は同じような事が起こっていた。
あの<>の会話も、あの時に驚いた<犬>も、たぶん僕にだけ、先輩にだけ見えていた物だった。
どちらかが『ある』と断定した瞬間に、それは二人の共通した認識に変化したのだ。
確信を持ったのは、打ち明けてしまえば、ついさっき。
線香花火に火を点した、あの霊園を見た時だった。
あそこに弟が眠っているんです。
そう言った僕が見る方向に顔を向けた先輩。
その先輩の瞳には、何も映っていなかったのだ。
ただ、金網越しに広がる空だけが映っていた。
それなりに落ち込んだ。
僕だって自分が生きていないなんて、最後まで信じたくはなかった。
先輩と恋が始まって、楽しく過ごして喧嘩してキスして泣いて笑って結婚して。
暖かい家庭を持って、なんて言う皮算用が泡と消えた瞬間なのだから。
それでも、さも知っていましたよと振舞っていたのは、先輩を怖がらせたくなかったから。
怯えさせたくなくて、絶望させたくなくて、悲しませたくなくて、とにかく大丈夫なんだと伝えたくて。
だから、それで、一生懸命に、がんば…。
でも、先輩まで、僕が見たいと思い込んでいる幻だったらって考えた瞬間。
たった今。
思い付いてしまった疑問。
「先輩…ごめんなさい先輩、一人で抱えられなかったんです」
落ち着いて、冷静に真実を語っていた僕だけれど、ここまでが限界だったようだ。
泣き言って不思議だ。
口にした途端、本当に泣いてしまうのだから。
必死に支えて踏ん張っていた不安に、たった今、押し潰されてしまった。
「うん、うん、大丈夫だよ」
先輩は、あの日のように僕の頭を優しく撫でてくれた。
「ぎっど…女の子の先輩の方が…不安な…はず…なのにっ」
お腹がヒクヒクとして、もう上手に話せなかった。
「平気だよ、わたしは平気だから今は泣いていいよ」
先輩に抱きしめられた!
こんな時なのに、僕って奴は内心ドキドキしている。
心臓は動いてないけど。
「大丈夫だよ、ちゃんと大丈夫だからね?」
先輩は引き続き優しく話しかけてくれている。
僕は先輩の胸に頬が当たるかも!?とか考えているのに。
先輩ごめんなさい。
あれ?
本当に大丈夫みたいだ。
心の中でも無理して馬鹿な事を考えてみる物だ。
どうやら少しだけ落ち着いた。
でも、お腹のヒクつきが治まらない。
「ぜ、ぜんぱい…は、僕の見たい幻みたいな物じゃ…ないでずよね?」
ここは甘えさせて貰う。
気持ちは落ち着いてきたけれど、この不安だけは払拭しておきたかった。
「うん、わたしも思い出した事があるの」
「ぜんばいも?」
こうして心の中では、冷静さを取り戻しているはずなのに、口から出る声は、なんとも情けない。
「わたしね、きっと筋肉の病気で亡くなってるの」
「ぜ、ぜんばいが?」
「そう、なんとなく確信めいた物って言うのかな?」
「がぐじんめいたもの?」
まるで僕はアホの子みたいにオウム返しをしている。
もっと格好良く聞けたら先輩にモテるかも知れないのに、悔しい。
「いつどこで、って事は思い出せないんだけどね」
「うっ、うっぐ…はい」
「こうして君を力一杯抱きしめられる事が嬉しいなって思ったらね」
「は、はい」
「スーって浮かんじゃったんだ、体に力が入らなくなって、弱って行く毎日泣いていた自分の姿」
「ううっ、ぜんぱい…可哀想でずっ」
「君が言う?」
先輩は僕を落ち着かせるように、いつもの調子に戻って、いつもの先輩になっていた。
「だから安心して?変な言い方だけど、わたしも生きていないから」
「ちゃんと、先輩は…ここにいるんでずね?」
「うん、君と同じ、だから大丈夫」
「あい…あい」
僕は、先輩が消えてしまわない事に安心した。
そして、先輩には申し訳ないけれども、先輩が僕と同じく、もう生きていない事に喜んでしまった。
それは後で、しっかり先輩に伝えた。
先輩は笑って、『途中まではクールな感じで格好良かったのにね』と、からかうように微笑んでくれた。
泣き止んだ僕は、拙い言葉で先輩にプロポーズした。
「きっと僕達が望まない限り、二人は永遠に一緒にいられるはずです」
「きっとわたし達は離れる事なんて望まないと思う」
「だから僕と結婚してください」
「はい」
<エピローグ>
何度目かの夏がきた。
すっかり生きていない事に慣れた僕達は、毎日を面白おかしく暮らしている。
最近のブームは空中遊泳だ。
はい?
ああ、空を飛んでみたりしているんですよ。
ある時、先輩が言ったんです。
「ねぇ?空も飛べるはずって歌、君知ってる?」
「すみません、昭和の中学生なもので」
「もう、その時代が違うネタはダメって言ったでしょ!」
わりかし本気で怒られたり。
実際、僕達の時間は中学生と女子高生で止まっている。
どうやら何年こうしていても大人にならないらしい。
僕なんかは、いつまでも子供でいられてラッキーなんて思っているんだけれど、先輩は複雑なようだ。
ただでさえ年上の彼女ってのが、女子的には引っ掛かるらしく、要するに頼りがいのある年上の彼氏に憧れると。
そんな先輩の乙女心を慮って、享年から数えたら僕が40歳ぐらい年上ですよ、と伝えたのだ。
それはそれで悩み所らしい。
年上すぎると。
リアルに考えたらですね、おじさんと付き合っている事になるのかも?と。
その時、ちょっと先輩が真剣に青い顔をしていたので、僕としては冗談にするしかないのです。
笑い飛ばして冗談にして慣れて貰えればと。
そもそも、僕の頭の中も行動も中学生って事に揺るぎないですし。
そんなやりとりの後。
「思っている事が現実のようになるなら、不可能って無いんじゃないかな?」
「あー、なんかそんな気がしますね」
「空も飛べると思ったら飛べたりして!」
「はっはっはっ、先輩は時々ダメな子になりますねー」
「なによー!」
「いくらなんでも非現実的すぎるでしょう、僕達が言うのもなんですが」
「いいから!」
「ちょ、ちょっと先輩!?」
そう言って先輩は僕の手を掴んで走り出した。
高く跳ね上がる。
もちろん僕も、それに合わせて飛び上がった。
そのまま空高く僕達は舞い上がって行く。
本当は僕も信じていた。
二人なら、どんな事だって出来るって。
僕達しかいない世界だけれど、それでも僕達だけの世界は奇跡で出来ているのだから。
僕がいて。
先輩がいてくれて。
二人が出会って恋をしたのだから。
どんな形でも、恋をして思いが通じ合う事。
それ自体がミラクルなのだから。
会話劇を書いてみようと思い立ち書いた作品です。
短編の登場人物に愛着が湧くわけもなく、面白い会話にならず後悔。
捻ってサゲで驚かせる話にしようとし、いや最初からバレバレの物にしたら行けるのでは?
そう思って行けなかった愛すべき作品です。
最後まで読むと二人に愛着が湧くので、続きを書いてみたら行ける気がしています、会話劇。
書こうと思った動機は、売れっ子ラノベ作家に女子大生の彼女をNTRたからです。
ラノベ主人公みたいに鈍感な40男とのセッは満足かい!?
どうなんだよ理沙ちゃんよぉ!!!!!
ファッ!!!!!!!!!