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第1話 僕と幼馴染

「おはよう(ゆう)くん」

「おはよう麗華(れいか)


幼馴染である麗華が、いつも通り僕の家のリビングに座っていた。


僕は麗華に笑顔でおはようの挨拶を返すと、ダイニングテーブルにあるトーストしたパンにマーガリンを塗ってその上からマヨネーズを掛け、さらにスライスチーズを乗せて(かじ)りついた。


「優くん好きだね。それ」

「うん。僕はこれが食パンを食べる時の王道(おうどう)だと思うよ」


「そんな訳ないでしょ。それにマヨネーズ使い過ぎだからね」

「いいんだよ。僕は好きなんだから」


麗華と朝からそんなやり取りをしていると、母さんから注意される。


「優太、早く食べないと遅れるわよ。麗華ちゃんゴメンね、いつも迎えに来てもらって」

「ううん。すぐ隣だし」


僕はパンを食べながら麗華をチラチラと(なが)める。

大谷麗華(おおたにれいか)、彼女は背が高くてスタイルも良く、高校に入学してからまだ4月なのに早くも学年の3大美女と(たた)えられるほど顔も可愛い自慢の幼馴染だ。


僕は五条優太(ごじょうゆうた)、麗華と同じで今年から高校に入学した一年生だ。

僕はというと自分では中肉中背だと思っているけど、背は少し低くて麗華(いわ)くぽっちゃりさんだそうだ。


でも父さんは長身でイケメンといっても良いし、母さんもスラッとした美人だし嘘かホントか20代に間違われる事もあるとの事だ。

父さんも子供の頃は小さかったという事なので、今後に期待して欲しいと思う。


僕と麗華は小さい頃からいつも一緒だった。

お隣りさん同士という事もあるんだけど、麗華は小学生の頃にお父さんを亡くしているので親はお母さんだけだ。

僕の母さんは時間に都合がつく仕事みたいなので、僕の家が協力して学校から帰ったら麗華を預かる様にしていたからだ。


そして何と僕たちは恋人としても付き合っている。

どんどん綺麗に可愛くなっていく麗華を誰かに取られるのが怖くて、中学三年生の時に僕から思い切って麗華に告白したんだ。

麗華は最初は少し戸惑ったようだけど、最終的には笑顔でOKしてくれた。


まだ二人ともなんとなく恥ずかしいので親には報告しておらず、高校生になって最初に来る僕の誕生会の時に、サプライズ報告をする事に決めていた。


僕たちはいずれは結婚して、仲良く幸せな家庭を築けると思っていた。




ーーーーー




「おはよう〜」


「麗華ちゃんおはよう!」

「大谷さんおはよう」

「大谷さん、おっは!」


麗華はこのクラスのカースト最上位だ。

麗華と仲の良いグループや陽キャな奴らがこぞって挨拶をしてくる。


(かた)や僕はカースト最下位と言って良い。

僕に挨拶してくれるのは中学からの友達しかいない。

(ゆえ)に挨拶も個人向けだ。


「おはよう達也(たつや)

「おう。おはよう優太」


麗華の席は今朝もクラスの陽キャ達に囲まれている様だ。

僕と麗華が実は付き合っていると知ったら、クラスの皆はどんな顔をするんだろうか。


「お前達も大変だな。何処かで別々に来てるのか?」

「うん。学校の近くからは別行動だよ」


立石達也(たていしたつや)には、麗華の許可をもらって付き合っている事を全て話してある。

達也は僕の中学の頃からの親友だ。

僕達の関係も僕の次くらいにはよく知っている。

その上で、麗華が学校で凄い人気があるのを見て心配してくれているんだろう。


その日の帰り、いつも麗華とは帰り道の途中で合流して帰るんだけど、今日はメッセージアプリで、呼び出しがあったので先に帰ってと連絡があった。


呼び出しとはたぶん告白だろうと思う。

麗華は中学二年になった頃から先輩や同学年、時には年下にまで告白されていて、その全てを断り続けていた。


高校に入ってからも、もちろん多くの告白を断ってきたみたいだ。

僕と内緒で付き合っているので当然といえば当然なんだけど、早めに付き合いをオープンにしないといけないかな? と思い始めた矢先だったので少しだけ歯がゆい思いだ。


だけどあまり心配はしていない。

だって僕は幼馴染としてずっと一緒にいた麗華を信じているからね。


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