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レオナルド

 凶暴な魔物を一撃で粉砕! 騎士を助けることには成功しましたが……一体何が!?

 何でと思った瞬間、答えが頭に浮かんだ。


(聖女として覚醒したらマナが活性化し、魔力が上がった……)


 つまり、魔法の威力が上がったということなんだけど……これは上がり過ぎでは?


「助かったよ、ありがとう……」


 騎士が私に近づいてきてそう礼を言ってくれたが……


(酷い傷……痛そう)


 遠目では気が付かなかったが、酷い傷だ。歩くだけでも辛いんじゃないかな。さっきまで戦っていたなんて信じられない。


(何とかしてあげたいけど……)


 私の魔法は生活レベル。どう頑張っても簡単な攻撃魔法が精一杯で……


“クリアヒールを使うデシ!”


 クリアヒールって上級魔法じゃない! そんな魔法使えるわけないじゃない!  


(あれ、出来そう)


 何故か分からないが、どうすればいいかが頭に浮かぶ。私は浮かんだままにマナを循環させ、詠唱した。


「【クリアヒール】」


 上級魔法を略式詠唱で発動するなんて成功するわけがない……


 ピィィィン


 聖属性のマナが光となって騎士を包む。すると、傷がまるで嘘のように消えてしまった。


「えっ……これは!?」


 騎士が驚いた顔を見せるが、驚いてるのは私も同じ。これ、どうなってるの!?


(あ、聖女の力なんだ……)


 例によって答えが浮かんでくる。


(聖女になって何が出来るようになったのか、後で調べておかないと)


 まあ、それは後だ。それより……


「申し訳ない。傷まで治して頂き感謝します。私はレオナルド。ルグニア王国の騎士団長をさせて貰ってる」

 

 騎士団長! 家柄は勿論、実力、人柄全てに優れた人しか選ばれない役職だ!


「えっと、私は……」


 本名を名乗っても良いんだろうか。いや、まずい。父に居場所が知られると、連れ帰される危険がある。


「イ、イザベラです。間に合ってよかった」


 とっさに思いついた偽名だが、レオナルド様は私にニッコリと微笑んだ。


(素敵な笑顔……)


 いや、そんなこと考えてる場合じゃない。……っていうか、私は恋しちゃ駄目なんだから!


「イザベラ……素敵な名前だ。是非お礼がしたいから城まで来てくれないだろうか」


「いや、そんな……それに皆様の手当ての方が先では?」


 レオナルド様の部下の騎士達はノロノロと立ち上がってはいるが、怪我を負った人がほとんどなのだ。


「確かにそうだな……力を貸してもらえるのだろうか」


「勿論です」

 


 レオナルド様の部下の手当てをした後、“是非城に!”という誘いを何とか固辞したのだが、結局彼の家に招待されることになってしまった。 


(豪華な部屋……)


 私は今、レオナルド様の家の客間にいる。私は伯爵令嬢だからそれなりに贅沢にはなれてるはずだけど、それでもちょっとびっくりするレベルだ。


(本当は早くお暇して生活場所を整えたいんだけど……)


 だけど、レオナルド様の立場も分かる。貴族たるもの受けた恩は返さなくてはならないのだ。


(とにかく身元がバレないようにしなきゃ)


“変装したいデシか?”


 聖獣ちゃんの声。変装……確かにそうかも。ちなみに彼(彼女?)は今、小さくなって私のポケットに入っている。


(どうするの?)


 やる前にこれは聞いとかないと。前みたいになると困る……


“髪と瞳の色を魔法で変えるデシ”


 そんなことが魔法で出来るなんて聞いたことがない。けど、だからこそいい! 実は髪や瞳の色は衣装や身につけている家紋と共に個人を特定するために使われる情報なのだ。


(幸いフードのせいで髪はほぼ隠れていたし、瞳の色も大きく変わらなければ大丈夫じゃないかしら)


 あの非常時にそこまで私のことを見ていたとは思えないし。


(じゃあ、お願い!)


“分かったデシ!”


 返事が聞こえた途端、ノックの音がした。


 

 変装の効果は……? やり過ごせるのか!? 


 次話は明日の夕方6時に投稿します!


 ……あと、厚かましくはありますが、筆者のモチベに直結するポイントやブクマ等もお願い出来れば大変大変大変嬉しいです。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 魔女と称されていた主人公が、聖女と称されるのも意味深です。 ここで聖獣に選ばれたことには、大きな転換点を感じます。 強化された魔法の力でレオナルドを助け、彼を助けたことで運命が変わってい…
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