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これから

 いよいよ(一旦)フィナーレ! 応援ありがとうございました! 

(ふぅ……これで)


 眼の前には時々弱々しく吠えるだけになったベヒモスが横たわっている。


“まだ生きてるデシ! 近づかない方がいいデシ!”


(そ、そうなの!?)


 シロちゃんが言うならそうなんだろうけど……とてもここから何か出来そうには思えないな。


“早くとどめを刺したほうがいいデシけど、シエンナは目立ちたくないんデシ?”


(うん。特にレオナルド様とハロルド様の前ではね)


 隠したい理由はそれぞれ違うけど……


“じゃあ、こっそり身動きを封じるデシ! で、後でとどめを刺しにくるデシ”


 なるほど……それなら大丈夫かな?


(じゃあ、それでお願い)


“分かったデシ! じゃあ、ベヒモスの周りをぐるっと回って欲しいデシ”


(わ、分かった……)


 近づかないでといわれた直後に言われて嬉しい言葉じゃないけど……まあ、私が言い始めたことだから仕方がない。


“シエンナ! もっと近づいて欲しいデシ!”


(あ、うん。ごめん)


 何か遠すぎたらしい。ごめんね、シロちゃん。


「おっ、流石イザベラ。まだまだ余裕そうだな」


「ハロルド皇子!」


 血で汚れた鎧を身に纏ったハロルド皇子にギョッとしたのは、血に怯えたとか、軽口に反応したとかじゃなくて……


「まだ動いてはいけません! 回復魔法は傷を治しても体は──」


「体はまだ傷を覚えてる、だろ? 分かってる。だが、イザベラの回復魔法は凄いからな。もう完璧に治った」


 だから、そういう話じゃなくて……


(っ!?)


 ため息をついた瞬間、頬に優しく触れる手の感触で顔を上げる。そこには驚くくらい近くにハロルド皇子の顔があって……


「助かったよ。君は命の恩人だな」

「……!」


 普段はふざけた態度しか見せないハロルド皇子の真剣な眼差しに思わず息を呑む。その凛々しく整った顔はまるで絵画から抜け出したかのよ──


「イザベラ! 騎士団の援軍がついたぞ。撤収しよう」


 レオナルド様の声! ベヒモスが動かなくなった後、魔導具で呼んでいた援軍がついたんだ。

 

(危ない危ない。雰囲気に流されるところだった……)


 ふぅ、全く。こういう時にあんな顔をするなんて反則ですよ、ハロルド皇子!


「ふぅ、良かった。ベヒモスが再び暴れたり……ってことも考えたが、そんなことはなかったみたいだね」


「レオナルド様、意外と心配症なんですね」


 レオナルド様はベヒモスはもう動けないだろうことをハロルド皇子と十分に確認してこの場を離れたのだ。なのに……


「君のことなら何でも心配になるさ。当たり前だろう?」


「………っ!」


 ち、ちょっと!?


(もうっ! レオナルド様まで!)


 この人達からはどうしてこんなに無自覚で女性を惑わせる言葉が出てくるんだろう……お二人とも真面目そうなのに。


(とにかく気をつけなくちゃ。私は誰かを好きになっちゃいけないんだから!)


 男性と結ばれたが最後、私は夜が明けたら殺され、あの婚約破棄される場面に戻されてしまうのだ。


(流石にもうループは飽き飽き。いい加減、先に進みたい)


 私はおばあちゃんになる迄陰謀や暗殺とは縁のない悠々自適な生活を送るんだ!


(そのためには絶対に男の人を好きになっちゃいけない!)


 まあ、ループのことがなくても正直恋愛なんてもうコリゴリだ。一人でいる方が、気楽でいいし。


(しっかりするのよ、シエンナ! 貴方はループ八回目なんだから、恋とか愛とか今更でしょ!)


 私は改めて気合いを入れ直し、レオナルド様に当たり障りのない返答をする。そのうちにレオナルド様の配下がやってきて、後処理をし始めた。


“シエンナ! まだ途中デシ!”


(あ、ごめん!)


 私は二人に適当な言い訳をしてベヒモスの身動きを封じるための作業に移る。


(ふぅ……これでよし)


 やり終えるとシロちゃんが淡い光を放ちながら魔力を放出する。きっとこれでベヒモスの身動きを封じることが出来たのだろう。


「後は部下に任せて私達は休もう。ハロルド皇子もお召し替えをしなければ」


「おいおい、ばあやみたいなことを言うなよ……」


 そうは言いながらもレオナルド様についていくハロルド皇子。本当兄弟みたいに仲が良くてお似合いの二人。


「「イザベラ!」」

 

 急に二人が振り返り、私に向かって手を伸ばす。


(え!? 私、どっちの手を取ったらいいの?)


 いや、じゃなくて!


(はあぁぁ……このお二人といると、気が抜けないわ)


 だけど、この時の私は気づいていなかった。


 自制、自制と言いながら私は既に陥落寸前だったことを。


 そして、この後もずっとドキドキしっぱなしで、どんどん平穏とは無縁の生活を送るハメになることを。


 だけど、私がそのことに気がつくのはもっと後のこと。この時は、そんな未来が訪れることなど知る由もない。

 一旦ここで完結を打ちますが(ブーストが欲しいのでw)、着想が浮かんだら再開するかもです! その時はまたよろしくお願いいたします!


 ……あと、厚かましくはありますが、筆者のモチベに直結するポイントやブクマ等もお願い出来れば大変大変大変嬉しいです。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白くて夢中で読んでしまいました。 一旦フィナーレ、ということはもちろん続くんですよね?? 勝手に楽しみにしときます〜(笑)
[良い点] 強大なるベヒモス。 主人公がいなければ、勝てないほどの強さではないでしょうか? それに全員の協力で打ち勝ち、そしてハロルド皇子もシエンナに惚れこんでいることを自覚してしまいましたか。 そ…
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