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盗聴

 現在盗聴中

 さて、イーサンの運命はいかに……

〈マーガレット視点〉


 私はイーサン様の背中を追い、面会室までやってきた。


(よしっ!)


 私は面会室のドアに盗聴用の魔道具──学内での使用は禁じられている──を仕掛けると速やかにその場を離れた。


(魔力を流して……よしっ!)


 その瞬間、聞こえてきたのは罵声だった!


「イーサンっ! 貴様、なんてことをしてくれたのだ!」


 ひっ! な、なんなの!


「キャベンディッシュ家からは厳しい抗議が来ているぞ! 万が一シエンナ嬢が見つからなかったら我が家はおしまいだ」


「そんな、いくらなんでも! 伯爵家と言えど所──」 


 イーサン様の言葉が途中で止まる。な、なんなのよ、一体!


「“所詮は格下”とでもいうつもりか、このうつけがっ!」


 ちょっ、ちょっと怒鳴らないでよ! 耳が痛い!


 この魔道具は直接脳に声を届けるので耳を塞いだところで意味はない。だけど、思わずやってしまうくらいの叫び声。


(これ、イーサンのお父様なのかしら)


 だとしたらちょっと嫌だな……なんか怖い。


「キャベンディッシュ家は代々優秀な魔法師を出していた名家で上位貴族や王族との付き合いも深いと説明しただろう! 位が上でもむしろこちらがへりくだらなければならない立場なのだ!」


 イーサンがつばをのむ音が聞こえる。何? 何か不味いの? 


「それをあろうことか難癖をつけて、公衆の面前で辱めるとは……」


「恐れながら父上、証拠が──」


 よしっ! いいわよ、イーサン!

 

「儂がお前の考えたつまらない嘘に騙されると思ったのかっ!」


「っ!!!」


 ちょっと、聞きもしないで嘘って! まあ、嘘だけど……


「それに嘘かまことかなどどうでもいい! 重要なのはお前があのキャベンディッシュ家の令嬢の顔に泥を塗ったという事実だ」


「……」


 そんな大袈裟な……ちょっとした横恋慕じゃない。ほらイーサン、ちょっと謝れば許してもらえるって!


「ようやく分かったようだな。己が何を仕出かしたのかを」


「はい……申し訳ありません」


 うっわ〜、引くわ。何この末期の別れみたいな雰囲気…… こんな何でもないことでよくもここまで出来るわね。


 まあ、でもここまですれば許してもらえるでしょ。だって親子なん──


「いや、許さぬ」


「!」


「キャベンディッシュ家には既に説明済みだが、お前は廃嫡だ」


 は、廃嫡!?


 それってイーサンは家を継げないってこと???


「そして、お前とは親子の縁を切る」


「そ、そんな!」


「言葉を交わすのはこれが最後だ。達者に暮らせよ」


「ち、父上っ! 後生ですから!」


 ガタッ! 


 イーサンが立ち上がった?


 ドカッ!  バターン!


 え、何? 人を蹴る音と誰かが倒れる音!? まさか……


「今更何だ! 全てお前の仕出かしたことだろう! 最初から謝ったなら勘当は勘弁してやろうと思っていたのに!」


「申し訳ありません! 申し訳ありません!」


「今更遅いわっ!」


 な、なんなのよ、一体……


(勘当とか言ってたけど、あれは嘘よね? まあ、しばらく連絡を取らないみたいな話よね。いくら何でも……)


 だが、私はそれが間違いであることをこの後すぐに思い知ることになる。



〈シエンナ(イザベラ)視点〉


 私達はそれから何度か戦闘を繰り返した。最初はハロルド皇子やシロちゃんに言われる通りに魔法を使っていた私だったが、だんだん何をしたら良いのかが分かるようになってきた。


(ハロルド皇子もレオナルド様も凄く強い。でも、隙というか、魔物の攻撃に対処出来ない瞬間がある。そこをカバーすればいいんだ。)


 まあ、本当に何となくではあるが


「凄いよ、イザベラ! 少し経験を積んだだけでまさかここまで出来るようになるなんて!」


「レオナルド様のご指示やご指導が適切だからです」


「そんなことはないよ。今まで戦闘経験がないっていうのが信じられないよ」


 私は今までのループで魔物と戦ったことはない(襲われたことはあるけど……)。けど、今までのループの経験の中で重なるものは色々あるのだ。


(要は商人が相手の本音を引き出したり、薬師が薬の効能や病人の体調を見極める時と同じかな)


 全く同じって訳じゃないけど、要は相手の思考や状態を予測して動くっていうことだと思う。


「だが、まだ全力じゃないはずだ。そうだろう?」


 ハロルド皇子は意味ありげにそう言うのは、ここまでの戦いで私は低レベルの防壁魔法や回復魔法しか使っていないからだ。


(“ブルーボアを倒せたならもっと凄いことが出来るはず”って思ってるんでしょうね……)


 でも、ブルーボアを倒したのも同じくらい低レベルな攻撃魔法なんだけど。 


「ハリー、イザベラ嬢にプレッシャーをかけるなよ」


 レオナルド様……


「プレッシャーじゃない。これは期待というものだ」


「どっちも同じようなものだろ!」


 普段はあっさりと引き下がるレオナルド様が、私のことであんなにムキになってハロルド皇子に反論なさるなんて……ドキッ


(だ、駄目よ! またループしちゃう!)


 はあぁ……一体どうしたら


“何かへんデシ”


 あれ、シロちゃんどうしたんだろう。何か困った感じが伝わってくる。


(どうしたの?) 


“この辺りはマナが薄いわりに魔物が多すぎるデシ”


 ん?……どういうこと?

 何やら不穏な雰囲気……一体どういうこと!?

 次話は明日の夕方6時に投稿します!


 ……あと、厚かましくはありますが、筆者のモチベに直結するポイントやブクマ等もお願い出来れば大変大変大変嬉しいです。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 当然の理由の廃嫡ですね。 貴族間の力関係もわからないようでは、遅かれ早かれですし。 家全体が滅びるよりはマシな選択をするには、こうするでしょう。 一方でシエンナ側にも、何か異常事態が起き…
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