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婚約破棄

 書いてはボツ、書いてはボツを繰り返した作品です。楽しんで頂ければ嬉しいです!


 初日は朝に加えて昼12時、夕方6時に更新。以後昼12時に更新します!


 全十五話で完結済みなので、エタる心配はありません! 短い間ですが、お付き合い頂ければ嬉しいですm(_ _)m

「度重なるマーガレットへのイジメ、最早捨て置けん!」


 貴族の学校、サザーランド学院の食堂でわざとらしく大声を上げるのは私の元婚約者イーサン。


(ってことは私また……)


 深い深いため息……つまり、また死んでしまったのか。


「おい、何とか言ったらどうなんだ!」


 予想したリアクションと違うことに不安を感じたイーサンは先程よりも大きな声を出す。自分の思い通りにいかないことがあった時の彼のパターンなのだ。


(まあ、そりゃ戸惑うわよね)  


 何せ今までの私ときたら……おっとそんなことを考えてる場合じゃない。急がなくっちゃ!


「分かりました。では、失礼します」


 八回目ともなれば、もう通過すべきイベントでしかない。急がなくてはいけない事情もある私は踵を返して食堂を出ようとしたのだが……


「待て! 本当にそれでいいのか! 家族には何て説明するつもりだ!」


 自分で振っておいて一体何を……


 と思ったのは精々三回目までだ。大体彼の言う“マーガレットへのイジメ”とやらは完全な濡れ衣。元婚約者ながら中々な性格だ。


(そう言えば三回目のループでは徹底的に糾弾してやったっけ)


 だが、ここで何をやっても後には何の影響もないと分かったのは何回目のループだっけ……とにかくもう私にはイーサンと関わる理由がないのだ。


「父にはありのままを報告します。大体、もう親同士で話し合いがなされたからこそ、このような場で口になされたのでしょう?」


「ぐっ!」


 言ってる訳がない。だって、イーサンは私と婚約していながらマーガレットと付き合っていたのだから。


(本当に考えなしの人。でも、これでさよならね)


 私は何も言い返せなくなったイーサンを置いて食堂を去った。食事も既に済んでいるしね。


「あっ! こら、待て! 待てったら、シエンナ!」


 イーサンは泣きそうな声を出す。イーサンの予想通り、この後、彼は父親からこってりと絞られるのだ。



(ふぅ……急いで帰って荷造りしなくちゃ。確か三日目には父上の使者がやってきちゃうし)


 私は学院にある私室から今後に役に立ちそうなものをかき集め始めた。具体的には金品や下着、後は……


(はあぁぁ。それにしてもまたやり直しか……)


 私、シエンナ・キャベンディッシュは伯爵令嬢。生まれ持ったプライドの高さが災いし、イーサンに固執。それを利用されて魔女として殺されてからループする人生を送っている。  


(しかも、好きな人と結ばれたら殺されてループするなんて……)


 死因は様々だが、結果は同じ。私は朝を迎えた直後にさっきの婚約を破棄される場面へと戻されるのだ。一体どうしたら……


(あれ……じゃあ、誰も好きにならなかったら良いんじゃない!?)


 何でこんな簡単なことを思いつかなかったんだろう、私は!


(まあ、女としてはどうかと思うけど……) 


 だが悲しいかな、私の心はこの合理的な結論に喝采し、一層効率的な荷造りを続けていく。まあ、八回もループしていれば、こんなものかな……


(大体恋愛してもろくな目に合ってこなかったし……)


 一回目のループではこの国、ルグニア王国へ攻め入ろうとする魔王軍の手引きを企むオブライエン男爵に縋ったのが不味かった。結局、企みは失敗し、私は全ての罪を擦り付けられたのだ。


(そうなったのもアイツのせい……)


 私がオブライエン男爵に身を寄せたのは、イーサンと別れた後にあてがわれた婚約者、フィッツロイ子爵が女に暴力を振るう最低な男だったからだ。そのくせ、外面が良いから手に負えないのだが……


(いや、結局私が悪いのか……)


 イーサンに婚約破棄された原因は彼のマーガレットへの浮気だが、それだってそうさせないような隙を作らなければ良かったのだ。なのに、私ときたらイーサンのことは顧みずにマーガレットへの嫉妬から陰口ばかり。そんな女と一緒にいるのは嫌になるに決まってる。


(まあ、イーサンの行動を正当化するつもりはないけど……)


 でもまあ過ぎたことだ。それより今は早く寮をでなければ!  


(そう言えば、どのループでももう一度ここに戻る機会があるのよね……)


 荷造りを終え、馬車を呼ぼうとした瞬間に私はそのことを思い出した。


(サザーランド学院の旧大聖堂。結局行ったことはないけど……)


 理由は様々だが、この後、誰かから旧大聖堂の話が出る。今までそのことを気にしたことはなかったが……


(何かあるのかしら……)


 まあ、幸いにもまだ時間はある。試しに行ってみてもいいかも知れない。

 読んで頂きありがとうございましたm(_ _)m

 昼に続きを更新するのでよろしくお願いします。


 ……あと、厚かましくはありますが、筆者のモチベに直結するポイントやブクマ等もお願い出来れば大変大変大変嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] まずイーサンという名前で爆笑してしまいました。 色々な人物と因縁があるようで、多くの伏線が散りばめられているようですね。 作者様の他作品を拝読した身からするとイーサンという名前も意味深で、…
[一言] 異世界恋愛の王道系ですね。 今尚人気コンテンツですからね。 先の展開を期待しております!!
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