双子のキョウダイ
私は、驚いた。だって彼とそっくりだったから。
容姿は彼と同じ金色の髪に目は淡い色でなく濃い青色で身長も同じ。見分けるとしたら目の色くらいだ。それもよく見ないと分からないくらい。
「で、兄さん誰だこいつ?」
「こら!失礼だろ光輝!」
似てると思ったら性格は全然似ていなかった...。
「ごめんなさい!悪い奴じゃないんだけど...」
「あっ、全然大丈夫です!」
「改めて自己紹介します。僕の名前は戸田海斗です。そしてこっちは僕の双子の弟の戸田光輝。ほら、光輝挨拶!」
でも、光輝って言う人は無視。あっ!私も自己紹介しないと!!「初めまして近衛雪香です」わざわざ街で貴族って言わなくていいよね?多分、この人たちも身なりからすると貴族だと思うけど...。
「いい名前だね。雪香さんって呼んでもいいですか?」
「はい!大丈夫です」
容姿はそっくりでも性格が全然違う。兄の海斗さんは異国の王子様って感じだけど弟の光輝さんは正反対。何か面白いな。
「雪香さん少し飲み物を買って来たいんですけど弟と待っていてもらえませんか?」
「あっ、大丈夫ですよ」
そう言うとありがとうございますと言って走っていった。二人っきりで待っていたら「おい」光輝さんが話しかけてきた。じろじろ見過ぎたかな。
「幻滅してんのか」
「えっ?」
いきなり何か言ってきた。「双子なのに弟がこんなんで」それを聞いて思った。きっと比べられて来たんだろんな…。なんて答えればいいんだろう。
この場合、乙女ゲームのヒロインは優しい言葉を掛けるんだろうけど私は...。「そんなんで凹んでいるんですか?」光輝さんは驚いた顔をしていた。
「確かに優秀な兄が居ると比べられるのは仕方がないかも知れません。でも、それをさせているのは自分自身じゃないんですか?」
「はっ!どういう事だよ」
「そういう態度もです。光輝さん、わざとそういう態度を取っているんじゃないんですか?」そう言うと光輝さんは悔しそうな顔をした。
「本当は誰かに自分を見て欲しかったんじゃありませんか?だって普通比べられたくなかったら色々方法はありましたでしょ」そう言うと光輝さんは俯いた。
「確かにそうだ。比べられるのは好きじゃなかった、けど自分を変えたくなかった。だってこれが本当の俺だったから…」泣きそうな顔でそう言った。まだ、子供っぽさが残っていた。私は、光輝さんの頭をなでた。前世ではよく親にして貰っていたから。
「きっといつか本当の光輝さんを見てくれる人が現れますよ」
泣いている光輝さんの目はとても綺麗だった。
「...光輝でいい...」
「えっ?」
「だから光輝で呼んでもいい...」
それを聞いて嬉しかった「はい!光輝!!」名前を呼ぶと光輝はとても嬉しそうだった。
「凄いな...まさかあの光輝が心を許すなんて...クスッ面白くなりそうだな本当.........」




