少年はそれでも世界を救いたい
世界は奇跡に充ちている。
世界は呪いに充ちている。
世界は生命に満ちていて
世界は死に満ちていた
世界を作った神様は世界が笑顔で溢れるように人々にアビリティを与えました。
けれど欲に塗れた人々が奇跡の力を私欲のために振るうようになりました。
神様は怒り、一つの生命に世界を壊す呪いを与えました。
生命は時を経て形を成し、1人の少年になりました。
この物語は1人の少年の苦悩と絶望の物語、変えることのできない滅亡の呪いをあたえられ、それでも人を救いたいと願った少年の英雄記
「イリアス!!ねぇ?聞いてるの?」
「え?、あぁ、聞いてるよ、大変だったね」
「ぜーーったい!聞いてなかったでしょ!ほんとに大変だったんだからね!」
「聞いてるし、さっきから何度も謝ってるだろう?」
本を読みながら隣に座ってぷりぷりと怒っている幼馴染と言葉を交わす、これで何度目か分からないそのやり取りをしながら綺麗な黒髪をした幼馴染の髪を撫でて落ち着かせる
「あー、もう!そうやっていつも子供扱いするんだから!私の方が3日分お姉さんなんだからね!」
「カエデ、それいつも言ってるけど自分で言ってて悲しくならない?」
「また馬鹿にした!うぅぅ、そうやって馬鹿にしてなさい、いつかイリアスよりいい点とって見返してやるんだから!」
この元気で言動がアホな子の名前はカエデ、この辺では珍しい綺麗な黒髪と整った顔立ちをしていて、黙っていればクールで頭の良さそうな外見をしているのに喋ればアホ丸出しの残念美少女で隣の家に住む幼馴染だ
「はは、期待してるよ、前回のテストは随分と差がついていたみたいだけどね」
「あのときは調子が悪かったの!今回は違うだからね!」
「テスト前は今回は自信があるとか言ってなかった?」
「テスト中に急にお腹がいたくなったの!」
相変わらず言動はアホ丸出しだが、これでも僕についで成績が良いのがまた面白いところだ
「あ、そーだイリアス、今度アビリティ適性診断があるじゃない?」
「そういえば、そんな時期だったね、それがどうかしたの?」
「どっちがすごいアビリティを発現させるか勝負しましょうよ!」
この辺では12になると神殿に行ってアビリティが発現したかを調べる。
強力なアビリティが発現すれば王都にある騎士育成学園に入学することになり、将来が約束される。
「どっちがすごいって、アビリティが発現するかもわかんないんだし凄さなんて測れないだろ?」
「私達なら大丈夫よ!すっごいアビリティ発現させて騎士になって二人でこの国守るんだから!」
「人の将来を勝手に形作らないでくれよ」
元気な笑顔で将来を語るカエデに困った笑顔を向けながらいつものように帰路につく、きっとこんな日がこれからもずっと続くんだろうと思っていた。
これからもポツポツ投稿していけたらと思います。