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2  作者: 師走
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幸いなことに、それからもこれといって大きな事故は起こらなかった。

つまり、一度もコケたり足止めを食らったりすることなく、山を抜け出すことに成功したのだ!!


だんだん道が平らに近づいていったので、私もそれに合わせて走るスピードを緩めていった。


……やった。とうとう着いたんだ。下に。あそこ、あんなに高い場所から、一気にここへ。

疲れより先に、汗がどっと湧き出てくる。まるで、やっと出番が回ってきたとばかりに、気が緩んだ瞬間身体中が湿ってきた。痒くなりそうなくらいだ。服を着ているのにもかかわらず、腹まで水滴が流れ落ちてくるのを感じる。


ついで、太ももやふくらはぎに熱がこもりまくっているのが伝わってきた。ズボンの中に手を差し入れて触ると、やはり熱い。乳酸が暴れてるんだろうか。


だが、苦しくはなかった。それだけはなかった。何だか、まだまだ走って行けそうな気さえしてきた。人工灯がほんのすぐ近く迫ってきているので、さらに陽気になる。


数時間で登ってきた道のりを、こんなにも早くに終わらせたんだ。しかも夜に。

私は内心、全力で自分を褒め讃えた。これは快挙だ。凄いことだ。私にしかできなかったに違いない。


体感的には、30分は優に超しているような気はしていた。が、よく考えてみると、さらにさらに早かった気もする。あれだけ頭をぐるぐる巡らせていたから、いつもより1秒が長く感じられたのだろう、と。


頰の紅潮は、空気に撫でられるにつれ急速に収まっていった。寒さは感じられない。


そして全体的に、フワフワしている。空へ飛んでいけそうだ。

それに、すぐにでも寝れるかもしれないな、とも思う。目は冴えているが、一度横になれば明日の朝はすぐそこだろう。


膝がガクガク震えているのは気にしたくない。

実際、激しく貧乏ゆすりしているのではないかと疑われるような揺れ具合だ。これでは歩くのもやっとだろう。

走ったり飛んだりできそうなのは、この頭だけか。

へへ、足は動かないながらに、頭の一人歩きをご覧にいれまする、ってね。


…。そう、クッタクタのヨッレヨレなのだ。今にでも倒れそうなほど。

そして、多分今の私は二重まぶた。疲れのサイン。2時間以上の連続運転は危険ですから一旦休憩を挟みましょう。


「残るは……、残るは…」

下調べ。

安全を確認できたら、すぐにでもどこかに泊まらせてもらうのだ。

だが、もし、みんながみんな知らない人だったらどうすれば良いだろうか。

…それはその時考えよう。



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