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黒い影  作者: だばりん
3/4

3日目

ほとんど寝れずに、朝を迎えた。

まだ、耳元で何十人もの、赤ちゃんの声が小さく聞こえる気がする・・・

やはり、あのこっくりさんがまずかったのか・・・

2人は大丈夫だったのだろうか、と気にしつつ、登校の準備をして、母親のいるリビングに向かう。

「おはよ、今日はパンでいい?」

と、いつもと変わらない口調で朝の挨拶をする。

夜中の出来事を相談したほうがいいのか迷っていると、母親は僕の顔を見て

「あら、目が真っ赤じゃない?まさか遅くまで勉強でもしてたの?」

少し笑いながら顔を覗き込もうとした。

僕は昨夜の出来事を相談しようかと思ったが、心配かけたくないと思いわざと明るい声で

「借りたコミックが面白くて、気付いたらあさになってた」

と告げた。

「ちゃんと勉強もしなさいよ」

と言いながら、母親はキッチンに向かった。

そうこうしてると、AとBが迎えに来たので、行ってくるね、と言いつつ学校に行くことにした。

AとBはいつものように、昨日のお笑い番組の話や音楽の話をしているようだが、僕は夜中の出来事のことで相づちをうつこともしてなかったようだ。

AとBは、具合が悪いんだったら休みなよ、と言ってくれてるが、あの部屋になるべく1人で居たくない。

僕は2人に相談することにした。

「あのさ、こっくりさんやった後、2人はなんともなかった?」

「何のこと?」

「夜中に声が聞こえるとか・・・」

AとBには何もなさそうな雰囲気だ。

「え、ひょっとして、何かあったの?」

2人は半信半疑な表情で、でも興味津々な目の輝きをしながら聞いてきた。

続きを期待しているようではあったが、もう教室に着いてしまったので、後で話しをすることにして、授業を受けることにした。

放課後、昨日の夜中の話を2人にすると

「それ、空耳とかじゃない?」

「ビビってるからそんなんが聞こえたように思ったんだよ」

「だって、俺たちは何にもなくて、お前だけっておかしくない?」

今思えば、確かに自分が経験してなくて、他人だけが経験している、しかも証言だけとゆうのは信憑性にかけるとおもう。

しかも、あの場にいた中で僕だけなのだ。

でも、2人に言われて、少し「そうなのかな?」と、幻聴だったのかとおもったりしたのだが、あんなに耳元で大きい泣き声で泣かれたのが空耳とかないのではとも思う。

「じゃあさ、今晩泊まりに行くよ」

「明日休みだしちょうどいいかも」

僕としては、昨日の今日だけに心強かった。

「いいよ、おいでよ」

家に帰り、母親にAとBが泊まりにくることを告げると、自室に入りぐるっと見渡したが、特に何も変わった雰囲気もなかったので、幻聴だったのかと少し恥ずかしい気持ちになりながら、今晩どのゲームで盛り上がろうか考えることにした。

夜になり、2人が泊まりに来た。

用意していたゲームを取り出しひとしきり盛り上がり、みんな段々疲れてきて寝ることにした。

寝る前に、何も起こらなかったなといいつつ、僕もやっぱり幻聴だったんだよと、笑いながら布団のうえをゴロゴロしていた。

「一応、写真撮っとくか」

Cが使い捨てカメラで、少しふざけた格好の僕たち2人を撮り、寝ることにした。

2時間ぐらい寝たところで、不意に目が覚めた。

するとまた、昨日の夜中と同じ泣き声が聞こえ始めた。

2人はまだ寝ているような気配がする。

仰向けに寝ていたので、起こそうと手を伸ばそうとするが、体が動かない、声もでない。

でも、意識ははっきりしている。



すると、いつも見ているはずの天井に黒い影が・・・



それは、ゆっくりとゆっくりと大きくなり、まるで天井から生えてきてるかのように僕の顔に近づいてきた。

目を閉じたくて、必死でもがくがあまりの恐怖で、瞼すら動かない。

後少し、数センチの所でその影はピタッと止まり、その顔らしき部分がじっと見ているような気がする。

目と鼻と口のような凹凸が微かに見られる。



「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・」

何故か謝らなければならないと思い、夢中で謝り続けた。

すると、赤ちゃんの泣き声の中に、小さい声なのに、はっきりと大人の男性の独特の低音で

「うぅ・・・、うぅ・・・」

と、呻き声が聞こえたその瞬間


「うごぉぉぉ、がぁぁぁ!」


言葉にならない叫び声が聞こえた。

その時、僕はやっと声が出て、隣に寝ている2人に言葉にならない声を出し、助けを求めた。

「何っ」

「どうした?」

2人は驚いて起き上がるが、その時には金縛りも解け、僕は震えながら起きあがろうとした。


まだ、鳥肌が立っている・・・


気がつくと、もう夜明けだ。

さっきまでの声や黒い影は跡形もなく消えていた。

ただ、鳥肌だけはまだ残っていた。

「大丈夫か?」

恐怖の余韻が残っていてで、上半身を起こしたような体制のまま体は強張り、返事をすることもできない。

2人も、僕の様子を目の当たりにして、もう疑わなくなっていた。

その後、2人は無言で帰り支度をした。

帰り際に

「じゃあ、また明日」

と、短い言葉だけを交わして別れた。



その晩からは、あの赤ちゃんの泣き声も、黒い影も現れなくなった。



その晩からは、あの赤ちゃんの泣き声も、黒い影も現れなくなった。

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