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命を繋ぐ者。  作者: 夢迷四季
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出合い出逢う私達

この自然だけの世界『パルス』に来た私達6人は、シルクの案内により現在ある可愛らしい小屋の前にいる。シルクがしばらく待つよう言うと先に中には入っていったきり、10分が経過した。ミルクが先程こう言っていたのを思い出す。

「黒羽様のネト友と言うだけあって、今まで寝不足だったらしいので寝ているんです。で、シルクが起こしに行くと言っておいたんですが…寝起きが悪いようでその、時間がかかるんです…」

私達だけでも迷惑をかけないようにと藤原と仁川が初めて意見が一致したので根気よく待つことにした。多分…その後30分くらいは小屋の前にいたと思う。座っていたり立っていたり少し離れたところにある花畑に寝そべっていたりと、それぞれ待機していたが、そろそろ飽きてきた頃だ。


「すみませんすみません!もうしばらく待たなきゃいけないようなので、片付けたリビングの方で起きられた方とお喋りでもしててください!すみません!」

ミルクが半泣きでそう言うので仁川でさえ何も言わずに従った。鈴音がミルクに『大丈夫だよ、気にしないで』と言っているのが聞こえたので、ミルクにこれ以上の慰めはいらないな。私達は小屋の中のリビングに入る。


目の前に座っているのが私のネット上、ロボさんという名で通る大学生の男性。そして一番ネト友の中で寝起きが良かったという人間だという。

「あなたが…黒羽さんですか?」

最初に言葉を発したのはロボさんで、私はあくまで冷静に慎重に返事を返す。

「そうです、ロボさんであってますか?」

ロボさん、はゆっくりと頷くと微笑む。少し長めのブラウンの癖毛、切れ長の目に整った顔立ちが印象的な…いわゆるイケメンというもので、性格は見た目通りサバサバしているのに時折見せる笑顔が素敵な方だった。顔の目から上は写真で見たことはあるが、こんなにもカッコイイ人だとは思わなくて、不覚にも動悸が治まらない。私はつい、いつもネト友と話すときの口調で話し始める。

「ロボさんがこんなにイケメンだったなんて、なんで今まで隠してたんですか!」

ネト友と言っても通話とかはよくするもので、今も私はそんな感じで喋っている。ロボさんもそれに普通に接してくれるので安心した。

「いやいや、イケメンじゃないですから(笑)それを言うなら黒羽さんもネット上で話した時以上に可愛らしい人です」

さらりとイケメン発言するものだから、すぐに顔が熱くなる。あぁ、ネット上じゃこんな風になってもバレないのに!!

「あ、ありがとう…。そ、そういえばロボさんって女性が苦手だったんでしょ?私と面と向かって話してますけど、大丈夫なんですか?嫌なら少し離れますが…」

「黒羽さんなら大丈夫です!あ、えっと何て言うか…可愛い妹が出来たような感覚なもので…」

そう言うと身を乗り出して、私の頭を撫でる。

「気を使わなくてもいいんですよ、黒羽さん」

ひゃぁぁぁぁあ!!!私腐女子じゃないのにぃぃぃぃい!!とかグルグル考えながら私は真っ赤になって俯く。うぅ、皆同席中なんですけど…。絶対あとでなんか言われる…と思っていると、ロボさんがふと視線を藤原に移してじっと見つめている。私はどうしたんだろうかと見守っていると、ロボさんが藤原に悲しそうに微笑んで言った。

「君は…僕の学生の頃に似ているなぁ」

私はずっと前、ロボさんにネット上で出会った時の事を思い出す。


あれは確か…一般人がネット上で生放送のラジオ配信や動画配信などができる無料のアプリ『KS生放送』というもので、私が初めてラジオ配信をした時だ。


ロボさん「主さんの声、癒されますね」


この時の私は今以上に病んでて人を信用できなくなっていたから、ロボさんに言われたことが素直に喜べなかったんだ。


「何言ってるんですか、私はゲスボですよ」

ロボさん「いやいや、主さんの方こそ何言ってるんですか(笑)」


こんな会話してたっけ…楽しかったんだよねその時。凄く寂しかったから、辛かったから、だから…私と話してくれて笑ってくれて、凄く楽しかった。そして確かにその時、思ったんだ。この人は藤原に似てるんだって。理由はわからないけど、直感的にそう思ったのを覚えている。


ぼんやりと少し過去を振り返っていると、汐里が口を開いた。

「とりあえずお菓子あるから食べない?」

ミルクが台所から持ってきたらしく、色とりどりのお菓子がのせられている皿を持ち上げて言った。


「それで、ロボさん?はここにきた他の方とお話しされたんですか?」

汐里が早速質問する。ロボさんは苦笑した。

「それが、僕が来たときにはすでに皆さん寝ていて、話すどころかまだ会ってさえいないのです」

仁川が笑う。

「さすがネットの人達ですね」

「不規則ですからねー。まあでも、ここにいる方々は普通よりってところでしょうか、僕はそこまで不規則ではありませんしネット依存しているわけでもないので」

ふーんと返した仁川は色とりどりのお菓子の中からクッキーを取ると、ボリボリ食べながら私の方をみてニヤリと笑う。絶対私をネット依存者だと思ってるな…否定しないけど。それからは皆がそれぞれ質問し始めたので私はそれを眺めながら時折くる頭痛と闘っていた。藤原がたまに「大丈夫か?」とか聞いてきたけど、はっきり大丈夫だと言っておけば強引に休ませないのはわかっていたから「大丈夫」と言い続けた。


一時間経過した頃ようやくミルクとシルクが戻ってきた。途中ドタドタと走る音や何か壁にぶつかる音が聞こえてきたのは空耳では無かったらしく、二人ともボロボロになっていた。

「どーも、俺が中野です」

まだぎりぎり20代のニット帽を被っていてやや太り気味の男性が少し会釈する。悪い人では無さそうだ、と言うことはネット上で話していたことは本当だということだろうか。私の心を読んだかのように中野さんが言った。

「もちろんネットで言ったことは本当だよ。中野って本名だし」

そして笑った。うーん、まあでも一応信用しておこうと思う。そして次。

「りょうです、宜しくお願いします」

私と同い年と言っていたりょうさん。髪が黒くて少し背が低めで、ルックスが良く無口だ。確かに見た目は同い年っぽいけど…。

「本当に春から高一?」

思わず聞くと真っ赤になって言った。

「そうだって言っただろ!ネットで!どーせ小さいし童顔だからそーみえねーってわかってるけど!!!」

うーんと、可愛くて面白い人だと思います。最後は………。

「ども、ふうです!宜しく!」

腰に左手を当てて右手でおでこの辺りにピースサインを作った笑顔が特徴的な女性は、確かりょうさんの幼馴染みだと言っていたっけな。

「このバカで無口な童顔りょうの、幼馴染みでーす(笑)」

笑いながら言ったふうさんにりょうさんが無言で蹴りをくらわす。

「いったぁ!何すんのよバカ!」

「本人の目の前でそんな悪口言うふうが悪い!!」

りょうさん、さっきとうって変わってふうさんと言い合いを始めてちょっとビックリしたけど、悪い人達ではないのがわかった、のかな?(汗)

「おいおい、ここに来てまで言い合いやめろよ」

呆れ顔で二人を止める中野さんは、確か私と知り合う前から二人を知ってたんだっけ。さすが、二人をよく知ってると思った。二人は黙って言い合いをやめる。思わずクスリ、と笑うと皆も一緒に笑ってくれた。


私達は絶対に起きないような出来事のおかげで出会った。これから先何が起こっても、ビックリしないでいけるのだろうか(笑)

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