残りの時間
書きたいままに書いたので文章が可笑しかったらすみません
~残りの時間~
気が付くと私はあの夢の中にいた。だけどいつもとまるで雰囲気が違う、なんだか夢に拒まれているような、そんな感じがした。
「そういえば私どうして――」
「知りたいか?」
私の言葉を誰かが遮った、聞き覚えのある声……。
「誰?」
私は声しか聞こえない『誰か』に問う。その人は少し間を開けてから話す。
「……いつか気付く、近いうちにね。それよりどうしてここに来たか知りたいか?」
曖昧な答えの後は質問で返されて、咄嗟「うん」と答えてしまう。まぁいきなりここに来ちゃったからには理由が知りたいから。『誰か』は答える。
「ちょっとした大事な情報を伝えるためだよ。因みに今外がどうなってるか気になるだろう?目の前にスクリーンを思い浮かべてごらんよ」
大事な情報?スクリーン?よくわからないけど取り敢えず黙ってしたがってみる。するとスクリーンには私や皆を空から見ているような映像が映し出された。
「え!?何これ……私倒れちゃったんだ。いきなり頭痛が襲ってきて耐えられなくてそれで」
「あんたは意識を失った」
『誰か』が続けて言う。
「多分残りの時間があと僅かなんだろうな…これもシナリオ通りなら」
「残りの時間?どういうこと!?」
私は叫んだ。なんで叫んだのかはよくわからないけど、多分無意識に気付いていたんだろう。
「命が残りわずかだということだ」
『誰か』が私の心を読んだかのように悲しそうな口調で言った。人はいつ死ぬかわからない。私は平気だと健康と言う言葉からかけ離れた生活をしていた。家族は皆身体が強かったからそれくらいじゃ何ともならないけど、私の場合身体が弱く、その上健康からかけ離れた生活をずっとしていたから、身体を壊さないわけがない。私はその場に座り込む。
「本題に入るが、パラレルワールドへの行き方を伝え忘れていて、それを伝えに来た。……いつまでも沈んでないでやれるだけの事を残りの時間でやるべきじゃないのか?」
『誰か』は私にそう言った、私はその言葉に色々な思い出が目の前を横切っていく。確かにそうだ、ここで悔やんでいても何もできない。私は立ち上がって『誰か』に言う。
「そうだね、じゃあ行き方を教えて?」
『誰か』は答える。
「単純だからこそ大変だ。皆で何処か広場に行き、そこで地面に魔方陣を書く」
そう言うと私の前に一枚の紙が現れた。
「その紙に書かれている通りに、なるべく正確に書け。その後は魔方陣の上に皆で手を繋いでパラレルワールドに行くことだけを願え、皆で。絶対に手は離すな」
私は紙を見ながら言う。
「そうなると結構大きめの魔方陣じゃなきゃいけないね」
『誰か』は続けて言う。
「勿論、あとは手を離すとその人は分裂してしまう可能性がある。死にたくなければ全力で手を繋いでいることだな」
そう言って笑った。
「まあ私が言えるのはここまでだ。それじゃあサヨウナラ」
『誰か』が言い終えると同時に、私の意識は飛ばされる。紙を握りしめたまま私は落ちていくような感覚と一緒に意識を手離した。
「……ちゃ…、…黒……ん」
誰かの声が遠くに聞こえる。
「く…羽……黒羽……」
私の名前、誰かが呼んでるの?私はだんだん意識がはっきりしてきて気付く。誰か、たくさんの人の声が聞こえる。ずっと私の名前を読んでるのが……。私は薄く目を開ける。誰かが顔を覗き込む。
「黒羽!」
「黒羽ちゃん!」
「白崎!」
皆が一斉に私の名前を呼ぶ。野桜?が「俺、先生読んでくる」と言って走り去っていくのを見てここが病院だということに気付く。私は身体を起こして口につけられていた酸素マスクを無理矢理外す。すると藤原が怒った口調で話し始める。
「いきなり高熱出して倒れたんだよ。心配したんだから」
続けて鈴音も言う。半分泣いているが、怒っているのがわかる。
「そうだよ!全く意識がなかったから…」
嶺が「まあ生きてたからいいけど」と言って仁川を見る。
「仁川なんて目覚めるまでずっとうろうろしててウザかった」
そこで初めて仁川が怒鳴る。
「だって仕方無いだろ!俺が藤原に白崎の誕生日聞いて計画した事だから、元はと言えば俺が」
そこまで言うと黙り込み、皆も沈黙してしまう。私はあはは、と笑って言う。
「仁川のせいじゃないよ。それに誕生日の事すっかり忘れてた~皆で誘ってくれたのに、ごめんね」
「黒羽様……」
ミルクが悲しそうな目で見る。またあとで、と目で伝えると病室にある時計を確認して皆に声をかける。
「もうお昼過ぎてるね。皆なんか食べてきなよ」
舞桜菜が「でも……」と続けようとするのを遮って、「いいから!」と皆を促す。
「またあとで来てよ、私は大丈夫だからさ。それにお昼抜いて誰かが倒れるような事があったら、それこそ大変だから」
すると佐藤と梶夜が「じゃあ」と言って病室を出ていく。それをきっかけに皆ぞろぞろと部屋を出ていった。ただ一人藤原はまだ突っ立っている。
「何してるの?皆に置いてかれるよ」
藤原は黙ったまま何も言わないでしばらく突っ立っていたが、やがて病室を出ていった。ミルクとシルクは私の膝の上に座ったまま私を納得がいかない、という顔で見上げている。
「二人はもう知ってるんでしょ?でも私の許可がないと話しちゃいけない」
ミルクは俯く。シルクは口を開く。
「俺は言うべきだと思う。黒羽様一人が辛い思いするのはおかしい」
「でも皆に気を使わせたくない」
私はキッパリと言った。「黒羽様……」とミルクは泣きそうな声で名前を呼ぶ。私は一度深呼吸をしてから二人にしっかりと言った。
「私の生きられる時間が残り少ない事、絶対に皆には言わないで。これはお願い」
それに……と続ける。
「どうせ人はいつか死ぬ、そして私は死にたいってずっと思ってたから大丈夫」
二人には本心がどれだけ死というものに震えているか、気付いていたのだろう。だからこそ二人は私のお願いを聞き入れてくれたのだと思う。しばらくして医者と看護師が入ってきた。野桜は途中で皆と合流したのか、いたのはその二人だけでどちらも戸惑いの表情を浮かべていた。多分 私が笑っているからかもしれない。
「あの、ご家族やご友人の方々は一緒でなくて宜しいんですか?」
看護師の女性が私に聞く。私は笑みを浮かべたまま「はい」と返事をした。
「では……ご説明する前に体調の方は?」
今度は医者が聞く。
「大丈夫です。突然だったし、頭痛くらいなら私は慣れてます。それに入院しなければならなかったり、余命とか出て短いようだったらその時は自分の残りの人生を優先にしますから」
キッパリと言い切った私を吃驚している医者と看護師が見つめる。私はなおも笑みを浮かべたままで、しばらく黙っていた医者と看護師は顔を見合わせ、そして私の身体がどうなっているのかを説明してくれた。その間は少し真顔だったけど、それでも医者と看護師が病室を出ていくときは笑顔でいた。
時間は数分前に遡る。
「白崎黒羽さんは、偏頭痛、慢性脳循環不全、睡眠障害、労作性狭心症、という検査結果が出ました」
私は驚く。(意外と多い…)看護師が続けて言う。
「偏頭痛は一般的によく知られているもので、原因はよくわかっていません。ストレスなどが多いと言われています」
「偏頭痛は知っていましたか?」
医者が聞き、私は少しだけ目を伏せて答える。
「友達にそうじゃないかって言われて、けど病院に行きたくはなかったのでネットで調べました。睡眠障害は何となく知ってます」
「睡眠障害は日中、強い眠気に襲われて、どんなことをしていても眠ってしまう障害です。例えば仕事中、会議中、授業中などに耐えようと思う前にねむってしまいます」
看護師が教えてくれて、私は普段の生活を振り返ってみる。
「確かに授業中や体育で走っているときなどで、気が付くと夢の中って言うことが多々ありました」
医者は話の内容が睡眠障害から切り離す。
「とにかく命の危険があるものは、慢性脳循環不全、労作性狭心症です」
看護師が続ける。
「慢性脳循環不全は脳血管の動脈硬化が進み、めまい、立ちくらみ、頭痛、頭重感、物忘れ、耳鳴りなどの症状がある病気です。解離性障害は多重人格に似たものですが別で、怪我や恐怖、嫌な記憶を忘れようとする障害です。しかし、完全に忘れるわけではなくて、いきなり記憶がフラッシュバックしたり身体が強張り倒れるという症状があります」
「慢性脳循環不全…」
私は声に出してみるが、ちょっと怖い。
「こう言った症状がありますか?」
医者が尋ね、私は俯きながら頷くだけ。
「あと労作性狭心症ですが――……」
ここから私は話を聞いていなかった。ずっと頷いたりはしていたけど、急に孤独を感じてしまって涙が出そうになった。(藤原や皆に居てもらえばよかったな。藤原怒るかな、泣くかな、言いたくないなあ…)そんな事ばかりを繰り返し考えていた。
そして現在。午後2時を少し過ぎた頃、藤原からLINEが送られてきた。ミルクとシルクもお昼寝をしていて退屈していたから早速LINEを開く。
藤原「グループ」
たった一言それだけ、って……。頭固いのか面倒だからなのかは知らないけど、たまに悲しくなるなと思いながらLINEグループの方へ行く。
私「やほー」
鈴音「あ!黒羽ちゃん!もうすぐ帰るから!」
仁川「待ってろよ」
藤原「あのさ、仁川白崎の事好きなの?」
野桜「↑俺も思った」
梶夜「ずっと白崎の事ばっか心配してるよね」
汐里「まじか!!笑」
私「え、そうなの?笑」
仁川「ち、ちげぇよ!そう言う藤原だって付き合ってるくせに白崎は全然楽しそうじゃねぇよ?笑」
私「は!?」
藤原「え」
梶夜「とりあえず早く昼御飯食べて戻ろうよ」
鈴音「そうだね。それじゃ黒羽ちゃん、またあとでね!」
私「う、うん。またあとでね」
私は震える手でLINEをどうにか閉じると後ろにゆっくり倒れ込む。
「仁川が?まさかね…はは……」
気付けば熱い滴が頬を伝っていた。
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