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 9月5日


 呉服屋さんで、着付け補助。

しっかり手順を教わってから臨んだのに、何度やっても上手くいかない。叱られてばっかりだ。

だって私はしょせん日替わりのヘルプで、着物なんて着たこともないし、浴衣ですらワンタッチのナンチャッテを二、三度と言う程度。いきなりうまくできるわけないじゃないか。



 9月10日


 また、店長さんに叱られた。

 覚えの悪い子やなあ、来週まであんたいてるんやろ、かなんなあ、だって。

かなんなぁはコッチだ!

 辞めたい。嫌い。つらい。

 お客さんも私の失敗をクスクス笑うし、おばさんばっかりで何の潤いもない。


 あの、面白い美少年や、長身の美形さんや、派手な髪のひとたちを見かけない。

 高校生たちはもう新学期だから仕方ないけど、バンドのひとたちも本業があるのかなあ。

 どこでライブやってるのかって、ほんと、聞いておけばよかった。



 9月16日


 雑貨屋さんでレジ打ち。

 今日はやけにたくさん、日傘や日除けアームカバーが売れた。なんだろうかと思ったら、明日近くの高校で体育祭やるんだって。

あそこは体育会系にも力を入れている男子校だから、体育祭はなかなかの見物。とくに、三年生の騎馬戦は例年すごく盛り上がるのだそうだ。

 行ってみたい気もしたが、身内もいないのに遊びに行くのは気が引けるし、明日はまた仕事だ。



 9月17日


 今日、あったことを日記にすべて書くと、ページが足りなくなってしまう。

そもそもアレは現実?私は夢を見たの?

 だって、おかしいよね。

 店のスタッフルームの窓ガラス越し、路地裏の景色に、蜃気楼のように幻を見たに違いない。

 変な白昼夢だ。

 あの美形さんが、昔のヤンキーみたいな長ラン姿(超かっこよかった)で、路地裏に入って来たかと思ったら、すぐに体操着姿の美少年(超可愛かった)が追いかけてきて、陰に隠れてたニット帽の男がそれを追いかけて……

 戦って、落ちてきて、踏みつけて、なんかいっぱい出てきて、また戦って、ビル壁駆け上って行って……

 赤や青の髪の人間が重ねて倒れてて……

 ピンク色のくじらの物体がぐいんぐいん動いて……


 夢だ、夢。

 夢は夜に見るものだわ。寝よう。


 私、疲れてる?

 貯金もたまって来たし、潮時、かなあ……


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