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 8月22日


 食堂で給仕。

 ランチタイムラッシュが落ち着いてきたころ、緑の髪の男と赤い髪の少年が来店。

 この二人ってお仲間だったのね。友達というほど親しげではないが、どちらもお喋りで、朗らかなテーブルだった。

 やっぱりバンドかなにかのグループかな。

「鹿のやつはこーいうとこ来たがらねぇからなぁ」

「来るわけないだろ。誘う虎のほうがおかしいよ」

 などと聞こえてきた。

 赤い髪の少年は、虎というらしい。どちらかといえば猛獣の迫力より山猫みたいなイタズラっぽさがあるけど。

 彼らはやけに丁寧に「いただきます」の挨拶をして、日替わり定食を美味い美味いと食べていた。




 9月1日


 文房具屋さんで品出し中、ふと店内に、妙な空間が出来ているのに気が付いた。

 いつもは人だかりが出来てる、人気コミック新刊コーナーに人気が無く、変なところに半径5メートルの人の輪。

 何だろうと思って首を伸ばすと、人の囲いの真ん中に、あの美形さんがいた!

 しかも、こんどはやたらと大きな体のおっさんと一緒。親子…てほどではないか。長身男性二人で、なにか用紙をみながらぼそぼそ話している。

 素朴な田舎町の文具屋で、その二人は異様に浮いていた。イヤ何がそんなにおかしいわけじゃないんだけど……

 何かを探しているようだ。私は案内するべきかと思い近づこうとしたけど、人垣の少しだけ内に入っただけで足が止まる。

 な、なんなんだろう。なんか……怖い。

 大男よりも、むしろ、美形さんのほうが、近寄りがたい。

 固まってしまった私に、大男のほうが気が付いて、紙を手渡してきた。

 「この方に、ここに書いてあるものを案内してさしあげてくれ」って。

 『新学期の持ち物…絵の具・アクリルガッシュ、絵筆四種、A4スケッチブック、パレット、筆洗い』

 どうやら学校の、美術教師から渡されたもの、らしい。美形さん、まさかの高校生。いや見た目はその年齢相応なんだけど、高校生…。


 年下とわかり、ちょっと余裕が出た。それでも目を合わせることは出来なくて、黙って商品を揃えると、大男の方が礼を言ってくれた。不思議なふたりだなあ。年の離れた長身の男が二人、だけど、姫と護衛のSPのようだった。


 あれ、今気づいたけど、新学期の準備遅くない?

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