第08話「人形 go to the girl」(最終話)
第08話「人形 go to the girl」(最終話)
アリッサちゃん、どこへ行っちゃったのかなぁ。
少なくともお隣のお婆さんには話していないのは間違いないよね。
夜逃げなら、借金取りに追われないようにするためだと思うけど。
ということで、冒険者協会に到着! 情報を集めるなら、まずは冒険者。
「へぇ、ここがパテローネの協会なんだ。街ごとに結構違うのね」
あれ、もしかしてアスレイアちゃんってカタロッサの冒険者協会にしか行ったことないの?
「ええ。故郷から一番近い街があそこだったし、あそこで登録したから。それでまずは依頼達成の報告からでしょ?」
うん、宵闇花を出してもらっても良い?
それとここのカウンターでは通訳はなくても大丈夫だから。
「そうなの?」
首をかしげるアスレイアちゃん。
他の場所では全部普通の人形のふりをしていたし、疑問に思うのもしかたないよね。
でも思い出して、俺はここで冒険者の登録をしたってことを!
それに、この街に着いたのは間もなく夕方になるかって時刻だった。
アリッサちゃんの家で少し時間が過ぎちゃったから、そろそろ夜になってもおかしくない時間。
つまり……。
「レイオンさん、お久しぶりです! 今まで何をしていたんですか? 心配したんですよ!」
そう、この巨乳ノーブラエルフの受付のお姉さんがいるのだ!
ちょうど今から勤務時間なのか、受付を交代するなり俺を見つけて声を掛けてくる。
「えっと……誰、あの人」
この冒険者協会の受付の人。多分、この街で一番俺に慣れている人でもあると思う。
でもさ、アスレイアちゃん。どうしてそんなにお姉さんを睨んでいるのかな?
視線が胸部の一点に集中している気がするけど、それって気のせいじゃないよね?
とりあえず宵闇花の納品は終わらせて来ちゃうね。
ってことで、こんばんはー。
「はぁ……相変わらず可愛い……」
ぴょこんっと手を上げて挨拶する俺を見て、お姉さんは思いっきり表情を緩める。
うん、1週間ぶりくらいになるけど、相変わらずで安心した。
「おっと……こほん。お久しぶりです、レイオンさん。以前受けられた依頼の報告でしょうか?」
そのとおり! ってことで、採取してきた宵闇花を差し出す。
ちなみに今回持って来たのは3本だけ。本当はもっと持って来たかったんだけど、あまり多くても荷物になるから止めたんだよね。
自分で持つならまだ良かったけど、アスレイアちゃんに持って来てもらっちゃったし。
「宵闇花を3本ですね。採取して時間が経っているのか少々萎れていますが……はい、問題ありません」
花を確認して、お姉さんは頷く。
薬の素材になるけど、生花のまま使うわけじゃないから問題はないらしい。
なのでお姉さんから報酬の銀貨をゲット! やったね。
「ところで、どうしてこんなに時間がかかったんですか? 心配したんですよ」
これでお仕事終了……と思いきや、お姉さんがいきなり俺を掴んで来た。
ふぉぉぉぉ! ちょ、頬ずりまで!?
突然何してるの、この人!? さすがにこれはビックリなんだけど!?
前々からなんか怪しかったけど、この1週間で変な方向にパワーアップしていない!?
うひゃぁぁっ、全身を撫で回さないでっ! 助けてアスレイアちゃーん!
「はぁ……何をやっているんだか」
あっ……。
近付いて来たアスレイアちゃんが、お姉さんから俺をひょいっと取り上げる。
た、助かった……?
「あぁ、レイオンさんが……! ちょっとあなた、何をするんですかっ」
「何をするはこっちの台詞よ。あなたこそレイオンに何をしているの?」
「私はただ、レイオンさんの身体にほつれているところや破れているところがないかの確認を──」
「それなら無用ね。だって、わたしが一緒にお風呂に入って洗いつつ、毎回チェックしているし」
「なっ……い、一緒に、お風呂……ですって……」
なんだかものすごいショックを受けている受付のお姉さん。
いやそれ以前に、アスレイアちゃん……いつの間にそんなチェックをしていたの? 俺、全然気付かなかったよ!?
「それはあなたが毎回、わたしの裸に気を取られているからじゃないの?」
はっ、そうだったのか!
やだ、反論の言葉が思い浮かばない自分が怖い……!
「ちょ、ちょっと待ってください、あなたは何なんですか!? レイオンさんとはどんなご関係で!?」
と、お姉さんが身を乗り出してアスレイアちゃんに食ってかかってきた。
アスレイアちゃんはローブの中から冒険者カードを取り出して無造作に差し出す。
「冒険者のアスレイアよ。レイオンとは同じパーティーのメンバー」
「へ? パーティ……って、ちょ、ちょっと待ってください、アスレイアって確か……」
ん? なんでお姉さんが驚いているんだろ?
かと思えば、遠巻きにこっちを見ていた冒険者の人達が騒ぎはじめる。
「おい、アスレイアって、2日前から噂になっている、あの盗賊団を壊滅させた奴のことか?」
「まさかあんな女の子が殺戮者なのか……?」
うぉ、なんだかすごい注目を受けている気がする。って、いつの間にこの街にまでその2つ名が!?
まぁ盗賊退治したときの事情聴取で乗客の誰かが騎士の人に言って、それが拡散したんだと思うけど……。
うーん……ここは1つ、サービスで可愛いアピールでもした方が良いのかな?
ということで、いつかみたいにジャグリングなんてしてみたり。
「待て、確か殺戮者のパーティには、殺人人形って呼ばれる奴がいるって……」
「殺人、人形? ……それって」
みんなの視線が俺に集まって来たよ!
俺は張りきって、そこら辺にあったペンとかインク壷とか短剣とかをぽんぽん飛ばしていく。
あ、手元が狂っちゃった。
鞘からすっぽ抜けた短剣が、見ていた冒険者の足下に突き刺さる。
「ひぃぃぃぃっ!? ま、間違いねぇ、あいつが殺人人形だ!!」
「ここ数日姿が見えねぇと思ったら、そんなことをしていやがったのか……!」
あれ、おかしいな。可愛さをアピールしたつもりなのに、何か怖がられている?
やだなー、俺は怖くないよ? アリッサちゃんが作ってくれたこのボディは、愛らしさに満ちあふれているのがわかんないかなー。
「……何を脅しているのよ、レイオンは」
違うし、脅してなんていないし!
「レ、レイオンさんまで……。あぁ、あんなに可愛らしかったレイオンさんが血にまみれてしまうなんて……」
そこっ、なんで崩れ落ちて泣いてるの!?
俺はまだ可愛らしいままだし!
「お、おい、あの人形が俺達を睨んでないか……?」
「やべぇ、俺達も殺される!?」
「あ、でもあの殺戮者って結構可愛くないか? まぁ胸が残念──」
「火弾」
「ぎゃぁああぁぁぁっ、火が、火があぁぁぁぁぁっ!」
冒険者協会の中はハチの巣を突いたような騒ぎに包まれてしまった。
どうしてこんなことになっちゃったんだろう。依頼を達成した報告と、情報収集に来ただけなのに……。
まぁ、そんなこんなで何とか静かになりました。
一部床が焦げていたり、真っ黒になってうなされている冒険者もいるけどね!
もちろん死んでいないよ。そこら辺はちゃんとアスレイアちゃんも手加減できるみたい。
でもそんな過去にばっかり目を向けてちゃいけないと思うんだ。未来を見据えないと。
ってことで、誰かアリッサちゃんやミュウゼル家の人達のことを知っていたら、何でも良いから教えてもらえないかアスレイアちゃんに聞いてもらうことに。
真っ黒に焦げた冒険者の人のおかげで、まるで油を塗ったようにみんなの口は滑らかだった。不思議だね。
でも、残念ながら知っている人はいないみたい。
もっともミュウゼル家の人達は一般人だったし、冒険者とは関係ない生活を送っていたからしかたないのかも。
「えっと……その子って確か、以前レイオンさんと一緒に歩いていた女の子ですよね?」
と、何かを思い出したのか、受付のお姉さんがそんなことを聞いてくる。
そう言えば、アリッサちゃんと一緒にいるところを見られたことがあったっけ。
で、何か知っているの!?
「レイオンが、何か知っているの? って聞いてる」
「知っているというか、一昨日の夜の仕事帰りに、眠そうなその子とご両親っぽい人が東門の方に向かって歩いていたのを見ただけで……」
東門? っていうか、歩いてってことはやっぱり夜逃げだよね!?
借金取りに掴まったとか奴隷として売られるとかだったら、普通に歩いてるのはおかしいし!
アスレイアちゃん、こうしちゃいられないよ! 早く東門から追い掛けなくちゃ!
「落ちついて、レイオン。今日はもう門が閉まる時間だから」
あ……そっか、もうそんな時間なのか。
それに、本当に東門から出て行ったのかもまだ断定できないよね。
ああでも、奴隷じゃないってわかっただけでも嬉しいかも!
「そう決めつけるのはまだ早計だと思うけど」
え、どうして?
「途中で掴まれば、借金を踏み倒したと思われてそのまま売り払われても不思議じゃないから」
た、確かに……。あぁあぁぁぁ、心配だよ、心配だよ、心配だよぉぉ!
「…………」
「……? なに、こっちをジッと見て」
「い、いえ、アスレイアさんは本当にレイオンさんと会話ができていて、うらやま……もとい、すごいなと思いまして」
うらやましそうな眼差しでアスレイアちゃんを見るお姉さん。
でも、アスレイアちゃんは不思議そうにそんなお姉さんを見返す。
「あなた、エルフ族よね?」
「ええ、もちろん。混じりっけない、純粋なエルフですがそれがなにか?」
「あっ、もしかして精霊魔術は使えない人? だったらごめんなさい」
「え、なんで謝られたんですか!? 精霊魔術は使えますからっ。これでも私、子供の頃は故郷で一番の使い手とまで言われていたんですよ!?」
へぇ、お姉さん、そんなすごい人だったんだ。
あ、ちなみに精霊魔術って言うのは、スピリットスピークって能力で精霊に語りかけて行使する術のことだそうな。
人間で使える人は非常に稀で、エルフとかの別種族が得意としているらしい。
「……スピリットスピークは使えるのよね?」
「ええ、もちろん。それが使えなければ精霊魔術は使えませんし……ほら、ご覧の通りです」
小さく何かを呟いたかと思えば、お姉さんが振るった指に小さく火が灯る。
おおお、これが精霊魔術か~。火が意志を持っているかにように揺らめいているのが面白い。
というか、これって火の精霊なんだよね? それなら実際に意思は持っているってことだよね。
でも、それを見てアスレイアちゃんは何だかショックを受けているようだ。
「あ、あれ、おかしいな、何言っているのかわからなかった……わたしにもスピリットスピークは使えるんじゃないの……?
でもレイオンと話はできるし、たまたま聞こえなかっただけとか……ううん、すぐに使えたってことはこの場に精霊がいるってことだし、声が聞こえないのはどうして……?」
「あ、あの、もしかしてスピリットスピークでレイオンさんと会話できるんですか!?」
「え、ええ、わたしはそう思っていたんだけど……」
そこで、アスレイアちゃんと受付のお姉さんの視線が俺の方を向く。
そんなに見つめられたら照れちゃうな~。
「い、今、レイオンさんはなんて言ったんですか!?」
「見つめられたら照れちゃう……って」
「あぁ、照れてるレイオンさんも可愛い……けど、どうして私には声が聞こえないんですかぁぁぁっ!?」
うーん、なんなんだろうね、これ。
わけわかんないや。
まぁ結局のところ、冒険者教会で手に入った情報はアリッサちゃん達が東門の方へ向かって歩いていたということだけだった。
これ以上いてもしかたないし、夜も更けてきたので俺とアスレイアちゃんは撤退。
近くに宿を取って、また明朝から情報収集を頑張るよ!
そして夜も明けて朝になったみたい。
アスレイアちゃん、今日はどこから聞き込みをするのかな? 東門の門番さん?
「その前に、念のために奴隷商のところを覗いてみるつもり」
そっかぁ、この街から逃げ出す前に掴まっちゃってたら大変だもんね。
早く見つかって欲しいけれども、どうかそこにだけはいませんように……。
その願いが通じたのか、行ってみたこの街唯一の奴隷商のところにミュウゼル家の人はいなかったよ。良かったぁ。
でも奴隷にされた人達はみんな死んだ魚のような目をしていた。
酷いよね、人間を売買するだなんて。
でもそれがこの世界……なんだよね。それに奴隷も悪いことばかりじゃなくて、これのおかげで経済が回っているところもあるみたいだし……。
でも俺は好きじゃないかも! できれば一生、こことは縁のない生活を送りたいです!
それと、多分アスレイアちゃんも気分が良くなかったみたい。
常時表情を硬くしていたし、用件が終わったらさっさと出て来ちゃったし。
ま、嫌なことは忘れて、次へ行こう次!
アスレイアちゃん、次はどこだい?
「そうね、門番に話を聞いてみましょうか。そこで3人が通ったっていう証言があれば良いけど、なければ地道に周辺で聞き込みね」
了解! さぁ、レッツゴー!
「ん? ミュウゼルさん夫婦と娘さんかい? 確かにこの前、朝早くにここを通って行ったなぁ。ちょっと出かけてくるとしか聞いていないけどよ」
って、いきなり確定情報来たぁぁぁあぁぁっ!!
マジで? それマジもんの情報ですか!?
「落ちついて、レイオン……。それで、ミュウゼルさん達はどのような格好でしたか?」
「普通の外出着だったぜ? あ、でも娘さんは、なんかガラクタを大事そうに抱えてはいたな。それに……そう言えば、ちょっと出かけるにしては荷物は多かったかもなぁ」
「そうですか……ありがとうございました」
丁寧にお礼を言って、東門の守衛さんから離れる。
で、アスレイアちゃん!!
「ええ、夜逃げで間違いないと思う。そのまま歩いて次の街に行くとも思えないけど、連絡馬車を使うとすぐに足がつくだろうし……」
それに、普段着なのに荷物が多かったって言うのもいかにも夜逃げっぽいし!
アリッサちゃんが大事そうに持っていたのって、多分宝物にしていた綺麗な石だと思うし!
「わたしもそう思うわ。これで外壁を伝って別の方向へ向かったとかじゃなければ、そのまま東に向かったってことで間違いないんじゃないかな」
そっかぁ。あ、でもこの街の東って何があるんだろ?
「連絡馬車の通り道なら、いくつかの村とカシスさんやレモンが向かうと言っていたユークリッドの街があるわね。
さらに東に行けばこの国の首都があるけど……そこで人の中にまぎれる気なのかな。それとも知り合いがいるとか……レイオンは何か聞いてる?」
えっとね、確かママさんの実家があったはずだよ。
ママさんは元々どこかのお嬢さまで、パパさんと駆け落ちしたって話だし。
「そう。ということは、実家を頼る可能性もあるかも」
つまり?
「わたし達も東に行くわよ。とりあえず目的地は王都で」
ラジャー! となれば、早速連絡馬車かな? あ、でも、今日の分はもう出発しちゃってる時間か。
間に合っていれば、カシスさんやレモンちゃんと一緒だったのになぁ。
「それはしかたないわ。それに、もし一緒の馬車に乗ってもすぐに別れていたかもしれないし」
えっ、どうして? そのままユークリッドの街までは一緒じゃないの?
「途中で宿泊する村で、そのつど情報収集をした方が良いでしょ? もしかしたら、どこかの村に立ち寄ってから道を逸れているかもしれないし」
あっ、そっか! そうなると、情報収集で1つの村とか街に数日留まらないといけないかもしれないのか。
移動するだけのレモンちゃん達とは一緒にいられないね。
「そういうこと。それで……どうする?」
へ? どうするとは何が?
「今日はもう少し情報収集して、後日の連絡馬車に乗って王都へ向かうか。それとも今日中に徒歩ででも東に向かい始めるか」
むむむ……どっちが良いんだろ。連絡馬車が明日出るならそっちの方が良いのかもだけど……。
「東には今朝出たばかりだから、2日くらい空けるんじゃないかな。詳しくは調べてみないとわからないけど」
2日かぁ……さすがにそれは待てないかも。
本当を言うと、今すぐにでもアリッサちゃんを追い掛けたくてしかたないくらいだし。
あっ! アスレイアちゃんは馬に乗れないの?
馬に乗って単独で走れば、歩きや馬車よりもずっと早いよね!?
「ごめん、わたし、乗れない。わたしが乗ろうとすると、なぜか怯えて走ってくれなくなるの」
え……そ、そうなんだ。なんかごめん、変なこと聞いて……。
「謝られても困るんだけど……。あと、ちゃんと走れる馬を買おうと思えば高いのよね。今は懐が温かいから良いけど、今後いつ稼げるかわからないから節約しておきたいかも」
そっかぁ、アスレイアちゃんは俺と違ってご飯も食べないといけないしね。
人間は生きるだけでもお金がかかるし、旅をするならそれなりに準備もしないとダメだろうし。
「そういうこと。で、これからどうしたい?」
うーん……うむむむ……よし、決めた! 今日中にパテローネの街を出よう!
まずはこのまま旅に必要な物の買い出し! そしてお昼には出発! これでどうかな!?
「了解。じゃあ、その予定で動きましょ」
アスレイアちゃんは頷き、俺を抱いたまま旅に必要な物を買いに市場へ足を向ける。
日が最も高くなるころには、俺達は東門の前に立っていた。
連絡馬車ではないけれど、商人達の荷馬車や普通の旅人達がまばらに東へ西へと進んでいく。
数日前には、この道をアリッサちゃんやパパさんママさんも通ったのかな。
「あ、そうだレイオン。道中いろいろと実験したいから付き合ってくれる?」
え? なんでこんなタイミングでそんなこと言うの?
「深い意味はないわ。ただ、あなたと会話できるのがスピリットスピークの能力じゃないっぽいから、どうなっているのかと思ってね」
ああ、うん。そう言えば受付のお姉さんとそんなこと話していたよね。
まー、別に良いよー。アスレイアちゃんにはお世話になっているし。
「そ、ありがと。ふふふ、この原因がわかれば、また1歩大魔師に近づくわ……」
ちなみにどんなことするの? 危ないことじゃないよね?
「…………」
って、どうしてそこで急に黙っちゃうの!? ねぇ、アスレイアちゃん!
なぜだろう、旅が始まったばかりなのに、いきなり暗雲がたちこめてきた気がするよ……。
「まぁそれはそれとして。それじゃ行きましょうか、レイオン」
うん。行こうか、アスレイアちゃん。
いざ、アリッサちゃんのところへ。俺の家へ!
俺達は門の前から歩き始めた。
いや、俺はアスレイアちゃんの隣をふよふよ飛んでいるから、歩いてはいないんだけど。
周りにいる道行く人達がぎょっとしてるけど気にしない!
このときの俺は、これが長い長い旅の始まりになるなんて全然思っていなかった。
ただ決意と期待を胸に、一路東に向かって進み続ける。
アリッサちゃんと再会できる、その日まで──
本編はこれで終了し、あとは4話ほど番外編を投稿して完結となります。
なお打ち切り的なエンドではなく、「人形は家に帰り、そして少女の元を目指す──」という感じで最初からここで終わる予定でした。
では残り4話の番外編を最後までお楽しみくださいませ。