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人形 go home  作者: 森平
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第07話「人形の帰る家」

第07話「人形の帰る家」




 ともあれ、盗賊の件は解決。


 連絡馬車は定期的に走っているから、到着予定時間から大きくずれたりするとすぐにトラブルがあったとわかる仕組みらしいんだよね。

 しかも国が管理しているので、近場から騎士団が出動する。

 そんなわけで馬車が襲われた場所に戻ると、すぐに騎士団が駆けつけて俺達は保護されることになった。


 とりあえず近くの村まで騎士団に守られながら移動。

 簡単な事情聴取が終わって解放されると、用意された宿で1泊することになった。


「はぁ、疲れた……。こんな時間まで拘束しなくても良いじゃない」


 宿に入るなり、愚痴を言うアスレイアちゃん。

 でもしかたないんじゃないかな。だって、アジトをこれ以上ないくらいに壊しちゃったんだし。

 おかげでどこで活動していた盗賊だったのかも調べられなくて、騎士団の人達困っていたし。


「……まぁ、わたしも正直やり過ぎたと思っているわ」


 最後の火の玉を連射したのって必要だったの?


「ああ、あれ? 生き残りがいたら襲われるかもしれないから、しかたなかったのよ」


 確かに後顧の憂いを断つのは大事だよね。でも本心は?


「ムシャクシャしてたからやったわ。反省はしていない」


 だよねー。うん、ここ数日でアスレイアちゃんがそんな性格だろうってわかってきた。

 なにせファーストコンタクトでいきなり火の玉ぶっ放してきたくらいだし。


「う、うるさいわね。良いのよ、モンスターと盗賊に温情なんて必要ないんだからっ」


 でも、モンスターはともかく盗賊は同じ人間だよ?


「以前、故郷の村が盗賊に襲われたことがあるのよ。そのとき、仲の良かった従姉がさらわれて酷い目にあってね」


 あ……そ、そうなんだ? そっか……うん。この世界は綺麗事ばかりじゃないもんね。

 あっ、そうだ、ところで明日はどうするの?

 希望者は、明日この街を通る連絡馬車に無料で乗せてくれるらしいけど。


「もちろん利用するわよ。レイオンは早くパテローネの街に行きたいんでしょ?」


 それはもちろん。でも、アスレイアちゃんは大丈夫?

 魔法をたくさん使って疲れているなら、1日くらい休んでも良いと思うけど。


「そっちは全然問題ないわ。むしろ……くふふふ、久し振りに良い感じに魔法を使えてスッキリしているくらいだし」


 そ、そっか、それなら良いんだけど。

 っていうか、なんでそこで笑うの!? まるで危ない人だよアスレイアちゃん……。


 ともあれ、今晩はゆっくり休まないとね

 この村、連絡馬車の通り道なだけあって宿の設備はすごく良い!

 それこそカタロッサの街の安宿よりも充実していて、なんと客室にお風呂が付いているのだ!


 俺も盗賊の血で汚れちゃってるし綺麗にならないとね。さすがに血だらけで帰ったら大変なことになっちゃうよ。

 現に騎士の人なんて、俺を見てどん引きしていたし。

 普通の人形の振りをしていたのにだよ? 失礼しちゃうよね。


「あっ、ここのお風呂、浴槽まである」


 えっ、マジで!? ふぉぉぉ、本当だ! シャワーじゃない!

 アリッサちゃんの家はシャワーだけだったから、久し振りのお風呂だ!!


「わたしも湯船に浸かるのは久し振り。故郷の村はシャワーよりもこっちが主流だったから」


 へぇ、村とか街で違うんだね。

 でももしかすると、湯船にお湯を張るだけでも追加料金を取られるんじゃないの?


「ふふん、レイオン、わたしを誰だと思っているの? この将来大魔師になる予定のアスレイアに抜かりはないわ!

 降水(シャワー)! ついでに熱波(ヒートウェイブ!!)」


 おおっ、みるみるうちに浴槽に水が溜まって、それがどんどん温められている……!

 すごい、アスレイアちゃんが輝いて見えるよ!!

 というか、魔法ってこういう使い方もできるんだね!


「これくらいで良いかな。ふんふんふ~ん♪ じゃあ、早速入ろっと」


 湯加減を確かめると、鼻歌交じりで早速服を脱ぎ始めるアスレイアちゃん。

 すぐに一糸纏わぬ状態になり、そっとお湯をその滑らかで絹のような肌にかける。


「んっ……ふぁあ、気持ち良い……」


 その温かさに、白い肌がほんのりと赤らんできた。

 雫がおっぱいの頂点にあるさくらんぼから、ツーッと流れていく様子が……すごく良い!

 なにより銀糸のような髪が肌に貼り付いているだけで、もう絵画に描かれているような女神みたい……。

 不思議、盗賊のアジトでは邪神だったのに!


 あとすごいことを知ってしまった。

 まさか、アスレイアちゃんはまだ生えていないなんて……!


「何をジッと見ているのよ。ほら、レイオンの血も落としてあげるから来なさい」


 あーいや、なんか見てるだけでもうお腹いっぱいって言うか……。


「変なの。いつもは図々しいくらい身体を胸に押しつけてくるくせに」


 ギクッ! 気付かれていた……?

 いやだってさ、小さいとは言え女の子の身体って柔らかいし、良い匂いするし……。

 はい、すみませんでした!


「別に怒っていないわよ、人形に触られたからって何があるわけでもないし。それよりも、あなたが血だらけでいる方が問題なの。ローブが汚れるでしょ」


 あ、はい、そうですね。

 じゃあ……お願いしちゃおうかな。


 ってことで、アスレイアちゃんに隅々まで洗われちゃいました。

 うん……なんていうかね、脱水されるときにギュウギュウ搾られて痛かったよ……。



「んぅ……すー……んん……」


 隣からアスレイアちゃんの寝息が聞こえてくる。ベッドに入るなり、すぐに寝ちゃった。

 あんなことを言っていたけど、やっぱり疲れたんだろうね。盗賊に連行されたことも本当は怖かっただろうし。


 俺はそんなアスレイアちゃんの隣に寝転がって、ぼんやり天井を眺めている。

 盗賊のせいで、アリッサちゃんのところに帰るのが1日遅くなっちゃった。

 パテローネの街に着くころには、鳥にさらわれてから1週間くらい経っていることになっちゃう。

 1週間って長いよね。アリッサちゃん、どうしているかな……。

 泣いていたらどうしよう? 俺のこと、本当に大事にしてくれていたからなぁ。


 でも、パパさんの借金は多分どうにかなりそうなのが不幸中の幸いかも。

 盗賊から奪ってきた金目の物は、ほぼ全部俺とアスレイアちゃんの物になった。

 だって、盗賊達を殲滅したのは俺達だもんね。

 さすがに乗客の人達の物は全部返却したし、本来の所有者のわかる物は騎士団の人にお願いして返却するんだけど、それでも結構な金額だ。

 多分金貨に換算したら50枚くらい? 日本円にしたら1千万円くらいありそうだよね!


 それにしても盗賊……かぁ。悪人だし死んで当然なことをしていたからしかたないんだけど……俺も何人か殺しちゃったんだよね。

 他にも何人も、冒険者の人達とかも死んじゃったみたいだし……。


 あ、あれ? なんだろう……今になって、すごく怖くなってきた……。

 あれ? あれ? おかしいな……なんか身体が震えてる。

 人形なのに、こんな……。


「ん……なぁに? どうしたの、レイオン……」


 あ……アスレイアちゃん……。


「ふぁ……。何だか知らないけど……ほら」


 んぐぅっ……!?

 寝惚けているのか、アスレイアちゃんは震えている俺をギュッと抱きしめてきた。


 あ……なんか、すごく温かい……。


「明日も早いんだから……早く寝なさい……くぅ……すー……」


 また、寝ちゃった?

 というか、俺、人形だから寝る必要ないんだけど……。


 でも、こうやって抱きしめられているせいか、いつの間にか震えは止まっていた。

 アスレイアちゃんの薄いおっぱい越しに、トクントクンって心臓の音が聞こえてきて、すごく安心した気分になってくる。


 うん、いくら俺が人形だからって、元は人間だったんだもんな。

 あのときは必死だったり状況に流されたりで感じなかっただけで、怖くなって当たり前か。

 でもここは前世の世界とは違う。割り切るところは割り切って……でも、必要以上に人形ぶらなくて良いのかも。

 とりあえず、人を殺しちゃうのはしばらくノーサンキューかな。

 もしアリッサちゃんやアスレイアちゃんに危険があればその限りではないけど……正直、あまり殺したくないし。


 こういうときは本当に人形で良かったのかも。もしこのまま寝ていたら、悪夢とか見てうなされていそうだし。

 今はこうしてアスレイアちゃんの心臓の音を聞いていたい。


 だけど、これって自分が赤ん坊にでもなった気分になってくるね。

 でもそれって、アスレイアちゃんが母親ってこと?

 あははは、ないない。この胸じゃ、あまりにも母性が足りな──


「……っ!」


 ひぶぃっ!?

 ちょ、アスレイアちゃん、急にそんなに締めつけられたら、苦し……ぎ、ギブギブぅぅ!!

 あ、ダメ、意識が遠く……え? 人形って気絶するの? マジで……?

 ガクッ。




「それではまた縁がありましたら……」


「お姉さん、レイオン、ばいばーい!」


 連絡馬車から降りて、カシスさんとレモンちゃんが俺達に手を振る。


「2人もユークリッドの街まで気をつけて」


 ばいばい、レモンちゃん。元気でね~。


 ってことで、とうとうパテローネの街に到着しました!

 連絡馬車はここで1泊して次の街へ向かうため、カシスさんとレモンちゃんも一旦降りて、斡旋された宿へと向かう。

 もちろんここが目的地の俺やアスレイアちゃんとはお別れだ。

 2人とも今日1日はこの街にいるから、もしかするとバッタリ会っちゃうかもしれないけどね。


 ちなみに盗賊のアジトを出てから1日くらいは、2人とも俺達を怖がっていたんだよね。

 でも子供は順応性が高い。

 昨日のうちにはもうすっかり盗賊のことは忘れて、レモンちゃんはアスレイアちゃんや俺にべったりだった。

 まだカシスさんはぎこちないけど、それでも助けたことは感謝してもらえているみたい。


 それはともかくだ! とうとう帰って来たぜ!

 1週間くらい離れていたせいか、すっごくこの街並みが懐かしく思えるよ!

 あのデカ鳥と盗賊のせいで帰るのがこんなに遅くなって……ぐぬぬぬぬ。


「何を唸っているのよ。それよりも、ミュウゼルさんの家へ案内して欲しいんだけど」


 おっと、そうだった。

 できれば今すぐに飛んで行きたいけど、まだ真っ昼間だから目立っちゃうんだよね。

 だからアスレイアちゃんに抱かれながら歩いて向かうのだ。


 冒険者協会で宵闇花の依頼達成の報告もしなくちゃ。一応森を抜ける前に採取しておいたんだよね。

 でもそれよりもまずはアリッサちゃん!

 あの依頼に期限は決められていなかったから焦る必要もないし、盗賊から回収したお金があるから今は報酬にこだわる必要もなかったり。

 まぁ、あの受付のお姉さんも心配しているかもしれないから、早い内に行くつもりだけど。


 そしてどんどん近づいてくる我が家。

 ヤバイよ、人形なのにドキドキしてきた。もう、中の綿がバクバクいってるよ。


「……それ、どんな状況よ」


 なんか、もう、すごい状態って感じ?

 あっ、そうだ、アスレイアちゃん。ちゃんと口裏は合わせるようにお願いね。

 俺はアリッサちゃんの前ではただの人形だから!


「わかってる。でも、ただの人形がどうしてわたしの手元にあるのかって話になると思うんだけど……」


 そこは、あのビックバードにさらわれたってことで誤魔化すしかないかなぁ。

 アスレイアちゃんがそれを打ち落として、そのときに俺を回収したことにすればなんとか……。


「ちょっと苦しいと思うけど……任せて。いざとなったら力尽くで信用させるから」


 何をする気なの!? アリッサちゃんを火だるまにするとか禁止!!


「そんなことしないわよ。まぁ、未来の大魔師を信用しなさい」


 うーん……そこはかとなく不安が……。

 で、でも、とりあえずアスレイアちゃんを信用するしかないか。俺は何も言えないんだし。


「で、この家で良いの?」


 気が付けば、俺達は見覚えのある一軒の家の前に立っていた。

 アスレイアちゃんの言葉に、俺はコクコクと頷く。


 いよいよ、アリッサちゃんとの再会だ!

 泣いていないかな? 俺を見たらぎゅってしてくれるかな? うーあー、どんな顔して会えば良いんだろう。


「別に、いつも通りで良いと思うけど」


 おろおろする俺に呆れた声を掛けて、ドアをノック。


「ごめんくださーい」


 声を掛けてしばし待つも、中からは返事がない。

 ママさんは専業主婦をしているし、アリッサちゃんといつも家にいるはずなんだけど……。

 あ、もしかしてお出かけ中なのかな? 買い物に行っているのかも。


「おや、お嬢ちゃん。ミュウゼルさんに何か用かい?」

「あ、こんにちは、お婆さん。こちらのお宅は留守なんでしょうか?」


 アスレイアちゃんの声を聞きつけたのか、お隣のお婆さんが現れた。

 この人の顔を見るのも久し振りだなー。

 俺を見て驚いた顔で首をひねっているけど、すぐにアスレイアちゃんに目を向ける。

 でも、なんだか申し訳なさそうな顔をしているような……なんだろ。

 その表情に、何だか嫌な感覚が込み上げてくる。


「実はね、一昨日の夜からミュウゼルさん達の姿が見えなくてね」


 ……は?


「それはどういう意味ですか?」

「どうもこうもそのままの意味だよ。一家3人、いなくなっちまったのさ」


 ……え? どどどどど、どういうこと、それ!?

 一家3人いなくなったって……え? アリッサちゃんは? パパさんとママさんは?


 くっ……まだるっこしい!!


「ちょ、レイオン!?」


「ひゃぁぁっ!?」


 俺はアスレイアちゃんの胸から離脱すると、念力でドアを勢い良く開け放つ。

 お婆さんが驚いているけど知ったことじゃない!


 アリッサちゃん、どこー!?


 家へ飛び込み、呼びかけながら一部屋一部屋見て回る。

 だけど……なんだよ、これ。人の気配がまったくない……。

 つい最近まで生活していた痕跡は残っている。でも、アリッサちゃん達だけがいない。


 キッチンは洗い終わっているお皿も置きっ放しになっているだけで、すごく綺麗なままだ。

 アリッサちゃんが好んで使っていたコップも、テーブルの上に置かれたままになっている。


 え、これ、どういうこと?

 まさか……。


 ふと、パパさんとママさんが話していたことを思い出す。

 『借金を返せないと、奴隷に落とされる』って……。


 そ、そうだ、アリッサちゃんの部屋はどう!? もしかしたらアリッサちゃんが小さくなって震えているかも!!

 そう思ってアリッサちゃんの部屋に来るけど、もぬけの殻だった。

 ベッドも最近まで使っていた痕跡はあるけど、それだけ。可愛らしい寝顔はそこにはない。


「レイオン……」


 アスレイアちゃん……どうしよう、俺の帰りが遅かったから、アリッサちゃん達が奴隷になっちゃったのかもしれない……。

 もしかしたら借金取りが来て、アリッサちゃん達を連れて行っちゃったのかも!


「ちょっと落ちついて、レイオン。そう決めつけるのは早い」


 でも!


「家の中に争ったような跡とか、無理矢理連れて行かれたような痕跡はないわ。それと……」


 何かに気が付いたように、アスレイアちゃんは1枚の紙を拾い上げる。

 小さな鏡台……アリッサちゃんが、いつも俺を座らせていた、定位置だ。


 でも、なんでそんなところに紙が?

 いつもは俺とか、宝物にしている綺麗な石とかを置いていたはずなのに。

 その綺麗な石とかは全部なくなっていて、この紙切れ1枚だけ……?


「レイオン、これを見てみて」


 う、うん。何が書いてあるの?


「子供っぽい字だけど、メッセージが書いてある。えっと『レイオンへ、パパとママが遠いところへお出かけするっていうので行ってきます』だって」


 ……え? 遠いところへ、お出かけ?


「もし借金取りが来たなら悠長に手紙なんて残している時間はないと思うし、夜逃げじゃないかな、これ」


 夜逃げ。


 夜逃げ、かぁ……そっか、夜逃げ……。

 うん、そう言われればそんな気もする。遠いところにお出かけとかまさしくそんな感じ。

 そもそも、綺麗な石とかアリッサちゃんの宝物もなくなっているんだよね。

 奴隷にされるのなら何も持っていけないだろうし、泥棒が入ったとしても大人にとって価値のあるものじゃなかったはず。


「でもレイオンに手紙を残すって、あなたに自我があるって気が付いていたってこと?」


 あ、それはないと思うよ。アリッサちゃんって夢見がちな女の子だったし、いなくなっちゃったお気に入りの人形さんが困らないように──って感じで残したんじゃないかな。

 アスレイアちゃんにも、そういうところなかった?


「……あったかも。子供のころのことだけど」


 あ、やっぱりあったんだ。

 というかアスレイアちゃんは今でも夢見がちだよね。大魔師になる! とか。


「大魔師になるのは決定事項だから夢じゃないわよ!」


 ははは、ごめんごめん。


「はぁ……相変わらずの減らず口はどうにかならないの? さっきまでこの世の終わりみたいな感じだったくせに」


 そりゃあもう! だってさ、夜逃げだったらまた会える可能性は大だし!

 少なくとも奴隷になっちゃうよりは希望があるからね。元気にもなるよ!


「ってことは、あなたはこれからアリッサって子を追うつもり?」


 当然! だって、俺の帰るところは……俺の家は、アリッサちゃんのいるところだから。

 だから帰らないなんて選択肢はないね!


 それにさ、もし奴隷落ちしていたとしても俺が助けてあげれば良いんだよね。

 幸い盗賊から回収したお金もあるし、なんとかなりそうな気がするし。


 そう考えたらどんどん燃えてきた!!

 物理的に燃えちゃったら大変なことになっちゃうけど!!


「ふふっ、それじゃまずは情報収集ね。奴隷落ちなら情報はすぐに入るだろうし、夜逃げならせめてどの門からどの方向に出ていったのかくらいは調べないと追えないもの」


 えっ……アスレイアちゃん、もしかして手伝ってくれるの?


「せっかくここまで来たんだし最後まで面倒を見てあげるわよ。それに、人形のあなたがどうやって情報収集をするつもり?」


 うぐっ、それは……。

 あれ? そう考えたら、俺1人でアリッサちゃんを追い掛けるのって絶望的じゃね?

 むしろ1人で追ったら俺までどこかに連れ去られちゃう!?


「ほら、さっさと行くわよ。まずは冒険者協会で聞き込みをするわよ」


 了解! あ、それとついでに宵闇花の依頼の報告も済ませちゃわないとね。

 どこまで追い掛けることになるかわからないけど、お金はいくらあって困らないし。


 それと……ありがとう、アスレイアちゃん。


「別に。わたしもそのアリッサって子に興味があるだけだから」


 ははっ、アスレイアちゃんはツンデレさんだね!

 ほっぺたが真っ赤になっているよ!


「……丸焼きにされるのと、表面をゆっくり焦がされるのはどっちが好き?」


 えっ、何その究極の選択っぽいの!? どっちも嫌だよ、それ!

 しかもアスレイアちゃんが言うと冗談に聞こえないし!


 まぁともあれ。待っていてくれよ、アリッサちゃん。

 絶対に君のところに帰るからね!!



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