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人形 go home  作者: 森平
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第04話「人形と魔法使い」

第04話「人形と魔法使い」




 うえぇぇっ、何これ!? もしかして魔法って奴? マジで、初めて見た!!

 魔法ってこんな感じに発動するのか。すごいね、俺も使ってみたい!

 でも人形には無理ですよね、わかってますとも。でもせっかくの異世界なんだから憧れたっていいじゃない。


 ってそんなこと考えている場合じゃなかった! この火の玉、こっちに向かってきてる気がするんですけどぉぉっ!?

 いーやーっ、だめ、火は勘弁してっ、人形だから燃えちゃうからぁぁぁ!!

 なんなんだよ、今日は本当に! 次から次へともうっ。


 あ、だめ、ぶつかっちゃう、熱い熱い、ど、どこか行ってくれぇぇぇぇぇっ!!


「えっ!?」


 俺が絶叫した瞬間、目の前で火の玉がグニッと明後日の方向へと進路を変えてしまった。

 そのままそこら辺の木にぶつかり、火の粉を散らしながら消滅する。


 えーっと……どうなったの、今の?

 助かった……?


「くっ、奇っ怪な技を……まさかわたしの火弾(ファイアボール)に干渉するだなんて!」


 えっ、俺ってばそんな高度なことしたの? マジで? どうやって?

 って言うか干渉ってなに?


「だけど、さっき何倍もの魔力をつぎ込んだこれならどう!? 火弾(ファイアボール)!!」


 そして再び火の玉が出現した。しかもさっきより2回りくらい大きくて、轟々と音を立てているくらい凶悪なのが!


「さあ、こんがりと焼かれて死になさい!」


 ちょっ、待った! 待った! 話せばわかるから! 俺モンスターじゃないし!

 って、いやぁあぁぁっ、また近付いて来たぁぁぁっ!


 どうするの? このままじゃ俺、死んじゃう?

 人形の身体でも熱いとか柔らかいとか痛いとかちゃんと感じるからなぁ。

 痛いのは我慢できるけど、さすがに焼死はしたくないし……って、なんで諦めているの、俺?


 くっ、こうなればさっきみたく逸らせば助かるかも……でもどうやったんだろ、あれ。

 確かこう……念力で自分の身体を持ち上げるような感じで火の玉をいじって……。

 むむむむむむ……ていっ!


「あっ!」


 おっ、できたできた! うぉぉぉ、すげぇ、あんなでかい火の玉が俺の意のままに動いてるぜ!

 これってまるで俺が魔法を使ったみたいに見えない? ふぉぉぉぉ、なんか高まって来たぁぁ!

 5kgまでの物しか持てないと思っていたけど、こんなふうに人の使った魔法まで動かすことができるんだね。

 火の玉だからかな? 重さとかあんまりなさそうだし。

 それにしても、もしかして俺って結構すごい? やっふー!


「ま、まさかこれにまで干渉されるだなんて信じられない。わたしの全力の火弾(ファイアボール)なのに……。くっ、それをどうする気なのっ!?」


 え? どうもしないよ。だってこんなのが目の前にあったら安心して話し合いができないしね。

 鳥に拉致されたせいでここがどこだかわからないし、俺としては現在地を知っていそうな人は重要な情報源だもん。


 ってことで、ぽいっと。


「あ……」


 激しい音を立てて、再度火の玉はそこら辺の木にぶつかる。

 たださっきと違うところは1つ。

 火の粉となって四散するのではなく、激しい勢いで木を燃やし始めた。


「…………」


 えっと……。


 ちなみにここ、多少木の密度はまばらになっているけど、森の中ね。

 つまり、だ。


「た、大変、このままじゃ森が焼けちゃう……!!」


 うわぁあぁあぁぁぁぁ、森林火災じゃああああぁぁぁっ!

 ちょ、そ、そこの魔法使いの人、水の魔法とかないの!? 何かどぱーって消火できそうな奴!


「水の魔法!? ちょ、ちょっと待って、使えるけど苦手だから時間がかかって……それに攻撃魔法じゃないから、木の消火に向かないわよ!?」


 それでも、とにかく水をかけなきゃ燃え広がっちゃうから! 早く、早く!


「わ、わかったわよ。え、えっと……んむむむむ……降水(シャワー)!!」


 魔法が発動すると同時に、まるでお風呂で見るようなシャワーが木に向かって降り注いだ。

 これを見ると思い出すね。アリッサちゃんと一緒にお風呂に入った日々のことを。


「どうよっ!?」


 って、ドヤ顔しているところ悪いけど全然足りてないし! ほら、火も全然消えてないし!


「じゃあどうすれば良いのよ! そもそもあなたが木に火弾(ファイアボール)をぶつけたんでしょ!?」


 逆ギレ!? その魔法使ったのそっちじゃん!!

 こっちは必死に自分の身を守っただけです~。


「何よそれ! 全部わたしの責任にするつもり!?」


 え、だって、最初から全部そっちの責任だよね? そもそも森の中で火の魔法使うのが間違っているから!


「ぐっ……た、確かにそうだけど、とっさに使っちゃっただけじゃないっ」


 いや、使っちゃった、で済む問題じゃないし! って、熱っ。

 うわぁぁぁぁ、さっきよりも燃え広がってるぅぅぅぅぅっ!!


「……っ!? こっちにまで火の粉が……って、やだローブに引火しちゃうっ!」


 言い争っている場合じゃなかった! 早く消さないと大変なことに!!

 魔法使いの人、とにかく使える水の魔法をじゃんじゃん使って!


「むぅ……わかったよっ! 降水(シャワー)! 降水(シャワー)!!」


 よし、俺はさっき火の玉を操ったみたいに出てきた水をできるだけ集めて、まとめて木にぶつけて……とりゃぁぁっ!!


 そうこうして、大体1時間くらい後に、ようやく鎮火したのだった。

 つ、疲れた……。


「良かった、消えてくれたわ……」


 お疲れ、魔法使いの人! いえーい!


「いえーい!」


 俺達は声を揃えてハイタッチ。まぁ、人形の手と人間の手じゃ景気の良い音は出ないけどね。


 ……ん?


 そこで、俺はふと気が付いた。


「……あれ?」


 魔法使いの人も何かに気が付いたように声を上げ、俺のことをじろじろ見てくる。

 つーかさ、なんで……俺とこの人、会話できてるの?




 なぜかこの人と意思の疎通ができたので、じっくり腰を据えて話をしてみることになったよ。

 この状況を有効に活用しない手はないからね。


「へぇ、それは災難だったわね」


 焚き火を囲みながら、簡単に自己紹介となぜ俺がここにいるかの説明を聞いて、彼女はしみじみと頷いた。


 そうなんですよ、わかってくれます?

 いやー、人とこうやって会話できるのって良いなー。


 彼女は近くのカタロッサの街で最近冒険者として登録したばかりの新米で、アスレイア・サークレットって言うらしい。

 年齢は14歳で、見ての通り魔法使いなんだって。

 現在同じ村から出て来て冒険者になった幼馴染2人と3人パーティを組んでの依頼中で、この森で1泊しているとか。


「それにしても、わたしにスピリットスピークの才能があるなんて思わなかったわ。ふふっ、やっぱり将来大魔師になる天才なだけあるわね!」


 へー、そのなんとかスピークっていう才能のおかげでこうやって会話できているのかー。


「多分、だけどね。さっきこっそり試させてもらったけど、ゴースト系のモンスターを除霊する浄化魔法は通じなかったし、あなたは精霊みたいな存在なんだと思うから」


 あ、そうなんだ。前世ではきっちり死んでいるし、もしかしたら俺は幽霊で、念力もただのポルターガイストじゃないかなって思っていたから一安心……って、ちょっと待った!!

 なにそれ、いつの間に浄化魔法なんて使ったの!?


「だから、さっき。あなたが自己紹介中に」


 うわっ、怖っ! 人に何の断りもなく浄化しようとするとか怖っ!!

 下手するとそれで俺は消えちゃってたもしれないってことだよね!?


「本当はやっぱりモンスターでした、ってなったら危険じゃない。あとあなたは人じゃなくて人形でしょ?」


 いや、それはそうかもしれないけどさ……。


 でも、さっきの火の玉の魔法もすごかったけど、気付かれないように俺を浄化しようとしたところと言い、自分で自分を天才と言うのもわかる気がする。

 水魔法のことはあえて言うまい。うん、それが優しさだよね。


 ところで、大魔師って何? すごい魔法使いのこと?


「確かにそれで間違っていないけど、あなた大魔師を知らないの?」


 うーん……あ、アリッサちゃんが読み聞かせてくれた絵本にあったかも。

 『大魔師の道しるべ』って絵本で、大魔師がいろんな人のために頑張るって奴。


「そう、魔法使いの中でも一握りの人しかなれない、選ばれた人のこと。通常ではあり得ないくらいの大魔法を簡単に発動させ、天変地異さえも起こすことができる……」


 そうそう。それでいて弱者の味方であり、困った人を助ける人格者なんだよね。


「現在は一種の名誉称号になっているところもあるけど、わたしは真の意味での大魔師になってみせるわ。いいえ、絶対になる……!」


 おお、燃えているね……!

 あ、そうそう、ところででアスレイアちゃんはどんな依頼でこんなところに来たの?


「わたし達はこの先の岩場にあるピカリゴケを採取する依頼よ。すでにそれは終えて街に帰るところだけど」


 へぇ。でも3人パーティなんだよね。残りの2人はどこにいるのかな?


 さっきの一幕は、俺が鳥と落っこちてきたのを察知して、モンスターの襲撃かと思ったのが原因らしい。

 夜の見張りをしていたのがアスレイアちゃんだったんだろう。

 でもさすがに、さっきのぼや騒ぎでも姿を見せないのはちょっと不自然な気がする。


 そんな俺の質問に、アスレイアちゃんは思いっきり顔をしかめた。


「2人ともそこのテントの中。さっきまでギシギシアンアン聞こえていたし、まだ盛っているんじゃないの?」


 ……マジで? え、2人は恋人とか?


「歳が近いこともあって、幼馴染同士でくっついちゃったってやつ。けっ、だからってこんなところで何をヤッてんだか」


 ちなみに幼馴染は男女が1人ずつで、男がロックって名前で15歳。女がミュイって名前で14歳だとか。

 その年で恋人になって、エロエロなことやりまくっているとか……もうなんて言うかね、爆発して死ねば良いと思うよ。


「同意だわ。破裂して死ねば良いのに」


 思わず顔を見合わせてから、何度もうなずき合う。

 うん、なんかアスレイアちゃんと通じ合った気がする。さっきは不幸なすれ違いがあったけれど、せっかく言葉を交わせるんだから仲良くしたいよね。


 しっかし、そのミュイって女の子はきっと美人なんだろうねぇ。

 いやだってさ、アスレイアちゃんって華奢でちびっこい体型だけど、めちゃくちゃ可愛いのよ。

 シルバーブロンドの髪を編み込んで、瞳はちょっと赤味を帯びた不思議な色。目鼻は整って、愛らしいと言っても良い容貌はまさに絶世の美少女だ。

 もう、こんなレベルの美少女はそうそうお目に掛かれないこと間違いないね。


 もっとも、俺のアリッサちゃんには劣るけどな!

 でもまぁ7歳と14歳では可愛さのベクトルはちょっと違う。そんな美少女のアスレイアちゃんを放ってギシアンするくらいだし、ミュイって子にちょっと興味がある。


「ちっ……やっぱりおっぱいなのかな。男は結局おっぱいバカばっかりか」


 ……うん、今の発言は聞かなかったことにしよう。きっとボインボインなんだろうね。

 あ、ちなみに、アスレイアちゃんはもしかして、その男の幼馴染のことを……。


「え? あの下半身バカ? 全然興味ないわよ、タイプでもないし。ただ気心の知れた幼馴染だからって、わたしがいるところで盛るのが許せないだけだから」


 そうですか。うん、なんか安心した。

 寝取り寝取られでサクッと後からナイフを突き刺すような展開にはならなさそうだし。

 男女混じった冒険者パーティって、そう言うところどうしているんだろうね。普通に恋愛トラブルとかで自然解散とか多いのかな?

 まぁ、人形には関係ないことなんだけど。


 ともあれ、だ。もっと重要なことを聞かなければ。


 ねぇねぇアスレイアちゃん。俺はなんとしてもパテローネの街に戻りたいんだけど、今日中に帰ることはできるかな?


「無理、ね」


 えっ、マジで? どうして!?


「ここが、わたし達が拠点にしているカタロッサの街の近くにある森なのはわかるわよね?」


 うん、さっき聞いたからね。

 アスレイアちゃん達はこの森で採取の依頼をこなしているって。


「それでパテローネの街だけど、この森を東側に突っ切って……徒歩だと大体2日くらいの距離だったと思う」


 そんなに離れているの!? え、でも、空を飛んでいたとはいえ、それほど時間は経っていないはずなんだけど。

 それこそ、俺も空を飛べば朝までになんとかならないかな? 真っ直ぐ突っ切ればそんなに時間はかからないと思うし。


「うーん……まず、わたしがレイオンの飛ぶ速度を知らないから答え辛いけど、あなたを拉致した鳥はビックバードって呼ばれている夜行性のモンスターなのよ。

 こいつはでかい図体の割には飛行速度が速くて有名だから、少しの時間でも結構な距離を移動したと思って良いわ。

 とまぁここまでは良いんだけど、問題は森にあるの。ここから東に行けば森は深くなるし、おそらく真っ直ぐに抜けることは相当慣れている人間じゃないと無理。

 さらに言えば、あなたが迷わないように木々の上を飛んだとして、またビックバードのようなモンスターに襲われるのはほぼ間違いがないわ」


 わかる? と、アスレイアちゃんは小首をかしげて俺を見つめてくる。


 うん、言っていることはちゃんとわかる。だって城壁を越えようとしただけで、あの鳥に拉致されたくらいだしね!

 モンスターが大量にいる場所を、見つからずに飛んでいく自信はまったくない。


 ちなみに、この森を迂回した場合はどれくらい時間がかかるのかな?


「普通に街道を通る場合、大体5日ってところ……かな。睡眠も休憩も取らなければもっと早く着くとは思うけど」


 ぐはっ! 5日もかかるの……? そりゃないよ~。

 ちくしょう、これじゃ夜明けまでにアリッサちゃんの腕の中に戻れないじゃないか。

 はぁ、困ったなぁ。なんて言い訳しよう。

 いやまぁ、アリッサちゃんの前ではただの人形のままでいるつもりだから、何も言えないんだけど。


「で、レイオン。あなたはこれからどうするの?」


 どうするもなにも、何日かかろうともアリッサちゃんの待つ家に帰るに決まっているよ。

 できれば途中で依頼の宵闇花も採取して、少しでも金も稼ぎたいかな。


「1人で大丈夫? 正直、人形の1人旅だとまた何かにさらわれる未来しか見えないけど」


 うっ……か、街道を通ってもダメかな? 危ない?


「モンスターの数は少ないけど、いないわけじゃないから。ビックバードみたいな空を飛んでいるのは神出鬼没だし」


 そっかぁ。それに街道なら他の人も通るわけだよね。

 珍しがられて誰かに連れ去られるか、またモンスターに捕獲されたり八つ裂きにされるってこともありうる。

 今回は城壁を越えた途端に襲われたことだし、街の外だと何があるかわからないもんね……。


「ねぇレイオン。よかったら、わたしが一緒にパテローネの街まで行ってあげようか?」


 えっ、それは是非! って言いたいところだけど……それは良いの?

 アスレイアちゃんだって暇なわけじゃないよね。


「確かに暇ではないわね。親元を離れたから生活費は自分で稼がないといけないし、大魔師になるために魔法にさらに磨きをかけないといけないから」


 そうだよね。じゃあ、どうしてそんなことを?

 いや、俺としてはすっごくありがたいんだけどさ。


「正直わたしも悩んでいたのよ。村から出て来た幼馴染3人で組んだのは良いけど、その……2人はあんな関係だし?

 そろそろソロでやったり、別パーティも試してみるべきなのかなぁ……なんてね」


 あー確かに気まずいよねぇ。しかも依頼で外で寝泊まりしているのに、盛りの付いた動物みたいに交尾に励まれると、色々問題も多そうだ。

 特に今回みたいに夜襲があったり、ぼや騒ぎがあっても出て来ないくらいなんだから。


 ちなみに、ちゃんとアスレイアちゃんが動く前にテントの中へ声を掛けたらしい。

 まだ駆け出し冒険者のようだけど、さすがにこれは酷いよね。危機管理意識が低すぎる。

 てなわけで、アスレイアちゃんはこのまま幼馴染とパーティを組んでいて良いのか悩んでいるってわけか。


 俺が言うのもなんだけど、他の幼馴染2人の冒険者としての目標は決まっているのかね?

 アスレイアちゃんはさっき言っていたけど、大魔師になるのが目標なんでしょ?


「わたしはそう。そのうちいろいろ学ぶためにパテローネ付近だけじゃなく、世界中をめぐってみるつもり。

 でもあの2人の目的は別だから。男の方の幼馴染は騎士になりたいようだけど……」


 それなら、早めに別れるのも1つの手かもしれないね。

 このままだとその2人はアスレイアちゃんに依存するようになっちゃうだろうから。

 むしろそうならない方がおかしいよ。

 冒険者として能力の高い魔法使いのアスレイアちゃんがいれば、多少の無茶をしたってなんとかなっちゃうでしょ?

 そして無理な依頼を受けて、3人揃ってモンスターの餌食になってしまう。そんなことだってあり得るだろうし。


「……そうね、レイオンの言う通りかも。明日、街に戻ったら2人に話してみる」


 うん、そうすると良いよ。でも、俺について来てくれるのは本当に良いの?

 それこそ、凄腕のパーティに入って経験を積んだ方が大魔師への近道だと思うんだけど。


「それはそれでありだと思けど、しばらくは人間関係でぎくしゃくするようなのは願い下げだわ」


 あー……それは確かに。

 固定パーティ組んでいるところだと、新参者ってことでいろいろあるかもしれないし……。

 男所帯に女が1人ってパターンも男女混合も、それはそれで問題が発生しそうだよね。


 まぁそれを言っちゃうと誰ともパーティは組めなくなっちゃうんだけど。

 あとさり気なく俺を人外扱いして、人間関係なんて関係ない的な感じに語らないで欲しい。


「別にそんな意味じゃないんだけど……あっ、あと、レイオンに興味があるって言うのが1番の理由ね。

 動く人形なんて初めて見たし、精霊と仲良くしておけばゆくゆくは精霊魔法とか覚えられるかもしれないし。

 わたしの渾身の火弾(ファイアボール)の制御あんな風に奪ったことだって……ぐぬぬぬ、思い出したら腹が立ってきたわ」


 おおう……。そんな目で睨まれても困る。

 それでいて可愛いのは変わらないんだから、美少女は特だよね。


「それに、あなたを作ったそのアリッサって子のことも気になるから」


 えっ、どうしてそこでアリッサちゃんが出てくるのかな?


「気付いていなかったの? あなたの自我は精霊か何かが人形に宿ったからなんでしょうけど、そうやって動けるのって多分その子が原因よ?」


 そうだったの!? え、なんで? どうして?


「わたしはちょっと特殊な体質でそこら辺は敏感なんだけど、あなたの身体から魔力が出ているのを感じるのよ。

 多分、そこの子があなたを作るときに何かしたんだと思う。結構な魔力を持っているんでしょうね」


 へー、知らなかった。そっか、俺が動けるのってアリッサちゃんのおかげなんだ。

 アリッサちゃん自身は普通の女の子だし、魔法なんて使えないのになぁ。

 少し天然も入っているから、気が付かないうちに何かしちゃったパターンかな?


「ま、そう言うところも含めて興味があるから、あなたについて行こうと思ったの」


 そんな理由があるなら、俺としても一緒に来てもらうのは気楽かも。

 俺のためにわざわざ……となると申しわけないもんね。


 ってことで、これからよろしく、アスレイアちゃん!


「よろしく、レイオン」


 お互いに手を差し出して、ちょこんっと触れるような握手をする。


「あっ、明日のことなんだけど、ミュイとロック……パーティの2人の前では、説明するのも面倒だし普通の人形の真似をしていてもらえる?」


 ラジャー! 俺も説明とか面倒だからそれで良いよ~。

 俺はアスレイアちゃんのローブの中にでも隠れて、のんびりしていることにするよ。

 まぁ、おっぱいがないから、感触的にはいまいち──。


火弾(ファイアボール)!!」


 ごめんなさいでした! だから火は止めて、マジで!!



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