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人形 go home  作者: 森平
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第01話「人形立つ」

第01話「人形立つ」




「レイオン、一緒にお風呂入りましょうね~」


 俺の身体を優しく抱き上げながら語りかけてくる、7歳の金髪幼女。

 もちろん俺は何も言わずにされるがままになる。


「こら、アリッサ。お風呂くらい1人で入りなさい」


「えーっ、やだー! レイオンと一緒に入るんだもん」


「ははは、別に良いじゃないか、レイラ。アリッサだってまだ子供なんだ」


「そう言う問題じゃないのよ、あなた。レイオンがお風呂に入った後始末は誰がすると思っているの?」


 俺を抱きしめた幼女……アリッサちゃんを注意するのは、彼女のママであるレイラさんだ。

 そしてパパであり、このミュウゼル家の大黒柱であるカイルさんが微笑ましい顔をしながらアリッサちゃんの肩を持つ。


 どこにでもあるような、明るく楽しげな家族の様子。

 俺はそんな家族の一員としてここにいる。


 そう、人形として。


 なぜ人形なのかって? それは俺の方が聞きたいね!


 元々俺は日本で暮らす平凡な高校生だったのだ。名前は高天玲司(たかまれいじ)……って、そんなことはどうでも良いよね。今の俺にはレイオンって立派な名前があるんだから。


 ある日、団地の階段で足をすべらせて階下へ真っ逆さま。派手に飛び散る血と脳漿。薄れゆく意識の中で、俺はハッキリと自分が死ぬことを自覚した。

 だけど再び目を開けてみれば、俺はこのアリッサちゃんが指を針で傷だらけにしながらも作った、ぬいぐるみ人形に産まれ変わっていた。


 何が何だかわからない。ただ自分が人形として産まれ変わったんだなーっていう、わけの分からない意識だけがあった。

 でも最近はそれでも良いかと思っているんだよね。

 だってさ、産みの親であるアリッサちゃんが、満面の笑みで俺を抱きしめているんだよ?

 金色のふわふわな髪に赤い入りリボンを飾り、ぱっちりとしたサファイアブルーのお目々がなんとも似合っている。

 もう誰が見ても美幼女だ! って答えるくらいの、可愛らしい女の子。しかも7歳の割には胸が大き……ゲフンゲフン。


 それは冗談だけど、自分を産み出してくれた可愛いアリッサちゃんが俺を見て微笑んでくれるだけで、すごく嬉しい気分になれるんだよ。

 子供だからってのもあるんだろうけど、ことあるごとに俺と一緒にいようとする。寝るときも一緒だし、ご飯を食べるときも一緒。それに、さっきも言ったようにお風呂だってそう。


 別に幼女の裸を見られて嬉しいなーとか、そういうことではないんだけれども。


 しゃべることもできず、ただそこにいるだけの生活なんだけど、アリッサちゃんが嬉しそうにしているだけで満ち足りるというか……。

 多分これが、人形としての幸せなんだろうと思う。


 まぁお風呂に入った後、脱水するためにママさんにギュウギュウ搾られるのだけは勘弁して欲しいけどね。


「ともあれ、アリッサももう7歳なんだから、1人でお風呂に入ること。良い?」


「や!」


「やだじゃなくて……もう、レイオンだって、水浸しになるのは嫌でしょう?」


 いいえ、ちっとも嫌ではありません!

 脱水されるのはちょっと辛いけど、アリッサちゃんと入るお風呂は好きだからね。エロい意味じゃなくて。


 とはいえ、俺が何を言ってもママさんやアリッサちゃんには伝わらない。

 だって人形ですから。


 でも強情に俺と一緒に入ると訴えるアリッサちゃんに、とうとうママさんが折れた。


「ふぅ……しかたないわね。そのかわり、ちゃんとレイオンも拭いてあげるのよ?」


「うん、任せて! えへへ、レイオン、さっそくお風呂入ろー」


 満面の笑みを浮かべて俺をギュッと抱きしめてくれる。俺は、そんなアリッサちゃんの笑顔が大好きです。

 そして向かうのは脱衣場。

 なお、お風呂と言っても浴槽につかるタイプではなく、簡単なシャワーがあるだけのものだ。

 日本式とはちょっと違うんだよね。


 あとこれだけは説明しておかないといけないかな。

 ここは日本でもなければ、イギリスとかアメリカとかでもない。


 ママさんやパパさん、アリッサちゃん達の話している単語を拾って推察することしかできないんだけれど、どうやらここはいわゆる異世界らしい。

 魔法なんかも存在しているようだけど残念ながら俺はそれを見たことがない。


 だってさ、アリッサちゃんはもちろん、ミュウゼル家のみんなは使えないらしいし。

 でも会話を聞いている限りでは、やっぱり魔法はあるみたいなんだよね。ちくしょう、俺も見てみたいなぁ。


「レイオン、お湯をかけるからね~」


 おっと、いつの間にかアリッサちゃんは服を脱いでしまってたようだ。

 俺の目の前には一糸まとわぬ幼女の姿。やっぱり、おっぱいが膨らみかけている……!

 先っぽのさくらんぼが自己主張して、ツンって飛び出してるのがすごいね。

 まだ7歳でこれとか将来が楽しみすぎるよ、アリッサちゃん。あ、でも下の方はさすがに毛が生えたりはしてないみたい。ツルツルのスジだね。


 って、俺はどこを見ているんだろう。

 い、いや、だってさ、アリッサちゃんがイスに座って俺を正面に置くから!

 俺の人形の身体は精々全長30cmくらいだし、目線的にアリッサちゃんの身体が丸見えなんだもん! ご馳走様です!!


「ふんふんふ~ん♪ えへへ、レイオン、大好き~」


 おおうっ、裸の幼女にギュッと抱きしめられる幸せ。アリッサちゃん、俺も大好きだよ。

 あと、そんなに強く抱きしめちゃダメ! おっぱいの固いポッチがコリコリ擦れてるから……!


「こーら、アリッサ。ちゃんと自分の身体は洗ったの?」


「あっ、ママ。まだだよ~」


 ふぉぉぉっ、今度はママさんが全裸で登場だぁぁぁっ!

 胸には見事なスイカをたずさえて、腰まで届くアリッサちゃんによく似た金髪がすごく美しい。

 この世界の結婚適齢期って早いようで、7歳の子供がいながらまだ20代の前半なんだよね。

 なんというか、すごく……目に毒です。でも、見ちゃいけないと思いつつも見ちゃう!

 動くたびにぷるんぷるんって揺れると、目が離せなくなっちゃうよね!


「もう、アリッサはレイオンと一緒だと、レイオンばっかり洗って自分を洗わないんだから。ほら、ジッとしてなさい」


「はーい」


 アリッサちゃんはママさんに甲斐甲斐しく身体や髪を洗われていく。

 俺は俺で、アリッサちゃんにごしごし身体をこすられていく。

 こういうひとときを過ごすと俺は心の底から思うね。人形の生活も捨てたもんじゃない……って。



 お風呂から上がって、アリッサちゃんは自分のお部屋で一生懸命寝る前のお勉強中。

 俺がいると集中できないからって、人形の俺はママさんに連れられてリビングのテーブルの上でのんびり座っている。


 はい、当然のようにママさんに脱水されました。所々ブチブチって縫い糸が千切れたような音がしたのは気のせいだと思いたい……。


「それであなた、あの件はどうなったの?」


 ……ん? なんだろ。


 アリッサちゃんがいないことを確認して、ママさんが俺を撫でながら深刻そうに口を開いた。


「借金のことなら、なんとかあと数日待ってくれるようにお願いしているが……正直、厳しいかもしれん」


「そう……。もう、どうしてあの人の言うことなんかを聞いたの? そのせいで、しなくても良い借金なんて無理矢理背負わされて!」


「そうは言うが、本当に困っていたように見えたから。俺だってまさかこんなことになるとは思っていなかったさ」


「でも、このままじゃ私達は全員奴隷落ちよ!?」


「わかっている! だから今、お金を貸してくれる人がいないか知り合いを片っ端から当たっているだろ。それに勤め先の細工屋の主人にも、給金を前借りしたし」


「そんなの、全然足りていないじゃない!」


 借金……嫌な響きだなぁ。2人がこんな話をするようになったのはいつからだったっけ。

 アリッサちゃんには聞かせられないので、基本的に彼女が席を外していたり、寝てからのことなんだけど……。


 知人の男性に頼み込まれて連帯保証人になったら、ドロンと消えられて借金だけが残ったってパターンみたいなんだよね。

 この世界には連帯保証人なんて制度はないんだけど。でもそれに似た制度はある。

 ようはパパさんの人の良さにつけ込まれて、その知人に騙されちゃったってわけ。


 それにしても、奴隷落ちねぇ……。


 ママさんとパパさんの言い合う言葉を聞きながら、世知辛い異世界事情に心の中で溜息をつく。

 だってさ、人形の俺が2人に言えることはなにもないから。

 ただアリッサちゃんのこれからのことを考えると、胸が痛くてしかたない。


「ママ~、パパ~、お勉強終わったよ!」


 そこで、アリッサちゃんが元気よくリビングに入ってきた。

 真っ直ぐ俺のところに来て、ギュッと抱きしめてくれる。


「ちゃんと指定したところまでやったの?」


「うん、ばっちり! ちゃんとね、2桁の足し算もできるようになったんだから」


「へぇ、それはすごいな。アリッサは天才だ」


「えへへ~」


 照れ笑いを浮かべながら、すごく嬉しそうなアリッサちゃん。


 やばい、可愛すぎだよ……。

 それにこの歳でもう2桁の足し算もできるとかすごすぎない!? 日本の教育制度ならできる子は多いだろうけど、ここは異世界だしさ。

 ママさんが、実は結構良いところのお嬢さんだったって話を以前聞いたことがある。パパさんは細工屋さんの下働きなんだけど。

 そんなわけで、ママさんがアリッサちゃんの教育に力を入れているってわけ。


 ちなみに借金をママさんの実家に頼るって案もあるそうなんだよね。でも、勘当されているのも同然らしくて、それは難しいと尻込みをしているとか。

 きっと駆け落ちみたいな感じでパパさんとママさんは結ばれたんだと思う。どんなロマンスがあったのか、今度じっくり聞いてみたいかな。


「ママ、レイオンと遊んでもいい?」


「もちろんよ。寝る前に絵本を読んであげれば、きっと喜んでくれるんじゃないかしら」


「うんっ。レイオン、今日はドラゴン殺しの冒険者のお話を読んであげるねっ」


 そう言いながら、アリッサちゃんは幸せそうに俺に頬ずりをしてくれる。


「パパ、ママ、おやすみなさい」


「はい、おやすみ、アリッサ」


「おやすみ」


 パパさんとママさんにおやすみの挨拶をしたら、そのまま俺を連れて自室のベッドへ。

 1冊の絵本を持ち、俺を抱きながらモゾモゾと布団の中にもぐり込む。


「ふぁ……なんだか眠くなって来ちゃった……。レイオンは大丈夫?」


 もちろん大丈夫さ! だって人形だもの。


 人形になってから、俺は眠らなくても良い身体を手に入れた! とはいえずっと起きていても退屈だから、意識だけはシャットアウトして睡眠に似た状態になることもあるけれどもね。


 それにしても、アリッサちゃんから良い匂いがする……。これもきっとお風呂上がりだからだ。

 それに体温が高くて、密着してることもあってすごく、良い。

 実はこの添い寝が、俺の数少ない楽しみの1つなのだ。


「それじゃあ、今日は最初からでいいかな? 絵本を読んであげるね」


 アリッサちゃんはチュッと俺のほっぺたに口づけをしてから、はにかんだ笑顔を浮かべた。

 絵本を開いて、たどたどしく文字を読み始める。


 ちなみにこれ、少しでもアリッサちゃんに文字に慣れさせるための、ママさんの策略なのだ。

 だって、普通人形に絵本の読み聞かせをしたってしかたないしね?

 もっともこれのおかげで俺もこの世界の文字を覚えられたので、大感謝なんだけど。


 そして絵本を読むことしばらくして。


「レイオン……んみゅぅ……眠い……」


 アリッサちゃんが眠たそうにベッドへと突っ伏した。

 もう子供は寝る時間だし無理もないよね。それでもまだ寝たくないのか、目をこすりながら必死に顔を上げようとする。


「……くぅ、すー……すー……」


 あ、落ちた。

 大事そうに俺を抱きしめながら、可愛らしく小さな寝息を立てるアリッサちゃん。


 くぅぅぅっ、もう、最高! 本当に可愛すぎるよ、アリッサちゃん!

 もうこれだけでご飯を3杯はいけそうだよね! 人形だから食べられないけど!!


 ちなみに、こうやって俺を抱きながら寝るのは大体3日に1度くらいだったりする。

 いつもは小さな鏡台に、ちょこんと俺を座らせるんだよね。そこが俺の定位置だから。


「んみゅ……くぅ……」


 はぁ……可愛いなぁ。子供ってどうしてこんなに可愛いんだろ。

 もちろん変な意味じゃないよ?

 純粋に、天使のような寝顔ってこういうのを言うんだろうなーなんて思う。マジでアリッサちゃん天使。大きくなったらきっと女神にクラスチェンジするくらい可愛すぎ!


 まぁそれはともかく。アリッサちゃんも寝ちゃったことだし、そろそろ行動を開始しますか。


 俺はアリッサちゃんを起こさないように、慎重に、ゆっくりと腕の中から這いだしていく。


 ん? 人形のくせになんで動いているんだって?

 ふふふ、誰が動けないと言った?

 そう、この世界に人形として誕生してから2週間ほどして、俺は自分が動けることに気付いたのだ!

 それから少しずつ身体を動かす練習をして、すでに1ヶ月以上経っている。

 今の俺ならば、前世と遜色ないくらいに動けるような気がするよ!!

 ……あ、もちろん冗談だよ? さすがに骨もなく、筋肉もない布と綿で構成された身体でそんな人間みたいな動きができるわけないし。


 ともあれ、俺は人形なのになぜか動くことができた。これも魔法のあるファンタジー世界だからなのかね?

 しかし俺が動けることはアリッサちゃんをはじめ、ママさんもパパさんも知らない。

 では動いてこれから何をするのか、というと……ズバリ、金策だ!


 だってさぁ、放って置いたらアリッサちゃん一家は借金で奴隷なんだよ?

 俺の産みの親ってこともあるけれども、アリッサちゃんがそんな目に遭うなんて俺には耐えられない!

 ってことで、俺もいっちょ前世の知識やらなにやらを生かして、家計に貢献しようってわけだ。

 そして稼いだお金をパパさんの枕元に置いておく。

 きっと善良な妖精さんの仕業だと思ってくれるだろう。この世界に妖精がいるのかどうかは知らないけど。


「んんぅぅ……くー……レイオン……すー……」


 アリッサちゃん、待っていてね。俺がきっと借金を返済してみせるから……!

 だってさ、アリッサちゃんにはいつも笑っていて欲しいから。




 さて、まだ起きていたパパさんとママさんの目を盗んで家を抜け出したわけだけど、どう金策したものだろう。

 なにせ俺はただの人形。当然しゃべることもできない。

 あ、一応念動力みたいな力で5kgくらいの重さまでなら持ち上げられるんだけどね。

 今は自分の身体を持ち上げて、ふよふよ飛びながら人に見つからないように路地の様子を窺っている。

 念動力みたいな力……って言い方じゃ長ったらしいし、ここは簡単に念力と呼ぼう。

 しかし、本当にどうやったらお金を稼げるだろう。

 商売? 5kgくらいまでしか物を持ち上げられないのにそれは無理だね。そもそも人形がどうやって商売やるんだって話だし。

 盗み? さすがに、悪事で手に入れたお金じゃアリッサちゃんも喜んでくれないだろうしなぁ……。いや、いよいよとなったらそれも考えるけどさ。

 前世で読んでいた小説にあった知識チートだっけ? そういうのができれば1番良いんだけどね~。

 料理作るにも人形だから無理。

 作り方だけ教えたって、食材の味とか調味料がどんな感じかわからないのに、こことは別の世界のレシピをそのまま当てはめられるなんて思えないもん。

 じゃあ、遊具とかおもちゃを作って商人に売り込む?

 それもやっぱり、最初の商売は無理ってのと同じだよねぇ。


 となれば……。


 あっ、路上に銅貨が落ちているのを発見!


 俺は誰にも見られていないことを確認しつつ、素早く銀貨を拾い上げる。

 今は夜なので、夜陰に乗じれば人形だしそうそう見つからないんだけどね。


 ともあれ現金をゲットだ!

 この世界には拾得物横領とかの罪はない。ハッキリ持ち主のわかる形ならともかく、そうでなければ落とした奴が悪いってスタイルなんだよね。

 なのでこのお金は拾った俺の物になる。ラッキー。


 おっと、もう1枚、銅貨を発見。

 うーん、あっちにはなんか変な箱まで落ちているっぽい。ゴミかな、あれ。


 今まで外に出るときはアリッサちゃんに抱かれていたから気付かなかったけど、この世界の衛生的なものはどうなっているんだろ?

 こうも物が落ちていると、そこら辺が心配になってくるなぁ。

 お金が落ちている分には俺的にはウェルカムなんだけどさ。


 ……って、ちょっと待てよ。今、ビビッと来たね! もしかしたらこれを金策のネタにできるんじゃないかって!!


 だってさ、これだけ物が落ちているってことは、大事な物を落っことして探している人が存在する可能性があるわけだ。

 そういう人からの依頼を受けて探し物をする。

 無事に見つけられるとその人はハッピー、俺もお金を貰えてハッピー。

 ついでに落ちてるお金を拾えばはさらに儲けは増える! これだ!!


 ちなみにこの世界の文字は覚えたし、念力で文字を書くこともできる。筆談でなら意思疎通はできるはず。

 まぁ時間がかかりすぎるし、そもそも人形相手に真面目に依頼をしてくれるのか? ってことが一番の問題なんだけどさ。

 その問題が簡単にクリアできるなら、そもそも商売だってできそうだし。


 うーん、せっかく良い方法を思いついても、俺が人形って時点で色々終了してしまうなぁ。

 誰かが代わりに依頼を受けてくれれば良いんだけど。むしろ、どこかで依頼を発注してるような組織があれば……。

 あれ? そんな組織の話を聞いたことがある気がする。

 えっと……そう、冒険者協会だ!


 異世界の例に漏れず、この世界にも冒険者がいるのはアリッサちゃんが読んでくれた絵本ですでに知っている。

 それにアリッサちゃんに連れられて散歩に出たときに、冒険者協会の近くを通った覚えがある。

 あそこなら魔物の討伐依頼から薬草なんかの採取依頼。もしかすると失せ物探しなんかの依頼もあるかもしれない!


 そうと決まれば善は急げだ!


 確か……えっと、アリッサちゃんの家がここだから……そうそう、こっちの道を行けば良いんだったかな。


「きゃぁああぁぁぁっ、おばけえぇぇぇぇ!」


 おっと! 失敗失敗、俺が飛んでいるところを誰かに見られたみたいだ。

 騒ぎになっちゃうと身動きを取りづらくなるし、こっそり移動しないと。


 こういうときに姿を消せたりすると便利だよね。

 幽霊じゃないから無理だけどさ。


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