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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

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スープの味

作者: Kanon
掲載日:2026/03/31

 砂漠だった。

 焼けるような暑さと、乾いた風だけがある。


 ここがどこなのか、わからない。

 ただ、人がいる。


 人々は列を作っていた。

 誰も言葉を発さず、ただ静かに並んでいる。


 腹が減っていた。

 理由もわからないまま、俺もその列に加わった。


 やがて、鍋の前にたどり着く。

 差し出された器に、スープが注がれる。


 肉が多い。

 野菜は、ほとんど見当たらない。


 一口すする。

 少し癖はあるが、悪くない味だった。


 だが——


 周りの人間は、皆、暗い顔でそれを食べていた。


 悲しそうに。

 何かを噛みしめるように。


 戦争でもあったのだろうか。

 誰かを失ったのかもしれない。


 よく見ると、老人が多い。

 女もいるが、どれも痩せこけ、目だけが異様にぎょろついている。


 そして——


 子供が、いない。


 学校か、どこかに集められているのか。

 そう思ったが、妙な違和感が胸に残った。


 夜が近づく。


 寝る場所を探そうと辺りを見回したが、

 さっきまでいた人々が、誰一人いなくなっていた。


 砂漠の中に、取り残される。


 風の音だけが響く中、

 どこからか、かすかな声が聞こえた。


 近づくと、建物があった。


 その前に、女たちが並んでいる。

 四人か五人。


 それぞれが、子供を抱いていた。


 皆、泣いている。


 声を押し殺しながら、

 それでも溢れるものを止められないように。


 なぜ並んでいるのか。

 その先に何があるのか。


 扉が、開いた。


 中から男が出てくる。


 無言で、子供を引きはがした。


「やめて!」


 女が叫ぶ。

 名前を呼ぶ声が、砂漠に響く。


 だが男は、何も言わない。


 次の女も。

 その次も。


 すべて同じように、引きはがされていく。


 子供たちは、建物の中へ連れていかれた。


 女たちは、その場に崩れ落ちる。


 そこへ、別の男たちが近づいた。


 女の腕を掴み、どこかへ連れていく。


 誰も逆らわない。

 逆らえない。


 ただ、消えていく。


 建物の中から、音がした。


 ドン。

 ドンドン。


 叩く音。


 強く。

 必死に。


 気づけば、足が動いていた。


 中で何が起きているのか。

 確かめなければならない気がした。


 その時——


「近づかないほうがいい」


 後ろから声がした。


 振り返ると、男が立っていた。


「あそこは肉屋だ」


 淡々とした声だった。


「子供は、働いてるだけだよ。

 あの子たちにしかできない仕事がある」


 意味が、わからなかった。


「……終わったら、帰ってくるんですよね?」


 男は、少しだけ笑った。


「もちろんだ」


 それ以上は、何も言わなかった。


 翌日。


 また、列ができていた。


 俺も並ぶ。


 同じように、スープを受け取る。


 肉が多い。


 やはり、野菜は少ない。


 一口、口に運ぶ。


 うまい。


 昨日と同じ味だ。


 ふと、隣を見る。


 昨日、子供を奪われた女がいた。


 目が、ぎょろぎょろと動いている。


 何かを探すように。


 いや——


 何かを、思い出さないようにしているようにも見えた。


 スープの中の肉を、もう一口。


 やわらかい。


 よく煮込まれている。


 ……不思議と、食べやすい。


 今日は、昨日よりも


 少しだけ、多く入っている気がした。

今回見た夢は少し前の物で、メモ書きだけしていた内容です。

なかなかに面白い夢でした。

もしよければ評価頂けると幸いです。

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