表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ふるさと振興課(仮)  作者: 堺大和
34/48

0034扇風機の音

8月に入ってた

青空が揺れる真夏の朝

役場の一室では 菫と林さくらちゃん

そして温泉旅館の女将さんが机を囲んでいた


机の上にはノートパソコンと

紙の草案が散らばっている


「SNS用の文面のラフを作ってきたんやけど 

こんな感じでどうかな?」

菫が画面を見せる

画面にはSNS用のテキスト案が並んでいた


SNSクラウドファンディング

告知案

旧小学校跡地を みんなで育てる道の駅へ

休憩 防災 地域交流のための場

一部設備整備の応援をクラウドファンディングで募集

支援のリターンには 

村の特産セットや限定内覧会参加権あり

ホタルライブ視聴チケット付きの支援も!


女将は 少し考え込んだ表情で言った

「育てる道の駅 ってなんか ふわっとしてません?

もう少し 伝わる言葉 がいいかも」

さくらが乗り込んでタブレットを操作する

「休憩所をつくる って言い切ります?」

菫は言う

「うん それは大事」

女将は頷く

ふわりと 窓の向こうから蝉の声が入る

「それで 誰のため? を明確にして」

さくらが打ち込む


修正案

みんなの安心して立ち寄れる場所を一緒につくろう

旧小学校跡地に道の駅の一部を活かし

クラウドファンディングを開始します!


休憩スペース

情報提供コーナー

防災拠点

を整備します


支援者には村の直売品詰め合わせ 

限定ホタルライブ配信視聴権

内覧会ご招待

お名前を記した支援者プレート


「これ伝わると思います」

「立ち寄れる場所 いうのが村らしいと思うし」


女将が お茶をすすりながら言う

「安心して立ち寄れる ってメッセージ割と村らしいよ」

さくらが微笑む

告知分は修正を重ね

「村の空気」と「応援の理由」が

自然に伝わる内容になっていった

窓から差し込む夏の光は強いが

三人の顔には穏やかな熱が宿っていた

菫は改めて画面を見つめた

「これでいきましょう」


ある日の

夕方の公民館には

住民がゆっくり集まっていた

扇風機の音がゆっくり室内を回る

住民説明会

今回はクラウドファンディングの説明だ

パネルには

先日整えた告知案が大きく貼られている

観光客用 村内用 SNS版の三種類だ

菫は前に立ち 声を落ち着かせて話始める


「今日は道の駅一部整備に関わる

クラウドファンディングのご説明です」

菫は前に立ち 声を落ち着けて話始める


「この資金は目的は 

休憩所 防災関連設備 情報提供コーナー

交流の場所として

安心して立ち寄れる場所 を作ることです」


真剣な空気の中で

菫の声は落ち着いている

「タグは #みんなの道の駅

支援の形は四種類です

一番お得なのは内覧会ご招待です」


さくらも

村の特産品の詰め合わせリターンについて

実際の商品見本を見せながら説明する

「地元のイチゴ大福 小松菜のバウンドケーキ 

すき焼き味のスナックサンド

苺類の あすかルビー 珠姫 古都華 

柑橘類の デコポン ポンカン キンカン 

シャインマスカットなどから幾つか組み合わせです」

場内の空気が少し和む


説明が終わると

質疑応答の時間

「目標金額は?」

「三百万を想定しています」

「使い道は?」

「休憩スペース関連の設備と看板

情報表示システムなどです」

「集まらなかったら?」


菫は迷いなく答えた

「集まらなくても

事業自体は進めます

これは応援と関係づくりです

一人の高齢の住民が言う

「ほら 道の駅って聞いたら大きい建物を

想像してたけど こういう説明なら分かるわ」


説明会は思ったより穏やかで前向きな空気だった

農家の一人が呟く

「じゃあ これは 寄付 ってことか?」

その声に

誰かが小さく笑う

「支援 です

何かの期待をするのではなく

未来に繋がる関係づくりと考えています」

「欲しいけど不安 って言う人もおるやろな」

菫は頷いた

「不安があるのは 当然 です

だから支援は 任意 です

でも こういう形もある 

という一つの選択肢として案内しています」

場内に小さな空気の流れが起きる


別の青年が 手を挙げる

「支援したいです

シャインマスカット欲しいです!」

さくらが それに はにかんで答える

「ありがとうございます!」


その声に 住民の何人かが

微笑みながら頷いた

説明会は堅苦しくなく

必要最低限の情報と

住民自身の率直な反応で進んだ


最後に菫は言った


「この支援は 

正式事業の前提ではありません

ともに見守る方法の一つです」


何人かが確かに頷いて会場を後にした

扇風機の音と

夏の夕闇の匂いが混じる

クラウドファンディングは まだ始まったばかり

でも

確かな 関わる意思 はこの場の空気の中に残った



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ