第7話 ケモ耳モフキュンライフ!①
目を開けた瞬間――
俺の周りはド派手な戦場だった。
夕日の荒野にうじゃうじゃ蠢くサソリ的なモンスターがでかいハサミをガチガチ鳴らしてる。
俺、普通の剣を握りしめて、すでに仲間と一緒に戦闘中。
……また戦闘中!? ホントにランダムかコレ!?
気を取り直して……俺の仲間は三人。
でかいハンマーを振り回すゴリラみたいな筋肉戦士――バルク。
鍛えまくったムキムキの腕と無精ひげがワイルドすぎる。40歳ぐらい。
次、癒し系(?)な白髪混じりおっさん賢者――アルヴィン。
白と紫のローブ姿でニコニコしてるけど、なんか目が鋭い。55歳ぐらい。
この謎の癒しオーラ、どこかで……?
持ってる水晶の杖もセリィナやエルフィナのものとそっくりだ……。
――もしかして異世界って杖のデザイン、レパートリー少ない?
そして……キター!
ふわっふわの白い猫耳、くるんとした尻尾!
ケモ耳美少女――ニャル!
肩まで伸びる薄桃色の髪に、気弱そうな潤んだ金色の瞳。
清楚な白のチュニックと短いスカートで文句無しの可愛さ!
超かわいい!
なんか首に不気味な黒い首輪つけてるけど、そんなの関係ない!
「シルバーフレイムでブッ飛ばせ!」
バルクがハンマーを振り上げながら吠える。
うお、シルバーフレイム!?
またこの能力!
剣に銀色の炎がメラメラ燃え上がる。
安定のスタイリッシュさ!
……でも、待てよ。
今回もとりあえず確認!
「バルクさん! この虫、燃やしていいヤツっすよね?」
バルク、豪快に笑って肩ドン。
「ガハハッ、戦闘中に冗談かよ! さすがタケル、肝っ玉デカいな!」
ニャルがチラッと俺を見て、小さな声でつぶやく。
「タケル……頑張って、ね……」
ぐふぉっ!
その怯えた瞳とモフモフ猫耳、反則級!
絶対惚れてるだろ、これ!?
「っしゃ! シルバーフレイム・ファイヤーブレイズ!」
俺、カッコよく技名叫んで剣振り上げる。
銀の炎がドカーン!
サソリ軍団、「ギギッ!」と悲鳴上げて一瞬で黒焦げ!
俺、剣を肩に担いでドヤ顔キメ!
これぞ、ザ・スタイリッシュ!
バルクが「やるじゃえか!」とゴリラ笑い、おっさんが「見事だ、若者!」とうなずく。
ニャルはモジモジしながら顔赤らめてる。
「……タケル、すごい……」
ニャルのデレ確認!
ハーレム王への第一歩、順調だぜ!
――戦闘後、森の奥で野営。
焚き火パチパチ、バルクが焼いた肉の匂いがたまらん。
アルヴィンがスープ配りつつ、ニャルは毛布にくるまってスヤスヤ寝てる。
猫耳ピクピク動いてる。
ああ、クソかわいい……!
バルクが酒瓶傾けながらボソッと言う。
「ニャル、寝ちまったな。あの首輪、キツい呪いだよな……」
呪い?
そういや、ニャルの首に不気味な黒い首輪ついてた。
「ねえバルクさん、あの首輪って何? ニャルは何であんなのつけてんすか?」
バルク、ゴリラ顔が一瞬真剣になる。
「覚えてねえのか? ニャル、ルナティア族の生き残りだろ? お前が二週間前、奴隷市場で買って助けたんじゃねえか」
マジ!? 俺、ニャルを奴隷市場で!?
いや、記憶ゼロだけど、めっちゃ主人公らしい展開!
アルヴィンが癒しボイスで補足。
「ルナティア族は、かつて月の光で奇跡を起こす聖なる一族。宝玉の力なくとも魔法を扱える唯一の種族だ。だがその力を恐れた帝国に迫害されてな……」
ルナティア族……
なんか聞き覚えある気がするけど、気のせいか?
てかまた宝玉!
今回もやっぱ繋がってる感じ!?
アルヴィンがスープかき混ぜながら続ける。
「あの呪いの首輪は、ルナティア族の魔力を封じて奴隷に貶めるためのものだ」
「はぁ!? だったらこんなもん――」
俺が首輪に腕を伸ばすとバルクがガシッ!
「やめとけ」
アルヴィン、静かに首振る。
「それを外すと、呪いが外した者に移って体が崩壊する。タケル、覚えておきなさい」
の、呪い死に!?
あっぶねえ! めっちゃ序盤で死ぬとこだった!
ゴリさん、おっさん、あざす!
……でも、ニャルの気弱そうな瞳思い出し、首輪見てたらめっちゃムカついてきた。
「帝国、許せねえ! 絶対ニャルのこと自由にしてやる!」
俺の声でニャルが目を覚ます。
「……むにゃ?」
猫耳ピクッと超絶かわいい!
「タケル……? うう、何、話してるの……?」
「ニャル、いつか俺がその首輪ぶっ壊して自由にするから! 約束な!」
ニャル、眠そうな目でニコッと微笑む。
「タケル、優しいね……ほんと、かなうなら……嬉しい……」
ぐはっ! ニャルのデレ直撃!
ありがとう異世界!
でも、アルヴィンの「呪いで死ぬ」って言葉が頭にチラつく。
――よし、今回はマジで慎重にいこう。
首輪は後で必ず何とかしよう。
そう思ってたら、バルクが酒瓶を俺にグイッと差し出してきた。
「ほら、タケル! 男なら飲め飲め! 戦いの後はこれだぜ!」
……ゴリさん、急にテンション上がってる!
俺、苦笑いしながら受け取る。
「え、俺、酒弱いんだよな。まあ一口だけ」
ゴクッ。
うわ、めっちゃ強い!
喉が燃える! 頭クラクラ!
バルクがゲラゲラ笑う。
「ガハハ! 一口でこれかよ! 可愛い奴だ!」
ニャル、毛布から顔だけ出して心配そうに。
「……タケル、顔赤いよ? 大丈夫……?」
うおっ、ニャルの天然デレ!
頭クラクラだけど胸はキュンキュン!
「ゲホッ、ゲホッ! ニャル、だ、大丈夫だ!」
アルヴィンがクスクス笑いながらスープのおかわりをよそってくれる。
「まあ、ほどほどに。無理はするなよ。……でも、バルクの酒は特別製だ。魔力を高める薬草入りだぞ。私も後でいただこうかな」
へえ、おっさん、意外と酒豪?
てかゴリさん、筋肉ファイターなのに魔力高める必要ねえだろ!
俺、調子に乗って質問攻め。
「そういやバルクさんって、昔は冒険者ギルドのSランクだったって本当?」
「ガハハ、昔の話だ! 今はただの便利屋稼業さ」
アルヴィンが杖をコツンと地面に突きながらニヤリ。
「バルクは若い頃、『タイタン・ゴーレム』の親玉を『筋肉魔法』で一撃粉砕したんだぞ」
「筋肉魔法!? そんな属性ある!?」
俺、スープ吹き出し爆笑。
バルク、ムキムキの腕をグイッと曲げてドヤ。
「何回も見せただろ? 魔力が筋肉増幅するんだよ! 見てろ、『ビッグアーム』!」
腕筋がさらに膨張! マジでデカくなる!
「やばっ、バルクさん最高! 筋肉魔法、俺も習いたい!」
ニャル、目を丸くしてニコニコ。
バルク、照れくさそうに無精ひげを掻く。
「そういうアルヴィンさんだって昔、王国魔術師団の首席だったんだぜ! しかも三聖女エ――」
「バルク、その話はいいじゃないか。ほら、タケル、スープのおかわりはどうだい? ニャルもお飲みなさい」
ニャル、毛布から出てきてスープをちびちび。
「……あったかい……アルヴィンさん、ありがとう……」
アルヴィンもバルクも、なんかめっちゃ頼もしいぞ!
俺、ふと気になって聞いてみる。
「そういや、俺たちって何で旅してるんすか? 目的あるんすよね?」
バルクが眉を上げて俺を見る。
「タケル、お前……今日なんか変だぞ?」
ああ! こういう時、「遅延自覚」うぜえな!
「い、いや、なんかどっかで頭打ったみたいで! ちょっと記憶が……」
アルヴィンが穏やかに微笑みながら答える。
「私が魔法の宝玉の歴史について調査してるんだ。バルクとタケルは私の用心棒だ」
「じゃあアルヴィンさん、ニャルの首輪の呪い、解除する方法知ってるんじゃ……?」
アルヴィン、急に真顔になって首を振る。
「残念だが、私の知識でも完全解除は無理だ」
ニャルの顔が一瞬曇る。
「……だが、必ず方法はある。いつか私が見つけてみせるさ。その時まで辛抱しておくれよ、ニャル」
俺、ニャルに親指立ててニヤリ。
「だってさ、ニャル。大丈夫、きっと何とかなるよ!」
バルクが酒瓶をドンと置いて割り込む。
「まあまあ、難しい話は後にしろ! 今は飲もうぜ! ニャルも、もっと肉食え! 食ってデカくなれ!」
ニャルがスープを飲み干して、ふっと息を吐く。
「……みんな、優しい……ニャル、嬉しい……」
俺、なんだかんだ楽しんでるな。
ハーレムとは程遠いけど、バルクもアルヴィンも、最高の仲間だ。
ニャルのニコニコも、なんだか家族みたい。
仲間とこういう時間も結構悪くないな。
――しばらくして、バルクがハンマー担いで立ち上がる。
「さて、そろそろ町に向かうか。宿取らねえと寝るとこねえぞ。タケル、ニャルの首輪が誤解されねえよう、気をつけろよ」
アルヴィンもコクリ。
「町にはルナティア族に偏見持っている者もいる。タケル、ニャルを守っておやり」
「了解! 俺、絶対に守るよ!」
ニャル、モジモジしながら小声でボソッ。
「……タケル、カッコいい……」
う、うおおお! 惚れ度急上昇!
――町に行けば、もっとニャルと仲良くなれる!
一緒に夜の町を歩いたり、屋台でスイーツ選んだり、宿では肩寄り添って星の話とかして……
ニャルとの距離、ガッツリ縮めよう!
……でも、首輪の呪いのことは、絶対に忘れるな。
とりあえず町に行くなら顔面チェックだ。
剣に映った顔は……よし、オークじゃない!
俺はニャルのほうに軽く手を差し出す。
「ニャル、行こう。――俺が、ちゃんとついてるから」
ニャルは一瞬、目を丸くして……それから小さく頷いて、毛布を肩にかけたまま俺の横に並んだ。
月明かりが二人の影を長く伸ばす。
でも、町で俺を待っていたのは――
運命の選択だった。




