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第28話 愛と月の王国

 魔宮の瓦礫が青白いルナティアの月光に照らされ、戦場の熱気が静まる。

 

 空には星がチラチラ、まるで俺たちの勝利を祝福してるみたいだ!


 ルナティア族、

 セレンディア王国軍とミラノス魔法騎士団、

 カリムシャール黄金騎兵団、

 魔王軍や多国籍連合軍の戦士たち――


 総勢九万人が剣や手を掲げ、ド派手な歓声が響き合う!

 

「魔皇帝を討ったぞー!」

「勝利だ! 勇者タケル! ルナティアの月が輝いた!」

「世界は救われた!!」


 リュ・ウビが黄金騎兵団を引き連れ、堂々たる団長の貫禄で敬礼。


 メルはモフキュン耳をピクピクさせて、ニコニコで「タケル、すごい!」と飛び跳ねる。

 

 ニャルが解放したルナティア族の子孫たちも月の祈りを終え、誇らしげな笑顔で手を振ってるぜ。


 ミラノス魔法騎士団の銀鎧が月光でキラッキラ!


 口髭凛々しいイケオジ団長ガルフレッドが貫禄の出で立ちで俺に近づく。

 

「タケル殿、お見事。貴殿の古代魔法『シルバーフレイム』は伝説そのもの!」


 俺、頭かいてニヤッと返す。

 

「ヒゲさん、あざす! でも、これ全員の力っすよ!」


 最初はチート無双とかほざいてたけど――


 この勝利は確実にみんなのおかげだ。


 視線をずらすと、セーラ、オリビア、エスター、クロエ、リリの青春ハーレムパーティが互いの健闘を讃え合っていた。

 

「よっ、みんな! 魔法騎士団の格好、似合ってるじゃん! 世界救うのにバッチリ貢献したぜ! ありがとな!」


 セーラ、金髪ツインテを揺らし、ちょっと不思議そうな顔で俺をガン見。


「あ、あの、勇者様……? どこかでお会いしましたか?」


 エスターがメガネをクイッと分析モード。

 

「半年前、同じ名前の転入生はいましたけど……顔と声の一致率0.01%以下……」


 オリビア、赤ポニテバウンドで眉下げで笑う。


「タケルっち……セラっちょに告って、階段落ちてそのまま消えてっちゃったんだよね……。どこ行っちゃったんだろ……」


 クロエ、ゴス目線でジトッと睨む。

 

「勝手に消えてったバカと勇者様が同じわけない。ただの偶然……でも――」


 リリ、ニコニコ癒しスマイル。

 

「勇者様、なんだかタケルくんみたいで親しみやすいです」


 セーラ、視線を下に向けて頬を膨らませる。

 涙でうるんだ目でボソッとつぶやく。


「タケル……あんなサイテーな別れ方だったのに……。なんで……こんな懐かしい気持ちになるの……?」


 あぁ、そっか……!

 魔法学院にいた時と今じゃ中身以外、別人なんだった!

 

 俺、苦笑いしながら頭ゴシゴシかいて返す。


「はは……いやーなんか若い子たちが頑張ってくれてんなぁ、と思って! ホント、みんなカッコよかったぜ!」


 正体バレそうでヒヤッとしたけど……

 セーラには告るだけ告って、階段落ちで悲しませちまったからな。


 今の俺はみんなにとって『勇者タケル』であって、魔法学院の『転入生バカタケル』じゃない。


 わざわざ明かして混乱させるより、このまま仲間として笑ってたい。


 ミオが俺の腕をつつく。


「タケル、ほんとバカね。仲間たちに愛されてるんだから、ちゃんと感謝はしなさいよ」


「もちろんだ。何回も死にまくって、めっちゃバカやらかしたけど……みんなが俺をここまで導いてくれた。マジ感謝してる」

 

 俺、ミオの手をガシッと握り、ガチトーンで返す。


「……でも、ミオはその間もずっと、俺のことを信じて見守ってくれてた。感謝だけじゃ足りねえ」


 ミオ、顔真っ赤で涙目。

 尻尾がバタバタ動いてる。


「もう、次元が違うって言ったのに……!」


 俺、ミオの頬に手を当てて、主人公全開のドヤ顔で宣言。


「次元はさっき『主人公補正』でぶっ壊したろ? 俺はもうミオを離さない。絶対に。青い月が輝いてる今、二人で新しい物語始めよう」


 ミオ、泣き笑いで俺の胸に飛び込む。


「タケル……キザすぎ……! でも、ずっとキミを愛してた。キミを転生させるたびに、胸が張り裂けそうだった……」


 俺、ミオを抱きしめながら叫ぶ。


「ミオ、愛してる!! これが俺の最終ハーレム……いや、愛の物語だ!!」


 ミオがふと顔を上げ、瑠璃色の瞳に不安がよぎる。

 

「嬉しい……でも、私、転生空間を壊した。自分で役目を願っておきながら、勝手に抜け出すなんて……。イオネラ様の掟を破った罪……どんな罰を受けるか、わからないわ……」

 

「あ、ああ、派手にやっちゃったもんな……。でも、ぶっ壊したのはミオじゃなくて俺。女神様も分かってくれてるはず……だよな?」

 


 ――その瞬間、ミオの首の宝玉が青白く輝き、柔らかな光が俺たちを包む。


「――!!」

 

 宝玉からうっすら幻影が浮かぶ。


『ミオ、愛し子よ――』

 

 星々を散りばめたように輝く銀髪。

 月光を映して深みを放つ紫瞳。

 白銀のローブに神聖なオーラが漂う月の女神「イオネラ」の清らかな声が響く。

 

『転生空間の掟を破った罪は、私、イオネラが赦す。タケルの魂とルナティアの光が新たな時代を切り開いた。お前はもう役目を終えた。もう一度、自分の人生を歩みなさい』


 ミオの目に涙がポロポロと溢れ、俺の胸に顔を埋める。

 

「イオネラ様……ありがとうございます……! タケル、私、自由だよ……! これで一緒にいられる!」


 俺、ミオの額に手を当て、優しく髪を撫でる。


 百年間も俺を待ち続けて、俺を幸せにするために何回も送り出し続けたミオの苦しみが、今は痛いほどわかる。

 

「ミオ、本当に良かった! 今度は俺が幸せにする番だ。イオネラ様、ミオを自由にしてくれてホントにありがとう!」


『勇者タケルよ。貴方は闇を打ち祓い、この世界の救世主となりました。我が叔父『ゼノス』の計らいで元の世界に帰還する道も開かれています。どうなさいますか?』


「俺が……救世主? はは……マ、マジか、すげえ。でも……俺はここに残ります。俺はこの世界でミオや仲間たちと一緒に未来を進みたい!」


『わかりました。此度の偉業に、我が祝福と感謝を捧げん。我が愛し子、ミオのことをよろしく頼みます』


 宝玉の輝きが静かに収まり、イオネラの幻影は月光に溶ける。

 

 ゼノスの「ホッホッホッ」という胡散臭い笑い声が聞こえた気がした。


 これまでの転生の記憶が、星の瞬きのように流れ、ミオの声が囁く。

 

「タケル、キミのバカな『主人公』マインドが、私をここまで連れてきてくれた……」


 俺は瞳に涙を溢れさせるミオの手を強く握る。

 

「ああ、全部覚えてる。俺のダサい死に方も、ミオのツッコミも。でも、やっと一緒に幸せ掴めるな!」

 

 ルナティア族の族長ミュラードが、荘厳なローブをなびかせ、静かに歩み寄る。

 神聖なケモ耳が月光に輝き、穏やかな笑みで俺たちを見つめる。

 

「銀炎の勇者タケル、秘宝の巫女ミオ。我が一族を救い、ルナティアの月を輝かせた二人に、月の女神の祝福あれ。共に新しい時代を築きなさい」


 ミュラードが厳かに頷き、ルナティア族が一斉に祈りを捧げる。

 

 青白い月光がさらに強く輝き、ニャルの子孫やメルが静かに微笑む。


 セーラたちやウビ、世界中から集まった戦士たち……みんなが笑顔で俺たちを見守る。


 ――ソムナン君、俺、成し遂げちゃったよ。

 壺満たしたら、マジで世界救っちゃったよ。

 ありがとう!


 ミオの手を握り、勇者の剣を空に掲げる。

 

「ヴェルザドールとの因縁、ルナティアの悲劇、全部終わった! ルナティアの月が、俺たちの未来を照らすぜえええ!!」


 ゴールデンシルバーフレイムがキラキラ輝き、夜空の星みたいに散る。


「ミオと俺の『愛と月の王国』、開国だあああ!!」


 全員が拍手、歓声、爆笑、ドン引き、奇声。

 赤ドラゴンが天に向かって祝福の咆哮。


 セーラが「勇者様、あいつみたいね」とツンデレ微笑。

 メルが「タケル、ミオ、おめでとう!」とモフキュン耳ピョコピョコ。

 ウビが「勇者どの、立派でした!」と敬礼。


 レイチェル、ミリー、エルフィナ、セリィナ、ニャル、バルク、アルヴィン……

 そしてノエル、アイン――


 時代を超えた仲間たちがこの勝利を支えてくれた。


 キモトカゲの骨が転がる中、ルナティアの月が俺とミオの新しい物語を祝福してる。


 

 ありがとう、異世界転生。


 ありがとう、大切な仲間たち。


 ありがとう、ミオ。



 俺、25歳フリーター、竹仲タケル!


 やっと本当の幸せ見つけたぜ!

残り2話となりました。

明日完結予定なので最後までよろしくお願いします!

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