第15話 青春☆魔法学院!④
俺たちは幻影迷宮を攻略し、無事試験終了!
さらにスパイを捕らえ、王国を守ったその功績を讃えられて、「ミラノス魔法騎士団」の資格フライングゲット!
まあ……俺ほぼ何もしてないが。
イケおじ騎士団長・ガルフレッドからイケボで「期待しているぞ!」と銀色に輝く勲章バッジを授かった。
あのグリム教授、本名は蛇の魔女「グリメラ・ヴァイパリス」、ザルド帝国に仕える魔術師だった。
セーラの氷結魔法でバッキバキに凍らされた後、学院の地下深くにある「永久氷獄」に封印されたらしい。
化け物形態のまま、キラキラ光る氷の棺で永久おやすみ!
あのドSな雰囲気が二度と見れねえのはちょっと惜しいけど、ハーレム王国に敵は不要だぜ!
あとで分かったんだが、俺たちの班がこんなエリート揃いなのは、グリメラの策略だったらしい。
ルナティアの秘宝を探させるために、優秀なメンバーを集めたってわけ。
自分の編成した最強チームにやられるなんて因果応報だな!
んで、例の宝玉。
「ルナティアの秘宝」は魔法学院の最深部、超厳重な結界保管庫にしまわれることになった。
とにかく、やっと一息つけるぜ!
ってことで、明日の祝勝会に向けて準備開始だ!
セーラは今回の報告で忙しいらしく、俺たちはそれぞれ準備に取り掛かる。
みんなの想い、なんか感じるぜ……。
――ミラノス・アカデミアのテラス。
星空の下、紫髪を夜風になびかせるクロエが一人たたずむ。
ゴスな黒リボンが揺れて、クールな雰囲気が夜に映える。
ちょっと声かけてみるか。
「よっ、クロエ」
「バカタケル? 何か用?」
クロエが鋭く睨むけど、ゴスな目元がほんの少し柔らかい。
「なあ、クロエ、エロ教授の帝国の話、なんか知ってんの?」
俺が聞くと、クロエが小さくため息。
黒いローブの裾が風に揺れる。
「私の家系、闇魔法の名門。今の皇帝――ヴェルザドールは、大昔、私の先祖と同門だった」
「へえ、そんな繋がりが……」
「でも、奴は禁忌の暗黒魔法に手を出して破門された上に、祖国と魔王城の宝玉を盗んだって話。だから……帝国の動き、ちょっと気になるの」
「……そうなんだ。話してくれてありがとな」
――ヴェルザドール! ニャルを殺そうとしたクソ魔術師!
皇帝にまで成り上がってたのかよ!
クロエが紫髪をかき上げ、星空をチラッと見上げる。
なんだか珍しく目がキラキラしてる。
「……クロエ? どした?」
「別に……私が魔法騎士だなんて不思議な感じだな……って。ここに来た頃、闇魔法ってだけでみんな私を怖がって避けてたから……」
「マジ? クロエ、めっちゃかわいいのに」
俺が言うと、クロエが「は?」と呆れたように呟く。
「最初は魔法騎士団なんて、闇属性の私には無縁だと思ってた。でも、セーラが実力を認めて、特進クラスに推薦してくれた。……あの子がいなきゃ、こんな舞台に立てなかったかも」
クロエの声、ほんの少し震える。
目元がキラッと光るけど、すぐ隠す。
「セーラ、めっちゃ見る目あるじゃん! クロエの闇魔法、すげえ強いもんな!」
俺がニヤッと返すと、クロエがチラッと微笑む。超レアなデレ!
「セーラは……ほんと、特別。分け隔てなく接してくれて、こんなチャンスまでくれた。タケルがバカなおかげで、こんな最高の班に入れた。……ちょっとだけ、感謝してる」
クロエが夜空を見ながらポツリ。口元が緩んでる。
セーラへの信頼、ガチだな!
「クロエ、これからもハーレムパーティ、永久に一緒だぜ!」
肩をポンと叩くと、「触んな!」と闇魔法で軽く弾かれる。
でも、笑顔がチラッと見えた。
仲間想いのクロエ、ハーレム王国に必要不可欠だ!
――そして翌日、祝勝会当日。
俺はオリビアと厨房で虹色プディングの仕上げを手伝う。
火魔法でクリームをサッと炙ると、表面がキラキラ輝き出す。
「タケルっち、もっと豪快に混ぜなよ! ハーレム王ならドーンとやっちゃえ!」
オリビアが陽キャ全開でクリームをドバっとぶち込む。
「お、おい、オリビア! プリン爆発するぞ!」
俺がシルバーフレイムで火加減を調整。
甘い香りが厨房に広がる。
「へえ、タケルっち、やるじゃん! 料理の才能、意外とある?」
「まあ、昔ちょっと居酒屋のバイトでな。火の扱いはそこそこイケるぜ!」
「ばいと? いざかや? 何それ?」
おっと、この世界にないワードか!?
――よし、異世界住民に美味いもん教えて驚かせる定番のやつ、やってやろう!
現代知識でこの陽キャギャルを「ギャフン」と言わせてやるぜ!
「ふふふ……なあ、オリビア。俺が超絶すげえ調味料教えてやるよ!」
「なになに? どんなの?」
オリビアがキラキラ目で身を乗り出す。
「いいか、卵黄に油、酢、塩を混ぜて、ガーッとシェイク! そしたらなんでもパーフェクトに美味くなる魔法の万能調味料――『マヨネーズ』の完成だ!」
俺がドヤ顔で説明すると、オリビアがポカンと口を開ける。
――よし、食いついたな!
「……え、それって『エッグマヨス』のこと?」
「エ、エッグマヨス!?」
「何百年も前からあるド定番調味料。タケルっちが言ってるの、名前だけ変えたソレじゃん?」
――ギャフン!
オリビアがケラケラと笑う。
「何、タケルっち、原始人? それともそういうボケ?」
くっ……“ドヤスベリ”パターンの方か!
そりゃ、6回目で原始人みたくトカゲ食ってたけども……!
「ま、いいや。……タケルっち、いつもありがとね」
オリビアが急に真剣な目。
「ん? 何だよ、急に?」
「実はさ……セラっちょ、昔から『セリィナ・ミラノスの再来』って期待されて、ずっとプレッシャー背負ってたんだよね」
「え? あのセーラが?」
「うん。でも、タケルっちが転入してきてから、なんか素の顔出すようになったっていうか」
「俺のハーレム魂がセーラの心を解き放ったってか?」
俺がニヤつくとオリビアが「うわっ、キモ!」と爆笑。
「……私もね、昔、『フレアハート家の恥晒し』って言われてたんだ。勉強ダメダメで、親にも『魔法騎士団なんて夢のまた夢』ってさ」
「そ、そうなの!?」
「でも、セラっちょが私の親説得してさ、『オリビアなら絶対見返せる』って特進クラスに推薦してくれたの」
オリビアが金ピアスを揺らし、ニッコリ。
セーラの影響力、すげえ!
「マジか! それで学院5位までのぼり詰めるって、めっちゃヤバくね!? 恥晒しどころか一族の誇りでしょ!」
俺、思わず目を見開く。
オリビア、見た目のギャル感と裏腹にすげえ努力家!
「アハハ、みんなのおかげだって。だから最近のセラっちょ、ようやく肩の荷下ろせてるなーって、見てて嬉しくなるんだよねー」
オリビアが照れ笑い。ポニテ揺らしてクリームをまたドバっと入れる。
「そっか。オリビア、お前、めっちゃいいやつだな!」
俺が親指を立てると、オリビアがウインクで返す。
「これからもセラっちょのこと、よろしくね、タケルっち! ま、ハーレムは無理だけどさ!」
陽気に笑いながら、オリビアが肩をバンバンと叩いてくる。
炎の絆、ガチで燃えてきたぜ!
そこへ、エスターが厨房のドアから顔を出す。
「す、すみません、タケル君、ちょっと……いいですか?」
「タケルっちー、エッシーに呼ばれてるよ! プディングの仕上げは任せて!」
オリビアがニッコリ笑って、俺を押し出す。
「悪い、ちょっと行ってくるぜ!」
――エスターに連れられて図書室へ。
机には古い本が山積み。
黄緑のおさげが揺れ、瓶底メガネの奥で真剣な目が光る。目、見えないから予想だけど。
「タケル君……あの宝玉――『ルナティアの秘宝』について、気になって調べてみたんです。ほら、これ……」
エスターが古い本をペラリ。
月の紋章と呪文がビッシリだ。
「宝玉は月の魔力を他者に供給する力を持ってるけど、悪しき者に渡れば世界を闇に覆い尽くす力があるんです」
「マジか……! だからザルド帝国が宝玉を狙ったのか?」
「はい。特にルナティアの月の力が弱まる『赤い月』の夜にその力は最大になる……。私の計算だと、それは半年後――『403年の三の月』なんです」
「は、半年……」
ゾクッとした。
帝国は何を企んでるんだ?
「ここの宝玉は死守できたけど……帝国が他にも集めてるなら、怖いですよね…」
エスターが少し震える声。
本をチラッと見ると……
『著・アルヴィン(生没月耀暦38―121)』って書いてる。
「……なあエスター。この本の著者、“アルヴィン”って何者?」
「ルナティア族と宝玉の研究に生涯を捧げた偉人ですよ。魔王軍との和平を結んだ立役者の一人、『三聖女』エルフィナ様の孫にあたる方ですね」
アルヴィン……やっぱりニャルの時の……!
エルフィナってオーク顔の時の癒し系大聖母!?
――そうか!
アルヴィンのあの癒しオーラ、繋がったぞ!
「タケル君、大賢者アルヴィン様も三聖女もセレンディアでは常識です。特にエルフィナ様は学院創設者――セリィナ王女の師なんですから、もっと勉強してくださいね」
マ、マジかよ……!
俺、歴史の偉人たちの前で死ぬほどバカさらしまくってたってことかよ……。
エスターが本を高い棚に戻そうと手を伸ばす。
すると梯子が……
グラッ!
「きゃっ!」
本が落ちそうになり、バランス崩す。
「うわ、エスター!」
俺が飛び出してガッチリ受け止める。
ドサッと本が床に落ち、エスターのメガネもポロリ……
しねえのかよ!
ここでポロリしなきゃいつするんだよ!
「……あ、ありがとうございます、タケル君…… …!」
エスター、顔真っ赤でモジモジ。
メガネは鉄壁だが、整いすぎた輪郭や鼻筋、唇が大アップに。
腕に彼女の熱が伝わり俺もドッキドキ。
逆にメガネが外れなくて良かったのかも。
このシチュで彼女の素顔を見たら、俺は本当に“キュン死”していたかもしれない……。
「わ、私、本当にドジばっかりで……セーラとは幼馴染なんですけど、いつも面倒見てくれてたんです。特進クラスも、セーラと一緒じゃなきゃ絶対無理でした……」
エスターが照れながら微笑む。
セーラ、みんなの支えすぎる!
「じゃあ俺も、セーラと一緒にエスターのこと守るからな!」
俺がドヤ顔で返す。
「け、計算外です……!」
エスターが本で顔隠す。かわいすぎ!
「この班、ほんとに素敵なんです……。タケル君も、ね」
エスターのキラキラ笑顔、ハーレムパーティの要だぜ!
――図書室を出て、祝勝会の飾り付けエリアへ。
水色ふんわりヘアのリリがリボンや魔法の光玉を手に、ニコニコ準備中。
「あ、タケルくん。昨日はおつかれさま! 祝勝会、みんなと楽しめるなんて、ほんと幸せ!」
リリが薄ピンクの瞳で微笑む。
地味かわオーラ、癒し効果バッチリ!
「リリの癒しがみんなを支えてるんだぜ! ガチで天使!」
「え、そ、そんな! 私なんて……!」
俺のウインクで、リリ顔真っ赤。
「聞いたと思うけど……私、平民の出なの。だから最初は貴族の子たちにバカにされてて……」
「えっ、リリが? マジか……」
「でも、セーラちゃんが『生まれなんて関係ない』、『リリの魔法は誰にも負けない』って特進クラスに推薦してくれたの」
「そっか……さすがセーラ。でもリリの全属性素質、マジで最強だったよな。俺たち全員助けられたじゃん!」
「えーっ、さ、最強だなんて……」
リリが両手をパタパタ振る。
「みんなより魔力低いし……紋章借りなきゃ全然ダメだよ……」
「いやいや、謙遜エグいって! 主人公スキルだよ? 癒しパワーも唯一無二だし!」
俺がグッと親指立てると、リリはますます顔を赤くして俯いちゃう。
「……タケルくんにそう言われるとなんか、恥ずかしいなぁ……」
でも、チラッと上目遣いで見て、小さく微笑む。
「でも……嬉しい。みんなが信じてくれるなら、私ももっと頑張れる気がする」
その瞬間、俺の心臓がドクンって鳴った。
「当たり前だろ! ハーレムパーティの心臓はリリなんだから!」
手を伸ばして頭をナデようとする。
「う、うぅ……恥ずかしいよぉ……」
リリ、縮こまる。
た、確かに頭ナデるのはちょっと調子に乗りすぎか!
俺、少年姿とはいえ中身25だしな……。
「タケルくんも、みんなと一緒なら、もっとすごいことできるよ! 騎士団の訓練、一緒に頑張ろうね!」
リリがニコッと優しく手を握ってくる。
天使すぎて死ぬ……!
その無自覚な癒しパワー、クリティカルヒット!
守りたい、この笑顔。
絶対に!
――祝勝会の準備を終えた夜。
ミラノス・アカデミアの浮かぶ階段を一人で歩く。
キラキラ輝く城の廊下、星が瞬く夜空。
みんなの顔が頭に浮かぶ。
セーラ、みんなからめっちゃ慕われてるな。
プレッシャー背負いながら、みんなを特進クラスに導いて、こんな最強のチームを作った。
グリメラの策略でできた班とはいえ、あのリーダーシップがなきゃ、ここまで団結できなかった。
さすが俺のハーレムリーダー!
今夜の祝勝会でハーレムパーティの絆、もっと深めるぜ!
「――この世界でハーレム王国築くぞ! みんな、最高だ!」
両手挙げて叫ぶ俺。
ミオ、見ててくれよ!
俺、必ず『幸せ』掴んでみせるから!
遠くで浮かぶ燭台がキラッと光る――




