転生したらゴリラのうんこだった〜転生して気づいた本当の価値~
気がつくと、ぼくは地面に落ちていた。
「えっ……?」
茶色くて、ぐにゃっとした感触。熱い日差しが照りつけ、ジャングルの木々が風に揺れる。すぐそばで、大きな影が動いた。
「うわっ!」
見上げると、そこには巨大なゴリラがいた。
まさか、ぼくをしたのは……このゴリラ!?
「なんで、ぼく、こんな姿に……!」
混乱するぼくの前に、ぞろぞろと小さなサルたちがやってきた。
「うわ!クサッ!」
「最悪だ!ここにゴリラのうんこがあるぞ!」
「こいつ、超クサい!」
サルたちは顔をしかめ、ぼくを指さして笑った。
「うんこのくせに、しゃべれるのかよ!」
「お前、うんこのくせに何か考えてんの?」
言われたい放題だった。くやしくてたまらなかった。
「ぼくはただのうんこじゃない!」
叫んだ声は風に流される。
サルたちはげらげら笑いながら、ぼくに木の枝を突き刺したり、小石を投げたりして遊び始めた。
「やめろよ……」
悔しくて、涙が溢れたでも、ぼくはうんこ。どうすることもできない。
ぼくはわけがわからないまま、そこに転がっていた。
雨が降り、太陽が照りつける中、ぼくは少しずつ形を変えていった。乾いたり、溶けたり、虫たちにかじられたりしながら、日々を過ごしていた。
「うわあ、ぼく、消えていく……?」
これでおしまいか……とても悲しくなったそのとき、地面の中から優しい声がした。
「君のおかげで、ぼくらは育つことができるんだよ」
ぼくのすぐそばから、小さな芽が顔を出していた。
「君が持っていた栄養が、ぼくらの力になってるんだ!」
確かに、ぼくの体は土と混ざり、新しい命を育てている。
「ぼくはただのうんこじゃない……森を豊かにする、大切な存在だったんだ!」
ぼくの心は、温かい気持ちで満たされた。
時がたち、ぼくはすっかり土に溶け、今では立派なバナナの木になっていた。
ある日、ゴリラがやってきて、ぼくのバナナをもぎ取った。
「おいしい!」
そのゴリラは、ぼくを生み出したゴリラだった。
「ぼくはこのゴリラから生まれ、またこのゴリラの力になったんだ……!」
ぼくは確信した。
「ぼくはただのうんこじゃない。大切な命の輪の一部だったんだ!」
そう思ったとき、ぼくの心は満ち足りた気持ちでいっぱいになった。
「どんな姿になっても、自分には意味がある」
ぼくはうんことして生まれ変わったけれど、無意味な存在じゃなかった。
みんなも、どんなときでも、自分の価値を忘れないでね。