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プロローグ:短槍と祠
夜が丘を包み、星空が広がる中、ユウトは小屋の裏でおじさんの短槍を手に持つ。全長1.2メートル、雲木の柄はひび割れ、30センチの錆びた刃が星明かりに鈍く光る。1キロの軽さが頼もしい。星晶を柄の窪みに嵌めると、ぴったり填まり微かに震えた。
母ちゃんが肩越しに見てため息。「その短槍、ユウイチが捨てたやつだよ。星賊と戦ったなんて笑いものさ。家族のために戻ってきたんだ」
短槍を握り直し、流れ星が落ちた丘の奥——古い祠へ向かった。村人達は「近づくな」と言う。トウタの親父は「光る影が人を病にする」、アヤカの婆ちゃんは「昔の教団が星の怒りを封じた場所だ」と。おじさんも「星の声が聞こえる」と呟いたらしい。
草むらの向こうに苔むした祠が見えた。小さな石造りで、屋根は半分崩れ、冷たい風が吹き出す。「おじさんの秘密って、ここか…?」短槍を手に一歩踏み込む。暗闇の中、星の紋様が刃に浮かび、微かに照らした。