夏は、曖昧にする
夏は
私の傍から
飲みかけていた炭酸を
一泡吹かしにかかる
言えないまま消えていた
言葉の泡も
青い空に
清涼を流して
遠くへ旅立つ
離れ離れでも
誰かが私を待っていて
会える時が来るまで
「逢いたい」を呟いていてくれたらな、と
夢見がちな毎日を送るだけで
生きていられれば
それが何よりの幸せごとだと思う
そうさ
いつだって夏は
私の傍から
ふと現れては
暑くさせるから
7月と8月の
世界が蒸せて見える
青いが蒼いに変わって
空が夏の空を帯びて
夏が棲む
この季節
全てを見つめる頃には
夏が終わりかけているだろう